「はい。」は言えなきゃだめですか?

「はい。」が言えない子。

ふつうだったら、大きな問題はないのかもしれませんが、
わたしは、「はい。」ということに大きなプレッシャーを感じていました。
自分の中で、心の底から「そうだ、その通りだ。」と思えない限り、
「はい。」という言葉が言えなかったのです。
日本では、とにかくまず「はい。」と言え!みたいな風潮があります。
それを理解できなかったわたしは、「はい。」が即答できないことによって
多く誤解されてきたことだと思います。

1+1=2とは限らないじゃないか。

なぜ「はい。」が言えないかというと、たとえば「1+1=2だろ?」ときかれたときに、「1+1=2じゃない場合もある。」と脳みそが先行してしまうのです。
そうすると、簡単に「はい。そうですね。」が言えなくなる。
沈黙での、thinking timeが始まってしまうわけです。
もちろん相手としては、「そうですね。」と即答してもらえると思っているから、なんだ黙り込んで。。反論でもあるのか。。と思われてしまう。
本人としては、その事項について一生懸命考えているだけであって、批判するつもりも反論するつもりもありません。
ただ脳みそフル回転で考えているだけなんです。
その時間が、相手を不安にさせていることを知らずに。

とりあえず、「はい。」という訓練から。

社会人になって、このことを指摘されて、ようやく腑に落ちたわたしは、「はい。」を意識して言うようになりました。
「はい。」のプレッシャーから開放されたのです。
いままでのわたしの中で、「はい。」というのは、「はい、それが正しいと思います。」と同義でした。
だから、自分の中で、絶対に正しいと思ったことにしか、「はい。」が言えなかったし、そのために熟考する時間が必要でした。
でも、やっと、「はい。」にもいろいろあると理解したのです。「はい、聞いています。」「はい、あなたのいうことは理解しています。」という、あなたの話していることをちゃんと聞いていますよという合図でもあるのだと知ったのです。こんな簡単なことを知らずに20何年も過ごして来たわけです。合図でいいわけなら、熟考する必要もありません。すぐに返事ができます。

こうやって、大人になって理解する言葉の意味が多くあるのです。

あんたは素直じゃないね!と言われた日々。

大人になって理解した言葉の意味に、『素直』があります。
わたしはちいさい頃から、よく祖母に「あんたは素直じゃない!」と言われ続けてきました。
『素直=うそがないこと、正直であること』と理解していたわたしは、そう言われる所以がまったくわからず、なぜそう言われるんだろうと悶々としていました。自分自身としては、とても素直に生きていたつもりだったからです。

でもあるとき、また「あんたは素直じゃない!」と言われたので、それに対して「わたしは自分の気持ちに素直に生きてる!」と言い返したことがありました。
祖母はびっくりして、「自分の気持ちに素直って、なんねそれは!」と怒りました。祖母にとっては、わたしは横着で、ああ言えばこう言うし、いちゃもんばかり言うと。
でもわたしとしては、それは自分の気持ちに正直に反応していた結果でした。

祖母のいう『素直』が『おとなの言うことをはいはい、とよく聞いて、健気なさま』だと気づいたのは、ずいぶん大きくなってからでした。
たしかに、すぐに返事をせず、ああじゃない、こうじゃない、というわたしは祖母のいう『素直』とはかけ離れたところにいたわけです。

国語の先生に、考え過ぎだと言われる。

国語のテストの読解の問題で、選択肢を間違えるたびに、先生に考え過ぎだと言われることも多々ありました。
当てはまる選択肢をそのまま選べばいいところを、深読みしてしまうのです。
「そうとは限らないかもしれない。こういった場合もあるだろうし…。」

考え過ぎだと言われてからは、消去法で取り組むようになりました。

「はい。」は言えた方が得。

27年生きてきた結論としては、「はい。」は言えた方が得。ということです。
それは、
・思ったよりも相手は『正解』を求めていないということ。
そして、
・『聞いてくれている』という安心感がコミュニケーションを円滑に進める上で大切だということ。
を知ったからです。

自分自身としては、正解を求めていたり、返事がなくても聞いているのがわかるんだとしても、それは多くの人には当てはまらないのです。
自分以外の人に親切にするためにも、自分が生きやすくなるためにも、「はい。」といえるようになることはとても役に立つことです。

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