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怒涛の1ヶ月半から多くを学ぶ

前回、ようやく秋らしい冷たい風が感じられるようになり、靴下の話をしていたと思うのだが、それが1ヶ月半前。

その時には全く予想もできなかったような現実の中に今いる。

と言うのは少々大袈裟かもしれないのだが、引っ越しをしたのだ。
それも歩いて15分程度の近距離に。
これまでで最も近い場所への引越しだった。

私たちは結婚して以来、数回、湘南界隈で引越しを繰り返してきた。
引越しの理由は様々で、住んでみたかった場所に偶然にも私たちの条件にぴったり合う物件が突然現れたり、定期借家で期限が来たり、家賃を見直したくて家を探していたら新しく出会うエリアに引っ越すことになったり。

いつも家は、おおむね不満もなく、むしろ満足して暮らしてきた。
ただ、常に何かのタイミングが来て引っ越すことになっていたのだ。
退去する時にはどの家でも、「いい家だったな」と思いながら引き払ってきた。
今回もそうだ。

きっかけは、なんの気なしのネット検索だった。
実は以前から日本の拠点となる家を探してきた私たちは、検索しては、時々内見にも行ったりしながら、なかなかこれといった引越し先に出会うことがなく、コロナ禍の少し前くらいから探し続けていた。
場所は群馬から神奈川の端まで、東京でもいいのではないかとか、ああでもないこうでもないと検索しては、内見し、決定打に欠けて見送るということを繰り返してきた。

日本の拠点を探して、はや3年が過ぎていた。
もう半ば諦めていたこの秋、本当になぜあの時、私は検索してみようと思ったのか、
理由は定かではないのだが、とにかく、全く真剣な熱意もなしに、たまたまその時に閃いた検索ワードで物件検索をしてみたのだ。
それも関東全域という広範囲で。
価格が安い順に見ていくという検索方法で。
そうしたら、なんと驚くべきことに、目と鼻の先の物件がパンッと表示された。

灯台下暗しとはまさにこのことで、まさか今いる場所の近くに自分たちが探していたものが存在するなど、夢にも思わなかった。

私は半信半疑で夫にそのページのリンクを送った。
物件の詳細な住所は掲載されていなかったが、Googleマップ達人の夫により即座にその家は特定され、翌朝2人で外観を確認しに行った。

それが10月の3週目の話。

そこからは、旋風の如く話が進み、先月末に前の家を完全に引き払い、私は今新しい家で、荷物のカオスがやや片付きつつあるような無いような中の、なんとかキッチン近くに設置できた大きめのテーブルでこれを書いている。

10月の半ばに靴下の話を書いていた私には、全く予想もつかなかった展開だが、現実は起きた。

ここまで書いてくると、私のことを、変化に強い人なのかと思われるかもしれないが、実際はその真逆で、変化にすこぶる弱いタイプである。
小学校の頃から担任の先生が変わるたびに大騒ぎし、引っ越しなんて天変地異レベルの変化であり、旅行ひとつとってもなかなか出掛けて行けないような、変化耐性ゼロな人なのだ。
しかし変化しか存在しないような夫と夫婦になり、以来この8年ほどは激動の日々を味合わせていただいている。

おかげさまで随分変化に対応できるようになってきたようにも思うのだが、いかんせん、根っこが変化耐性ゼロ人間なもので、やっぱり大変は大変なのである。
役所の手続き一つとっても、大変。
実際冷静に考えれば、そんな大変なことは何もないのだが、私自身の心理的にはかなりの大ごととしてダメージを受けてしまうのだ。
一つ一つ、住所を変更するための手続きをし、年金、健康保険なども窓口ごとに確認し、まさかの同じタイミングでパスポートの更新時期が来てしまい、あわあわしながら手順を確認して更新。
日本の窓口はどこも親切だし、そもそも日本語だし、そんなに大変なことなんて無いはずなのだが、一つ手続きを済ませるたびに、大きな息をはああああッと吐かなければならない程の圧を勝手に感じていた。

もうここまでくると、できるできない、得意不得意なんて言っていられないので、とにかくやるしかない。私はなんとかこの精神的圧迫を乗り越えるために、こう考えることにした。

「しめしめ、これでまんまと寿命が縮まったぞ。よしよし。」

長生き願望が全くない私は、太く短く生きたいと常に思っている。
人が、プレッシャーを感じたり疲れたりすることに苦痛を覚えるのは、もしかしたら健康長寿を願っているからなのではないだろうか、と思ったのだ。

結果的に2週間くらいならばこの方法は有効であることが判明した。
初めのうちは、この魔法の思い込みで、私は元気を即座に取り戻し、次々に引っ越しの準備を進められていた。

しかし3週目になると、やはり綻びが出てくる。
胸の中心辺りに圧迫感を感じたり、頭痛の頻度が上がったりと、身体にサインが出始めた。

そして4週目。いよいよ前の家の引き払いに向けた最終週である。
あまりにも追い込みすぎたようで、涙が止まらなくなった。

はい。つまり、この方法、「良い子は真似しないでね」ってやつだったのである。

そんなわけで、精神的に無理をすると人間はこんな風に追い込まれますというのを1ヶ月に凝縮してやってみた私からのアドバイスは

「ストレスは貯めてはいけません」

という普通の話であった。

ちなみにストレスによる追い込まれ順番としては

ステップ1・脳を騙しながら無理をすることでハイテンションになり乗り越えた勘違いをする

ステップ2・脳は騙せているつもりなのだが、どこか体に不調のサインが現れ始める

ステップ3・心身ともに崩壊し、自分ではコントロールができなくなる。

ということになろうか。

「引っ越したよヤッホー」という話だったのだが、なぜか精神の追い込まれ方の話に着地してしまったわけだが、おかげさまで今はやや心穏やかに、新しい家で寝起きしている。

そして「引っ越したよ」の話は、つまり、

「なんか違うなと思う時はサッと辞めるべきであり、

これだと思う時は光の如く動くべきである。」


という話であったのだが、なかなか自分に1ヶ月濃縮追い込み期間を体験させると回復にも時間がかかるようで、脳もいまだやや倒れているのかもしれないのであった。

そんなこんなで、しばらく更新できていなかったのだが、

私は元気です

ということでありました。

さて年末に向けて、楽しく過ごしていきますよ。

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