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JAPA⇄CANADA

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カナダに引っ越すことになってからのあれこれを赤裸々に書いたエッセイです。 思春期の不安定な気持ちをこれでもかというくらい詰め込んだ切ないけれど、がんばろって思えるエッセイになって… もっと読む
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#エッセイ

JAPAN⇄CANADA 5-2

JAPAN⇄CANADA 5-2

アルバイトを始めてから悲しいと感じたことはお小遣いを貰えなくなったことです。自分で稼ぐようになったので当たり前と言えば当たり前のことなのですが、着実に大人になっているんだなという事実を肌で感じた出来事の1つでした(といいつ、色んなところでちょこちょこ払ってくれました)。カナダに引っ越してからはお正月のお年玉も無くなってしまったのでそれも悲しいな、と感じました。お年玉に関しては単にお金がもらえない、

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JAPAN⇄CANADA 5-1

JAPAN⇄CANADA 5-1

(この回ではピアス穴を開ける話をしております。身体を傷つける内容が苦手は方はご注意ください)

高校卒業、マーチングの大会最高得点での優勝、大学進学の思わぬ足踏み、さまざまなことが起こった2014年夏も過ぎて秋の気配を感じ出した矢先、カルガリー市は思わぬ大雪に見舞われました。9月最初の週に足首程の深さまで積もる雪が降ったのは異例の出来事でした。2日後には気温も上昇し完全に溶けてしまったのですが、被

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JAPAN⇄CANADA 4-8

JAPAN⇄CANADA 4-8

大会のあったサンパウロからリオデジャネイロに移動して、最後の数日は観光をして過ごしました。リオのホテルは「いいホテル」に部類するもので、ベッドもふかふかで冷蔵庫の中には飲み物、お菓子も置かれてありました(もちろんこれらは食べたり飲んだりすると後で支払う必要があるものなんですが)。

ここからは完全にお遊びモードで時間も有り余っているのでリオの街をグループで歩き回っては気になるお店で買い物をしたり、

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JAPAN⇄CANADA 4-7

JAPAN⇄CANADA 4-7

ブラジルではマーチング以外にも沢山のことを経験しました。その中でも印象に残っているのはシュラスコです。サーバーが棒に刺さったいろんな種類のお肉を持ってきていた景色をはっきりと覚えています。そしてそれがひっきりなしだったのには驚きました。各席に「YES」と「NO」を表示できる札があり、サーバー達はそれを見てお肉をお皿に切り分けるかどうかを判断します。ひっくり返さないとほんとにずっとお皿に乗れさせるの

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JAPAN⇄CANADA 4-6

JAPAN⇄CANADA 4-6

10日間続いた本番が無事に終わり、今シーズンは残りブラジルのツアーのみとなりました。数日間の休みの後、また練習が再開しましたが楽器を送らないといけないので日数はそんなにありません。現地に行く前に出来ることに取り組んでいると、あっという間に出発の日になりました。前年度はグランパ(祖父)が亡くなった直後で不安の中での出発でしたが、この年は特に何もなく気合も充分の中当日を迎えることができました。

ブラ

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JAPAN⇄CANADA 4-5

JAPAN⇄CANADA 4-5

スタンピードショーバンド、2年目の夏は昨年よりワクワクしていました。またあの楽しい最高の日々が過ごせると思うといてもたってもいられません。12時間(内食事休憩2.5時間)の練習が毎日行われるのは確かに疲れましたが、その疲れを飛ばしてくれたのもマーチングの練習や本番でした。6月末には学校も終わっていたので心置きなくマーチングに集中することができたし、それこそ苦楽を共にしてきた仲間と過ごす時間はかけが

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JAPAN⇄CANADA 4-4

JAPAN⇄CANADA 4-4

2014年に入り、学校は最後の学期が始まりました。ついに高校生活も残り半年です。ようやく迎える卒業を楽しみにしていた反面、不安もたくさんありました。特に英語30-1を受講することは私の頭を大いに悩ませていました。30-1は高校3年生の上のレベルです。大学に進学するために必要な履修科目なのですが、英語の成績が良くなく苦手だった私は常に緊張して授業を受けていました。ここでふとなぜ小さい頃から英語に触れ

