_復刻2008

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.32

前回の記事はこちら

【広島東洋カープ②】

・イベント(2013・2014・2015・2015・2016・2017・2018・2019・2019)

 カープは12球団で唯一、イベントなどでユニフォームの無料配布を実施していない。身の丈に合った黒字経営を心がける球団だけあって、無闇にバラマキはしないということか。その代わりというべきか、イベントで選手が着用するユニフォームのデザインはこの上なく強烈無比。その度合いは年を追うごとにエスカレートしている。

画像10

 まず2013年に登場したのが全身ジーンズのような柄に覆われた、通称「デニムユニフォーム」。ごわつくような見た目だが実物は通常のユニフォームの素材なので柔らかい。デニムに合わせたダメージ柄のCarpのロゴが入っている。なお、以降のイベントユニフォームには背ネームが入らないのが仕様となる。

赤道直火ユニフォーム(2014年)

※デイリースポーツより

 2014年はこの年のキャッチフレーズをイメージした、通称「赤道直火(せきどうちょっか)ユニフォーム」。ビジターユニフォームよりやや濃い色合いの赤で全身が塗り固められた、インパクト十分のデザイン。Carpのロゴと背番号は黒で色合いを引き締める役割を果たしている。この年から、キャッチフレーズをテーマとしたユニフォームを夏期に着用するのが通例となっていく。

画像5

 2015年は赤地に白いピンストライプが入った、通称「常昇魂(じょうしょうだましい)ユニフォーム」。Carpのロゴは赤で、アンダーシャツや帽子のツバが紺色であるため昨年に続き引き締まったデザインとなっている。

画像6

 2016年は、やはり赤地ながらCarpのロゴと新しいフォントの背番号が明るい緑色の、通称「真赤激(まっかげき)ユニフォーム」。左胸には唐辛子のマークが入っており、告知ポスターには唐辛子を口に加えたクリス・ジョンソンが起用された。

画像3

 2017年は、赤地に黒のラケットライン、それに黒の袖が陣羽織をイメージさせる、通称「カ舞吼(かぶく)ユニフォーム」。背番号のフォントは筆文字のようなイメージ。Carpのロゴにも金色の縁取りが入り派手になっているが、これでもまだ「落ち着いていた」と言いたくなるデザインが翌年から続く。

画像7

 2018年は青地に赤い袖、さらにCarpのロゴと背番号から足が生えている、通称「℃℃℃(ドドドォ〜!!!)ユニフォーム」。CarpのイニシャルであるCと、摂氏の温度を示す℃をかけて「熱を入れてカープを応援する」といった意味がこめられているわけだが、脳内は「℃℃℃」というより「???」である。

画像4

 2019年になるとさらに暴走に拍車がかかる。カープとしては実に珍しい青一色のカラーリングの上に赤いCarpのロゴが入り、そのロゴが帽子・サングラス・金のネックレス(背番号にも引っかけられている)をまとい、さらには手が伸びてマイクをつかむという、通称「ドッカンカープユニフォーム」。この年のキャッチフレーズ「水金地火木ドッテンカープ」のロゴも同様にラッパーのようなCマークが踊っているのだが、もうここまでくるとなんともコメントのしようがない。無理にひねり出すならば「見る者を絶句させるのがスタイル」といったところか。余談だが、ポスターに起用されてノリノリだったサビエル・バティスタがのちに禁止薬物使用の疑いで出場停止処分を受けた件に関しては、別の意味で絶句させられた。

 悪ノリもほどほどに、とは思うが、楽しさを追求していると考えればこれもひとつの正解なのだろうか。いずれにせよオリジナリティで勝負するカープ特有の精神が貫かれていることは間違いない。


・その他イベント(2015・2017・2019)

ピースナイターユニフォーム(2015年)

※デイリースポーツより

 2015年、8月6日にマツダスタジアムで開催されたピースナイターのためのデザインを試合で着用。ホームユニフォームを基礎として、胸には2001年までホームユニフォームで使用されていたCARPのフォントで作られたPEACEの花文字ロゴが入り、背中は全選手が「HIROSHIMA 86」で揃えられた。

画像2

 2017年のオープン戦では、前年に引退を発表した黒田博樹の偉業を称えるため、特別ユニフォームでの試合となった。入団した1997年当時のモデルを基調としてCARPのロゴや背番号には金色の縁取りを施し、さらに背中は「KURODA 15」で全選手が統一された。

ピンクリボンユニフォーム(2019年)

 2019年はロゴや背番号がピンク色に染められたユニフォームが登場。乳がん検診を推進するピンクリボンキャンペーンを支援するもので、赤をメインカラーとするカープとしては違和感のない色合いといえる。


・復刻(2008・2010・2011・2012)

③復刻2008

 カープも伝統ある球団ながら復刻企画の回数はさほど多くない。まず2008年には、1977年から使用されたホームユニフォームを復刻。襟と袖口には赤と紺色のラインが入り、胸に踊るCARPの花文字のロゴが当時の雰囲気をしっかり出している。翌年、再結成した地元・広島出身のバンドUNICORNがタワーレコードとのコラボでこの1977年モデルのホーム・ビジターユニフォームをデザインしたシャツを販売。背番号は広島市の市外局番082、背ネームは「NO CARP NO LIFE」だった。

画像8

2010年はセ・リーグ6球団の共同企画「グレートセントラル」が開催。カープが選んだのは1989年から使用されたホームユニフォーム。白地に赤い2本のライン、帽子などでおなじみのCのロゴが左胸に入る。当時、MLBのシンシナティ・レッズを意識して作られたデザインで、何よりCのロゴはほぼ同じだ。

画像9

2011年には1977年から使用されたビジターユニフォームを復刻。水色の地に赤と紺色のラインにHiroshimaの筆記体ロゴが際立つ。1979年の日本シリーズ第7戦、いわゆる「江夏の21球」の際に着用したユニフォームだ。

画像11

 2012年は1973年に使用していたビジターユニフォームを復刻。基本は前年に復刻したデザインに近いが、Hiroshimaのロゴが紺色で赤い縁取りが入っている。当時も使われていた赤い3本線の入ったソックスも復活して彩りを添えた。

 それにしてもかつてマツダスタジアムで驚かされたのが、スタンドでのオールドユニフォームの多さだ。「YAMAMOTO 8」「KINUGASA 3」の背番号を筆頭に、明らかにその当時から着続けているであろうデザインをいくつも目の当たりにした。久しく復刻企画が行われていないが、往年のファンがしびれるようなユニフォームの復活劇を再び見てみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?