人生の無限階段
本日は、先日読み終わった諸富祥彦『50代からは3年単位で生きなさい』(KAWADE夢新書2021)の中で発見した『人生の無限階段』ということばを借用して、自分自身の思考の掘り下げをさせていただきます。
またイチからやり直し
昨夜は2022年下半期の初日にも関わらず、酒を飲んでいい気分になってしまい、あえなく寝落ちをしてしまいました。またしても記事投稿を落としてしまうという失態を犯してしまいました。今年何度目かの不本意なミスです。
どんなに書くべきテーマが定まらなくても、無理矢理自分の脳味噌から搾り出してアウトプットしておくことを信条に、これまで踏ん張ってきたのに、最近は勿体無い失態を繰り返しています。対策(記事の書き貯め)も進められておらず、自己嫌悪は深くなるばかりです。
ただ昨今は、自分を必要以上に責めるべきではない、自分を厳しく追い込む態度や姿勢を推奨しないメッセージを出している書が増えてきている印象があります。本日、参考にさせて頂いている諸富氏の著作もその空気感で明確に覆われています。
『人生の無限階段』
本日引用する『人生の無限階段』は、2章の中の”50代・60代で「減らすべきもの」”の中に登場します。
まじめで優秀で、自己成長欲求が強く、完璧主義に囚われている人に、立ちはだかるのが「人生の無限階段」という喩えです。私は、この感覚がよく理解できます。成長する意欲を諦めてしまうことは、自分が負け犬になってしまったような気分に襲われ、嫌な気分になってしまうものです。
上へ、前へ、という気持ちが強過ぎると、自分が当然クリアできると想定していた結果すら残せないと悟った時、強い失望と虚無感と自己否定の感情が襲ってきます。ネガティヴ感情に搦め捕られてしまい、何もする気が起こらなくなります。自分で自分にダメ出しする回数が増えていくのは、精神衛生上よくない気がします。たとえそれが、自分を鼓舞する為の前向きで必要なものだったとしても、心が耐えられる限度はある筈です。
私は、これまで他人からもらう以上に、自分から自分へ無数のダメ出しを行ってきたせいか、耐えられる余力があまり残っていません。深い沼の底へと堕ちていくことへの恐怖感が薄れ、不感症気味になっている気がしています。「成長」「成功」ということばを口癖のように、息をするように使う人に対しては、本能的に警戒感とうっすらとした反感を持つようになってしまいました。
階段の本来の意味
そのような心境の変化には、「階段」ということばに刷り込まれたイメージが影響している気がしています。念のため、国語辞典で意味を確認しておきます。
「階段」は、上に行くにも、下に行くにも使われる道具です。なのになぜか「階段」と聞くと、下から上に昇るイメージが瞬間的に浮かんでしまいます。諸富氏が使っている『人生の無限階段』も下から上へ昇るイメージの喩えとして使われていることは明白です。
何がそうさせているのか…… 私の思い浮かんだイメージは二つです。
天国への階段
まずは、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)『天国への階段(Stairway to Heaven)』です。『Led Zeppelin Ⅳ』のラストに収められ、ロック史を語る際に外すことのできない不朽の名作と言ってよいでしょう。ロック音楽に詳しくない人でもどこかで耳にしている可能性が高い一曲です。
おそらく、『天国への階段』から連想されるのは、イラストのイメージのようなものでしょう。
『天国への階段』という語感から、この階段が天から下へと降りてくる為に使われるイメージにはなりません。階段を一段一段踏みしめながら昇っていく、という印象が強く刷り込まれています。
思い出がいっぱい
もう一つは、H2O『思い出がいっぱい』です。テレビアニメ『みゆき』の主題歌として大ヒットし、私と同年代の方であれば、当時を思い返しながら、口ずさめる人も多いのではないかと思います。
そのサビのフレーズに、
という一説があります。この楽曲で一番盛り上がるところです。「大人の階段」ということばは、よく考えると変なことばです。ただ、当時は何の違和感もなくこの歌詞を受け容れ、「大人(へ)の階段は、昇るもの」というイメージを強く刷り込まれたのかもしれない、と思います。
人生の無限階段は下りてもいい
階段の本来の目的を正確に反映するならば、人生の無限階段を下りるために使ってもいい筈です。ずっと下りっぱなしなのは考えものですが、上り続けるだけの苦行に長年耐えられる人ばかりではありません。私には無理です。場合によっては、踊り場で休憩したいと思う時がしょっちゅうあります。
そう考えると、T・レックス(T.Rex)『人生はエレベーターのごとく Life’s an Elevator』が、実態に近いのかもしれません。
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