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会社を辞めた話

仕事を辞めた。

世間で話題のコロナとは全く関係ない理由で。

退職の相談をした時、とても気にかけてくれている上司からは、「こんな時期に辞めるの?」って心配をしていただいたりもしたけど、「次の職場決まってるので大丈夫です!なんて嘘をついてまで辞めた。信じてくれている人の優しい言葉が、くだらない嘘の攻撃力をあげるだなんて知らなかった。

でも、あのままいたら自分が本当に何もできないダメな人間だって思いそうだったし、仕事が嫌いになってしまいそうだった。
あの会社を辞めずに済んだ方法は、今のところ考えつかない。

業界未経験で入社した制作会社

24歳の夏、私は社会人歴2年。大学も私立の文系学部を卒業して、小売業に就職。社会人向けのスクールで3ヶ月学んだだけの知識で未経験からデザイナーを目指していた。

当時の自分は、「デザインスクール卒の響きの鮮度が落ちないうちに、早く自分を売りさばきたい」「美大も出ていない業界未経験の人間なんだから、早く業界に乗り込まないとおばさんになって市場価値がさがる」と、必死だった。

だから、会社選びの条件は特になし

しいていうなら、自宅から通える距離であること、教育してくれる人がいることくらい。就職活動をはじめたときから、一番最初に内定をくれた会社に入ろうと決めていた。
先日辞めた会社も、社長面接のその場で内定をくれたから入社を決めた。
社長面接であった社長がきつい空気雰囲気で一瞬合わなそうだと感じてしまったけど、気にしないフリをした。

結局入社初日から最後まで、社長のことは合わないなと感じていたし、社長が打ち出す会社の新たな方針は、どれも反対の声を上げたくなってしまうものばかりだったけど、それでも入った会社で1年10ヶ月働き通せたのはどこでもいいから「業界に入る!」と決意して動けた当時の自分の覚悟によるものだったと思う。もうちょっと会社選びとかしなよとか言いたいこともいろいろあるけど、そこだけは褒めてあげたい。

会社を辞めた理由①社長が合わない

入社した制作会社は社員規模15人程度の小さな制作会社。社員の人たちは全員優しかったけど、社長の圧は強かった。

社長は「時間がない」、「俺は忙しい」「俺に話すときは要点をまとめろ」が口癖で、機嫌で態度が大きく左右される人だった。言い回しもきつくて、文章も主語がなくて、意図が全然読み解けない。仕事ができないと判断した社員に対してはきつい言い回しで叱責をする。
会社のゴミ一つ出したことがないというし、出社している日は女性社員にコーヒーを入れさせて、外出の時には流しに使ったコップを置きっぱなし。

社長にとって会社は、自分の城だったと思う。

社員は社長と対立したくないから、正面から社長を否定しないし、社長の機嫌を損ねた時にはわざわざMTGを開いて反省点を洗い出したりもした。

最初から社長の空気感は苦手だったけれど、一年を過ぎたあたりからか、「軍隊みたいで馬鹿らしいな」と感じてしまって、社長がなにかを熱く語ると、自分の気持ちはそれに反比例するかのように冷めていってしまった。


会社を辞めた理由②目標を達成できるビジョンが見えた

入社時からいつか社長の空気に辛くなることが予測できていたから、自分のモチベーションを保つ方法を考えていた。

・少なくとも1年半〜2年は働く
・会社で使っているツールで1サイト自分で作成できるようになる

この目標を達成するまでは辞めないと決めていた。
入社までは名前しか知らなかったツールを使えるようになることを目標に建てたときは、

「2年で必ず使いこなせるようになる。無理だったら会社への在職期間がもっと長引いてしまう。頑張れ自分・・!」

そんな気持ちで働いていたら、目の前の仕事に全力で取り組めた。ちょうどいいプレッシャーが技術の向上に役立ったのかもしれない。

入社から1年経つ頃、新規案件のサイト制作を1件担当した。先輩方に助けられてなんとか作成できたけど、このときはわからないことだらけで、悔しい思いをたくさんしたし、このままでは2年で技術を身に付けて辞めることなんかできないという焦りを感じた。

自社での作成の方法、言語の勉強なんかを勉強しながら数ヶ月経った、退職日の3ヶ月前くらいに、50ページ超えのコーポレートサイトリニューアルの担当になった。
この時にはサイト作成を任されても、大体はできるようになっていたから、スケジュール表に2ヶ月分引かれていた黄色い線を見たとき、このサイトが公開できたとき自分は目標が達成できた時なんじゃないかと考えるようになった。

目標の達成が具体的な計画として見えてくると、「このあとの目標がない」と考えるようになった。

本当は、目標達成がまだ具体的に見えない段階で、この会社で達成したい新しい目標が見つかれば良かったけれど、残念ながら見つからないままだった。

それどころか、新しくやってみたいことが浮かんだ時に、その全部が今の会社だと叶えられないと感じてしまった。


会社を辞めた理由③もっと学びたかった

今の会社をなんで辞めたいのか、どんな会社だとしたら辞めたくないのか、自分は組織の中でどんな人間だと思っているのか、目標が見つからなくなってしまった時に考えてみた。

そして出てきたのが

・自分に足りない分野のスキルを持っている人が近くにいて欲しい
・勉強や新しい技術の習得に前向きな人たちと働きたい
・仕事が好きな人たちと働きたい

こんなところ。してみたいことを考えたらさらに環境を変えたくなった。

そんな時期にSNSを通してスカウトのDMがいくつか来たり、エージェントさんにお話を聞きに行ったりして、自分の社会的な需要があると感じた。


結果として

結果として、SNSでスカウトしてくださった会社へいくことはやめて、きちんとポートフォリオを作り直して自分で就職活動を行うことにした。
もちろん会社には言わなかったけど。

この2年弱は毎日たくさんの学びがあったし、働いている人は(ブラック企業あるあるなのかもしれないけど)本当に良い人たちばかりだった。
だから、いつかどこかのタイミングで会えたらいいなと思う。

これでこの会社の話はおしまい。

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