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上位5%の罠

本日は、私が昔から感じて来たこと、自ら味わってきたことの言語化です。『上位5%』と言われると、漠然と”凄いなあ~”と受け止めてしまいがちですが、その裏に潜んでいるであろう罠についての考察です。

人を序列化し、レッテルを貼る道具に使われる数字って恐ろしいなあ、と思います。日々社会生活を送っていく中で、他人から下される評価から完全に逃げる訳にはいかないのが現実だとわかってはいるものの、いい加減、他者からの評価に振り回される世界からおさらばしたい…… ともがき続けて、今に至ります。


上位5%は一流の証

このタイトルで記事を書こうと思い立ったきっかけは、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(Discover24)というタイトルが目に入ったことです。本日昼間に行っていたWalkingの合間に書店へと立ち寄った際、平積みされていました。売れているようです。

越川氏がこれまでに書かれてきた『トップ5%社員』シリーズは、ビジネス本のベストセラーになっています。私が愛聴している荒木博行氏のbook cafeでも紹介されていたので、名前は知っていました。お二人の対談を聴くと、説得力のある会話が行われていて、本書も優れた内容が書かれているのだと思うのですが、まだ本書は読ませて頂いておりません。

「上位5%=エリート、選ばれし人」というイメージをしがちです。私自身は、前職の組織の中で、上位5%の傑出した社員ではなかったし(その割には厚遇してもらったとは思いますが)、そういう高みを目指して仕事に励もうという気持ちは、課長職に昇格した30代後半頃には、ほぼほぼ喪っていたような気がします。

決して仕事を軽く考えていた訳ではないし、組織から求められる役割を果たすべく努力をしてきたつもりです。特定の分野の仕事において、組織内の第一人者であった、という自負は今でもあります。しかし、自分の能力や功績というものは、所詮他人から評価されてなんぼの世界です。評価する側が価値を感じなければ、冷遇されます。気に入らない社員を、それらしい理由をつけて不当に貶めることなんて簡単です。それが組織人、社会人の掟です。

ポイントは、5%のどこに位置するか

上位5%に位置付けられることは名誉なことかもしれませんが、5%の母集団の中のどこに位置しているかが実は重要です。トップ5%の中で悠然とトップに君臨する人と、当落線上のギリギリ5%に滑り込んでいる人とでは、実力差や置かれている立場は大きく異なるでしょう。上から数えて4.8%目くらいのポジションにいる人であれば、惜しくも5%の枠から外れてしまい、その下の集団の最上位に位置付けられてしまった人々と力の差は殆どないのが実情ではないでしょうか。

『鶏口となるも牛後となるなかれ』という故事成語もあります。レベルの高い集団の中の下っ端に置かれて、なにかと引け目を感じて窮屈に過ごすよりも、自分が優位に振る舞えて、のびのびと実力を発揮できる環境の方がいい、という考え方もあります。

勿論、最初は当落線上すれすれにいたものの、レベルの高い集団の中で揉まれることによって、潜在能力が磨かれて予期せぬ進化を遂げる人も少なくありません。抜擢をきっかけに、真の実力をつけて、組織の階段を這い上がっていく人もいるので、一概には言えません。

とはいえ、確率的には、実力者がひしめくトップ集団内で下位のポジションが定位置になってしまっている人が、巻き返していくのは並大抵のことではありません。下っ端が当たり前になると、いつまでたっても自己肯定感は高くならない気がするのです。

特定の場所ではナンバーワンに

ちょっと卑屈な考察が続いてしまいました。私は、どんな人間でも、特定の場所ではナンバーワンを狙わなければいけない、と思っています。下っ端扱いを受けるような環境にずっと安住して、不貞腐れて、負け犬根性を肯定し続けるのは健全な態度ではありません。自分が有利になるポジションで、ゲームを進めることが全てだ、と心の底から思っています。

客観的に見て、トップを取ることは難しくとも、ごくごく狭い世界の中ではオンリーワン、ナンバーワンを勝ち取ることは可能です。ナンバーワンになる可能性を、安易に諦めるべきではないと思います。その取り組む姿勢が誰からも評価されなくても、心の奥底にプライドの火を燃やし続けることが大切だと思うのです。

自分の人生を簡単には諦めないこと、苦しくても完全には絶望しないこと、そういう評価を押し付けて来る人や環境からは適度な距離を置くこと、対峙できない場合には逃げ出して新天地を求めること、を私は肯定します。「上位5%」の中の下位者は、集団内での序列化に苦しむ可能性が高いことを自覚し、安住してはならないと思うのです。これは、自戒でもあります。

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