知的財産管理士がレクチャーする権利侵害しない基本思考

こんにちわ!

これまでグーペのことをあれこれ書いてきましたが、3月よりsuzuri担当になりました。

3月の1ヶ月は返信業務をしながら「これはこのままでいいのかな?」などと定期的にツッコミを入れながら小さなことから改善したり、改善issueを立てるなどして過ごし、4月からは視野を広げて未来のsuzuriのcsを視野に入れなから施策を考えるタームに入ってます。

ところで、suzuriでは権利侵害の対応を行なっています。

権利侵害とは、著作権、肖像権、商標権などの知的財産を侵害することで、suzuriは画像を利用してアイテムが作れるサービスのため有名ブランドのブランドロゴやその二次創作を使ったアイテムが作成されてしまうことがあり、社内チェックで発覚すると販売停止措置を担当者が行なってます。

SUZURIや会社としてのそれらの見解はここでは記述することはできないのですが私自身が3級知的財産管理技能士という国家資格を持っており管理技能士として個人の方がトラブルを避けるために一般的な知識を記述したいと思います。

なお、今回記述する内容は個人の判断によるもので、SUZURIおよびペパボ社の解釈とイコールではないことをご了承のほどお願いいたします。

1:ごくあたりまえのこと、ブランドロゴ・パクリ・ダメ、絶対。

当たり前なのですが、なぜか大丈夫と思われがちなのが、ブランドロゴです。

割とあるあるなのがsupremeさんやTHE NORTH FACEさんそのものやパロディの二次創作です。そのものはまあだめ、ってすぐご理解いただけるのですがパロディもsuzuriでは出品ができません。

それから、文字商標のみ登録されていてもその名称をテキストとしてデザインに利用することはできません。

しかしながら、「指定役務の範囲」といって商標登録をする際にそのブランド名はどの商品やサービス利用するかを申請して登録するのですが、その範囲がSUZURIで販売できるもの以外だとしたら権利侵害には基本的にはなりません。

あくまで仮ですが「マリコ」という文字商標が登録されていて、指定役務の範囲が「せっけん」のみだったら、その名前をTシャツに書かれてしまっても権利侵害とは言えない、という話です。

とは言え、「指定役務の範囲」以外の商品に利用されていても該当ブランドの利用を取り下げてほしいと希望されるケースはどうしても出てきてしまうだろうと考えます。

2:鬼滅柄、市松/麻の葉模様使っていいのか問題

結論から言うと今の所OKです。竈門炭治郎が着ている市松柄や、竈門禰豆子が着ている麻の葉模様ですが、出版元の集英社が商標出願してますが今の所承認されていません。

市松・麻の葉といった「地模様」の登録は原則できないとのことで、模様の登録はできないものの、例えば伊勢丹のタータンチェックは商標登録(登録第5241411号他)されておりその色を含むパターンについては登録される可能性はあります。(資料1より)

個人的にはいくら色が指定されても市松や麻の葉模様が商標登録されたら和装や和柄のご商売されている方としてはたまったもんだじゃないよなぁ、とは思います。

しかしながら、近頃子供が炭治郎の市松っぽい色のマスクをしてたりすると「鬼滅のあれだ」と脳が反応してしまいますので、ある意味他と識別はできてしまっているなぁと思いました。今後の展開が気になります。

3:いらすとやでグッズは条件付きOKなのか?

Webサービスから街の張り紙までありとあらゆるところで見られるようになった「いらすとや」さんのイラスト。大変便利なため私も資料を作る時にあ頼らせていただいています。

「著作権は手放してないが利用は自由」とインプットされており当然個人のグッズ作りにもそのまま使わせていただいて良いものかと思っていましたがOKではないようです。同僚から教えてもらいました。

よくある質問を見ると以下の記載がありました。

❓個人的にグッズやTシャツを作れますか?
🗣イラストの印象を損ねるようなものではなく、また商用目的でなければ問題ありません。

SUZURIの場合、「非公開」という方法で一般に公開せず購入することは可能ですが、あくまで非公開にできる、というだけで基本的にSUZURIは販売を前提としたサービスなのでここだけを見ると利用できない、となります。他の質問も見てみます。

❓商品にイラストを利用できますか?
🗣問題ありません。ただしイラスト自体を商品とするのではなく、あくまでご自分のデザイン(商品)を補助する役割でご利用ください。

この回答を見ると、商品の一部にいらすとやさんの画像を利用することはできるが、あくまで元のデザインの補完として使ってほしい。ということでした。なのでいらすとやさんのイラストがメインでは利用はできなそうです。

さらに商用利用についての回答がありました。

💡商用利用についての質問
❓イラストは何点でも利用出来ますか? 🗣商用目的の場合、一つの作成物の中に20点までは無料でご利用いただけます。それ以上の点数をご希望される場合、有償で対応させていただきます。尚、重複したイラストや、一文字のひらがな・カタカナ、同じイラストの色違いについては、複数回使われてもそれぞれまとめて1点と数えてください。

なるほど、ここでは商用利用については点数を制限した上でOKとなっています。ですが、これはTシャツなどのグッズを対象としているのかはこの文言だけでは判断ができないです。

一通りみた上で結論としては、自身がいらすとやさんのイラストを使ったデザインをSUZURIで販売したい場合はいらすと屋さんに作りたいデザインのイメージを伝えた上でお問い合わせされるのが良さそうです。

4:きもちはわかるけどOKできないアンオフィシャルファンクラブグッズ

タレントさんの名前や、ご自身が書かれたイラストを使ったファングッズも出品はできません。また、例えば車などのブランド(例:ポルシェ・ミニ、などなど)のアンオフィシャルファンクラブグッズで、その車のブランド名が入っている場合も難しいです。

それらは商標権侵害、タレントさんなどの場合は肖像権侵害、とされる場合もあるのですが、なぜそれらがダメと言われてしまうかというと、「商標権を侵害してるから」「肖像権の侵害をしてるから」という理解しづらい回答の前に「オフィシャルではないから」と考えていただけると理解しやすいかと思います。商品の提供者は自身のブランドを守る必要があるわけです。アンオフィシャルのグッズやデザインを許してしまうことで認知されるデザインのブレは当然のことながら、ブランドの信頼が下がります。また提供するサービスのクオリティを保つことができなくなり、そのブランドレベルを下げることとなってしまうからです。

タレントさんのアンオフィシャルグッズなんかは作り手が隠れてやっている意識を感じるのですが、車などのアンオフィシャルファンクラブなんかだと「どうしてこれがダメなのか」などというお声を聞いたことがあります。しかしながら、あなたが「ファン」になったその車は、これまでその車の提供者が厳しくブランドを守ってきたからあなたが愛するようになった、ということを理解してほしいと思うのです。

ファンが得られるような商標権を持っているのは大きい企業や利益が高い企業が多く、それはブランドを育ててきたからこその結果だったりします。そしてそのブランドを作ってきたのは特別な人ではなく私たちのような一般の人間です。

ブランドは特別なものではなく例えば「SUZURI」も一つのブランドで「SUZURI」と言えばどんなサービスでどんな価値があって、と接する方に信じていただけるよう努力しているのはごく一般人の私たちです。

それと同じことが各ブランドにもあり、ブランドの信頼性を得るために一般の方が日々努力をされていることをご想像いただくと商標権侵害や著作権侵害には踏み出せなくなるかな、と私は思うのでした。


参考資料

1:「鬼滅の刃」羽織の柄を商標出願 そもそも、伝統柄でも登録できる?

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