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JAPAN⇄CANADA 2-4

引っ越してから家にネットが繋がるのに数日かかりました。ネットがない間は、家族で近所のスーパーに通って無料wi-fiを使っていました。近所のスーパーは車で10分弱の場所にあり、1人で行くことはなかなか難しかったのでみんなが車で行くときに私も一緒に行っていました。外の世界と繋がる方法がネットしかなかった私(達)は毎日スーパーに通っていました。まみーは近況の報告や荷物など諸々のことを日本の家族や友達に報告するためにネットが必要でした。弟や妹も一緒に来てネットがないとできないようなことをしていました。私もまみー同様に日本の友達と連絡したり、この頃から使い始めたツイッターで日本の様々な情報を取得したりしていました。

何日もこんな日が続いていたわけだはないけれど、このネットが家に繋がっていなかった間が凄く長い間のように感じました。ようやWi-Fiのルーターが家に届いて、インターネットが使えるようになった日は本当に嬉しかったです。とにかく日本とのコネクションが、朝起きた時から寝るまでそばにあるのが嬉しかったのです。こうなると部屋への引きこもり頻度が多くなっていきます。そして何が始まったかというと、動画漁りが始まりました。ひたすらアニメやバラエティを見て1日を過ごすようになりました。今まで夜更かしなんかしたことなかったのに夜更かしをするようにもなりました。ずっと見るだけでは手持ち無沙汰だったので食べる量も増えました。引っ越しのストレスで減っていた体重が元を通り越してだいぶ増えてしまいました。体重計を買って、それに乗った日には自分でびっくりしたのを覚えています。私の生活はだいぶ乱れていました。

そんな中ついに学校へ戻る時がやってきました。私と弟は校区内の高校へ向かいました(もちろん家族全員で行ったのですが、そこは文脈で汲み取っていただければ)。カナダは高校でも受験は必要ありません。校区内の学校にほぼ全員が進学します。例外で、特定の授業を受けたいけれど校区内の学校にその授業がない場合は校区外の高校へ通うことができました。そんなことを知るよしもない私は、どういう基準で今から行く高校を親は選んだんやろうかと思いながら、親の運転する車に乗せられて高校へ行きました。

着いてからまず事務室へ案内されました。そしてそこへ1人の先生がやってきました。その先生はESL(English as Second Language)という英語が母国語ではない生徒の受ける授業やサポートを行う部署の先生でした。早速先生は自分のことを紹介して、私たちに話しかけました。学校に来たくなかったし、親のやることなすことに反発していたので先生の質問にも無愛想にしか返答をしませんでした。困り顔の先生に親が謝りながら私と弟は2階の図書室の奥にある部屋へ連れて行かれました。奥で弟と2人でこれからの流れの説明を受けて、レベルチェックの試験を受けました。勉強は好きだけれど、英語を読むのも書くのも嫌になっていた私は故意に書かないようにしようと思いました。しかしそれを感じたのか、先生に
「ここでちゃんと受けないと自分のレベルに沿ったクラスに入れるか判断が出来なくなるから、嫌かもしれないけれどちゃんと受けてね」
と言われました。
バレてる、と思いながら弟と仕切りで仕切られた机に隣同士で座り、試験を受けました。

この日は試験を受けただけで、後日登校日初日に試験の結果を踏まえた時間割をお知らせするという形で家に帰りました。いよいよカナダでの学生生活が現実味を帯び始めた瞬間でした。あ、私は本当にカナダの高校生になっちゃうんだという哀しさに打ちひしがれました。何のために受験して高校に入学したんだろうと思いました。説明してくれた先生に対しても愚痴をこぼしながら1日の残りの時間を過ごしました。この先生との出会いが自分にとってかけがえのないものになるとも知らずに。

-つづく-

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