さゆりこ

暇だと思ったら外を見ます。 六階のベランダから見る空。帯状の雲があったり、十四日の月が…

さゆりこ

暇だと思ったら外を見ます。 六階のベランダから見る空。帯状の雲があったり、十四日の月が渡っていったり、トビがカラスに追いかけられたり。季節の流れをゆっくり眺め、自分は誰でもないことを知る。

最近の記事

晴れた春の川辺で思う

マガモのオスとカルガモが組になっていた。 水は随分と透明で、二羽はせわしなく動きまわる。 マガモの頭の緑が豊かに輝く。ベルベットのような高級感ある光沢。こんなにきれいなものってこの世にあるのか、と思う。 彼はシベリアに渡っていかないのだろうか。空気のぬるんだ今日この頃、そろそろ向かってもいいのに。 カルガモと共に時を過ごすのを選んだのだろうか。 春の光に輝く生き物と、それを見る私と。 今日すべきことを全部放り出して、光の中を動き回りたい。 きっとこの気持ちは、私が自然の一

    • 河原にいながら金木犀とビール

      河原にいながら金木犀とビール。 寝転んで図書館から借りてきた本を読む。 向こうには鮎を釣っている人がいる。 風に乗って、ギャオ、ぎゃあお。鷺が鳴いているんだ。木の間であちこち飛び回っていた雀の群れが、一斉にどこかに去った。 朝起きてせっかく思いついたことが思い出せない。いい考えだと思えたことだけ覚えている。 こうして今日のこと、今のこと、忘れたくなくて、残したくて、書き留めておくけれど。 17年前もそう考えて、海岸にいた自分を思い出す。

      • 昨日の秋分の日

        ウキ浮かぶ初の釣り堀三人で バケツの金魚 彼岸花色

        • ダンボールとの会話

          私はダンボール。 2週間前にこの家にやってきた。 私の客人は「イス」と呼ばれていた。私の役割は彼を包んでやること。 そして彼はこの家の子供部屋に迎えられ、私はその役割を終えた。 役割を終えた私はどうなるか?長く続いた同志たちの歴史を私も知っている。大体は二通りだ。 ひとつめ。カッターでそれまでの形を崩され、同志と共に束にされ、片隅に置かれる。そして暗いどこかに連れて行かれ、粉々になり、再生の時を待つ。 ふたつめ。誰かに持ち去られる。そして誰かに敷かれたり、家にされたり、とに

        晴れた春の川辺で思う

          『私の恋人』上田岳弘を読んで

          面白かった! 120ページと短い物語のなかに、人類が抱えた業とそこへの未来の希望、そしてたった一人の「恋人」を焦がれる思いが凝縮されてる。 メインの登場人物は3人だけ。時折交じる生活感もリアル。 序盤で「私の恋人」像をざっくり描き、それに沿ったヒロインが登場するところに作者の巧みさを感じる。「どんな異性がタイプ?」の質問に皆さん困惑しません?外見とか性格ではなく、行動や生い立ちに相手の魅力を見出すことって実はかなり多いと思うのですが。 「運命」の一言で片付けない、人類と恋の運

          『私の恋人』上田岳弘を読んで

          ひばくってなに? と訊いてくる八歳児 歳月おそろしく あの空の話をする

          ひばくってなに? と訊いてくる八歳児 歳月おそろしく あの空の話をする

          健康についての出会い

          ポテトチップスを買ってしまった。 ダイエット中なのに。身体に悪いって知ってるのに。 目の前にあると食べてしまう。自分の衝動買いを後悔する。 すると、通りかかった公園にホームレスの人がいた。 そうだ。善人ぶって、彼にこのポテチをあげよう。 「あの、よかったらこれ、食べてください。今買ったばかりで、封も開けてませんから」 「あー、あんた、いいよ」 「いえ、いいんです」 「いや、ほんとにいらないんだ。わたしゃ糖尿病なんだ」 「え」 「あんたも若いんだから、食べるもんには気をつけ

          健康についての出会い

          何を書くのか

          やりたいこと、 やるべきこと、 やりたかったこと、 やらざるを得ないこと 生きていればそれぞれ交錯して疲れます。 ここでは書きたいことだけを書く。

          何を書くのか