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ルピナスさん/Miss Rumphius .

『ルピナスさん』

 Text and illustrations by Barbara Cooney バーバラ・クーニ―,  掛川 恭子 訳

 バーバラ・クーニ―は、自立した女性を描く絵本作家で、彼女の目には女の子からおばあさんまで、しっかりと個として描き切るという透徹とした目線があって、その確かさに私はどうしても安心してしまう。

そして画家でもあったクーニ―の絵は、一層その自立性を引き立てて、ほとんど孤独さえ感じるようだ。

だけれど人が孤独を抱えた存在でなかったら、どうして他の人と手がつなげるでしょう。

クーニ―は孤独を肯定して読者にさしだした作家だと思う。

英題は、Miss Rumphius .
英版の方が凛とした女性像がひきたつと私は思うけれど、読んでいるのは邦訳で、感動しているのもこの本なので、訳もすばらしいのだと思います。

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ミス・ランフィアスがアリスと呼ばれていたころ、アリスはおじいさんから、とおいくにぐにのはなしをたくさんしてもらいました。

「私も遠くに行っていろいろなものを見るわ。」

おじいさんは、こういいます。

「それはけっこうだがね、アリス、もうひとつ、しなくてはならないことがあるぞ」

「なんなの?」

「世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしてもらいたいのだよ」

「いいわ」

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アリスが大きくなって、たどりついた世の中を美しくするためにできることはなんだったでしょう。

人間が活動すること自体の多くが環境破壊だということが、一目瞭然となった今回のコロナ騒動。

そもそもウィルス蔓延の遠因は森林破壊といわれていることさえ、目をそらす大国。

矛盾の上に成り立つ自分に、どう生きるべきか立ち止まる。

答えはでないけど、この問いに自分なりの答えみつけることが、目下の課題かもしれません。