_橙魂2016

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.20

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【読売ジャイアンツ②】

・イベント(2002〜2004・2006〜2007・2010・2020)

 通常時とは異なる個性的なデザインのユニフォームは、ジャイアンツにもいくつか存在していた。

①ホーム2002S

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※実際に着用されたのは前開きのボタンタイプ。

 2002年から2004年まではホーム・ビジターともにセカンドユニフォームが存在していた。もともとは練習用のデザインだったものを公式にNPBへ登録したため公式戦でも使用が可能だったが、結局このデザインで試合をした記録はなかったようだ。ホームは白地に黒い袖、黒地にオレンジ色のラケットライン。そして球団史上初となる2種類のGiantsの筆記体ロゴが入っている。

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 2006年からの2年間、日曜・祝日限定に着用していたのが、通称「ホリデーユニフォーム」。当時のホームユニフォームと近いデザインだが、ビジターのセカンドユニフォームと同じ筆記体のGiantsのロゴが入っている。

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 2010年にはファンからの公募作品を実際のユニフォームとしてデザインして、試合にも着用するという企画があった。「ジャイアンツスターズ」と呼ばれたそのユニフォームは、胸番号とGIANTSのロゴが左胸にまとめられ、星・稲妻・YGマークなどが踊るという斬新なデザインだった。

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 2020年のイベント「がんばろう東京!THE TOKYO CULTURE」のユニフォームは、ホームのカラーリングにビジターのTOKYOのロゴを組み合わせたもの。


・橙魂(2012・2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019・2020)

 球団歌“闘魂こめて”になぞらえ、オレンジ色のユニフォームを着用して試合に臨むプロジェクト「橙魂(とうこん)」。実にわかりやすいコンセプトだ。とにかく圧倒的な物量を誇る球場でのユニフォーム配布に関しては、福岡ソフトバンクホークスの鷹の祭典と双璧ではないかと考えられる。

③橙魂2012

③橙魂2013

③橙魂2014

 デザインとしては毎年それほど大幅な変更は加えられていない。2012年は脇に白い差し色が入り、2013年は袖が白、2014年はラケットラインの形を少しだけ変更、差し色なしでオレンジ色がやや明るくなる。

③橙魂2015

③橙魂2016

 2015年はラケットラインが消えて襟と袖口に白と黒のラインが入り、脇には白い差し色。ホーム同様、GIANTSのロゴは早稲田書体に。2016年は襟と袖口のラインを残して、白い差し色が外される。2017年は前年と同じデザイン。なお2016年・2017年は来場者へ配布されたレプリカのデザインが選手着用のものと異なっていた。2016年の配布用はラインや差し色なしのオレンジ一色のユニフォーム。2017年の配布用には、2002年から使用していたホームのセカンドユニフォームの筆記体に近いロゴが入っていた。

③橙魂2018

③橙魂2019

 2018年は袖が黒になり、GIANTSのロゴも白抜きがなくなり黒一色に。2019年は逆に黒地で袖がオレンジ色、GIANTSのロゴにはオレンジ色の縁取りがついた。

橙魂2020

 2020年は袖の幾何学模様が特徴的。これまでどのユニフォームでも見たことのない、なんとも不思議なデザインだ。

 橙魂ユニフォームを年代順に並べることができたらかなりのマニアだ。しかしデザインうんぬんではなく、何がなんでもスタンドをオレンジ色に染めるのだという球団の気概は受け止めたい。


・復刻(2007・2009・2010・2012)

 長く人気を二分してきたジャイアンツとタイガースであるが、復刻企画の取り組みについてはタイガースが積極的である一方、ジャイアンツは意外なほど回数が少ない。

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 まず2007年、球団通算5000勝を記念して1965年から始まるV9時代を飾ったクリーム色のホーム、水色のビジターのユニフォームを復刻。袖に入るオレンジ色のラインは2本。現在では1本だが、当時は2本のデザインが主流だった。

④復刻2009

 2009年には球団創設75周年の記念として、沢村栄治も参加した1936年のアメリカ遠征当時のモデルを復刻。グレー地にTOKYO GIANTSのロゴが二段で入り、袖にも番号がつけられた。

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 2010年に開催されたセ・リーグのオールドユニフォームシリーズ「グレートセントラル」では、2リーグ制となった1950年のデザインを復刻。白地に黒のラケットラインとGIANTSのロゴは、オレンジ色のイメージが強い現代のジャイアンツにとっては新鮮なカラーリングだった。

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 2012年のグレートセントラルでは原辰徳監督が入団した1981年のモデルを復刻。1975年から1本に戻されていた袖口のオレンジ色のラインは再び2本に。クリーム色の地で、この色合いのユニフォームをテレビでよく見ていたので一番しっくりくる、という世代も多いはず。

 伝統ある球団なので、この先もまだまだ企画を立てる余地はありそう。現代でも通用するデザインのユニフォームはいくつも眠っているはずだ。

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