マガジンのカバー画像

雑食小娘の読了記録

4
印象に残っている書籍の記録です。 ジャンルは新書、雑誌、児童書、小説…雑食です。 図書館司書だったときの記録から、今までのいろいろ。
運営しているクリエイター

2018年10月の記事一覧

児童書「ずっと、そこにいるよ。」

不思議な力を持つ主人公季里(きり)と、その友達の図書委員たちの、生と死に触れる短編連作集。 表紙画がわたしの大好きな酒井駒子さんの絵だったので、手に取りました。 そしたら、青森出身の作家さんでした。さらに図書館が舞台の内容で、縁を感じました。 登場人物それぞれがかなり個性的なキャラクターに思えました。いかにも文化部というか本好きというか、カチカチの論理的思考の男の子が出てくるのですが、その子の喋り口調とか、ああ~こういう子居そう…って感じです。 ただその子が際立って個性

小説「リレキショ」

中村航さんの、恋愛小説ではない小説です。 最初から最後まで、主人公の男の子がなぜそこで暮らしているのか、なぜリレキショを書くことになり、バイトを始めることになったのか、などという背景が書かれていませんでした。 でも読み終わってから、それは必要のない設定だったから書かなかったのかも、と思いました。帯にも書いてありますが、大切なことは、名前でも、今までの生きてきた人とのつながりでもない。自分でどうしたいか考え、勇気を出して動くことだ。これを読んで、帯の言葉がすとんと落ちてきまし

児童書「ふたつの月の物語」

月の名前をもつ少女「美月(みづき)」と「月明(あかり)」。肉親もなく別々の人生を歩んできた二人が、ある日津田節子という富豪の養子候補に選ばれ、夏休みの間別荘に招かれます。 なぜわたしたちが養子に選ばれたのか、その秘密を探っていくうちに、ダムの底に沈んだ村、魂呼びの神事、集められた別荘の人々、そして自分たちの出生の秘密に辿りつきます。 読み終わって最初に、なぜか「思い出のマーニー」が思い浮かびました。 マーニーはまだ観ていないのに…。 女の子同士の秘密というのは、男の子も知

児童書「きっときみに届くと信じて」

いじめる子、いじめられる子、その子たちの心のSOSを拾おうとするラジオDJのお話です。 ラジオネーム「りかちゃん」があるラジオに友達をいじめることを宣言します。一方、そんなメールが届いたラジオ局では、このいじめ問題についてどう取り上げようか議論がされていました。ラジオDJの佐奈はこのメールが「りかちゃん」からのSOSだと気付きますが、なにもできないまま、今度はラジオネーム「マリン」から、自殺予告のメールが届きます。 中学生の海、晴香、ラジオDJの佐奈の3人が、ラジオ番組を通