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ギリサーの女

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ギリサー(ぎりぎりアラサー=34歳)の女のエッセイ。
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#お仕事

大人の事情⑤

大人の事情⑤

 私が会社員になって辛いことはたくさんあったが、トップ5の内のひとつは信頼する上司Mさんとの別れであった。別れとは言っても一生会えないというわけではなく、異動しただけだけど。それは2年目のことだった。

 私はMさんのお陰もあって1年目に西日本エリアでMVPを獲得し、宿敵だったやりがいとも向き合うことが出来、仕事に楽しさを感じることが多くなっていた。その矢先である。Mさんは新しく出来る支社の支社長

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大人の事情④

大人の事情④

 世の中には答えのないことが多い。「たられば」に生きる私たちは、いつだってその問題を見ないふりしたり、ちょっと横に置いておいたり、忘れたり、時には向き合って、解決したり、自爆したりしている。

 私の入社理由は③で書いたが、「この仕事をする理由」については見つからないまま時は流れていった。私が携わった「人材派遣」における『やりがい』とは何か?たしか会社的には「働く価値の創造」とか「あなたに合った働

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大人の事情③

大人の事情③

私はずっと考えていた。どうしてこの会社に入社したのか。
「合格したから」「いい会社だから(待遇・知名度・企業規模含め)」「地元で働いてお金を貯めたいから」。これら全ては『YES』ではあるが本質ではない。それに、これが理由だとは大きな声では言えない、社会的に。大人の事情的に。

 もう少し踏み込んで考えてみる。なぜ人材派遣という仕事を選んだのか。
正直なところ、やりたくて仕方なくて選んだ業種ではない

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大人の事情②

大人の事情②

 私は入社して早い段階で目標を達成することができたことで、それが成功体験となり、自分で言うのもなんだが、メキメキ成長した。ただし、その成長は尊敬する上司の力あってのことだ。私は大学時代は広島にいたので、採用試験も広島で受けていた。最終選考の後だったか前だったかは忘れたが、一度地元である福岡支社にも話を聞きに行った。その時対応してくれたのは女性の営業マンで、一目会って「この人は絶対スゴイ」と感じた。

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大人の事情①

大人の事情①

私は大学を卒業して、一般企業に就職した。勤務地は地元の福岡。その会社は東京本社で全国に支社を持っていた。私は地方採用として入社したので、福岡支社配属で、基本的には異動はない。どんな会社かと言うと、「人材派遣」会社だ。仕事としては大きく3つ。①派遣登録している人(スタッフ)に仕事を紹介する、②働き手を探している企業に適したスタッフを紹介する、③働いているスタッフをフォローする、である。私は営業職採用

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