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JAPAN⇄CANADA 4-3

JAPAN⇄CANADA 4-3

マーチングの年度最初の練習は、去年と違い知ってる人ばかりだったので孤立することもなくむしろ私から話しかけに行きました。久しぶりに集まっての練習だけあってメンバーみんな再会を喜び、そして新体制にわくわくしていました。新体制、ということはもちろん新しく入ってきたメンバーもいるということです。クラリネットパートには6人新しいメンバーが加わりました。下に後輩はできたものの、たった1年先に入っただけだし、ど

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JAPAN⇄CANADA 4-2

JAPAN⇄CANADA 4-2

(今回は以前noteにあげた「東京へ来た理由とイラストレーション」でも触れている話が出てきます。そちらも併せて読んでいただけると嬉しいです)

私の通っていた高校では、10月から11月にかけて「Post Secondary Fair (ポストセカンダリーフェア)」というものが開催されました。ポストセカンダリーとは高校卒業後の学校のことで、大学・短大・専門学校などあらゆる選択肢のことを指します。12

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JAPAN⇄CANADA 4-1

JAPAN⇄CANADA 4-1

(いよいよ第4章。今回からイラストも変わってます!)

待ちに待った、高校生活最後の1年がやってきました。日本の同級生は大学生になっており、カナダの学校でも1つ年下の子達が卒業していきました。少し周りより遅れていることが嫌だという気持ちもありましたが、前ほどは思っていなかったかもしれません。その大きな要因は友人、親友と呼べる人の存在だと思います。引っ越した当初は友達なんかいらないと言っていた私です

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JAPAN⇄CANADA 3-10(2)

JAPAN⇄CANADA 3-10(2)

予選はそこまで重要視していませんでした。なぜならそれだけ自信があったからです。過去のバンドの成績で考えると予選通過は当たり前なのです。実際予選の日の記憶があまりないです。1番記憶に残っていることといえば、外に出た時に黒の長袖ユニフォームがやたら暑く感じたことくらいです。みんな暑い暑いと不満を漏らしていました。私も流石に暑くて汗がいっぱい出ました。

スタッフも予選よりも次の日の決勝を意識してきて、

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JAPAN⇄CANADA 3-10(1)

JAPAN⇄CANADA 3-10(1)

カルガリーから飛行機に乗ること約9時間、成田空港にカルガリースタンピードショーバントが上陸しました。メンバー、スタッフ、引率の保護者全員で同じ飛行機に乗っていたので、機内の殆どが私たちのバンドで埋め尽くされていました。きっとそこに搭乗した他のお客さんは、なにごと?!と思ったことでしょう。

到着してからすぐにバスに乗り込み、静岡県浜松市に移動しました。大会までまだ1週間以上あったので、それまでは浜

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JAPAN⇄CANADA 3-9

JAPAN⇄CANADA 3-9

スタンピードが終わった後、1週間の休みが入りました。この間私はゆっくり体を休めながらツアーの準備のため買い物をちょこちょこしていました。そんな休みもあっという間に終わり、ツアー前最後の練習期間、ヘルウィーク2が始まりました。この練習期間は、フィールドショーの最終調整のために充てられました。上出来から素晴らしい、素晴らしいから完璧にしていくんだ、とスタッフは口々に言っていました。

そんな中、荷物詰

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JAPAN⇄CANADA 3-8

JAPAN⇄CANADA 3-8

6月末、学校も期末期間に入り、マーチングもいよいよ毎週末練習や本番があるサマーシーズンに差し掛かったある日、カルガリー市に思いもよらない災害が起こったのです。

その日はえらく酷い雨の降る日でした。5月末から7月頭あたりまで、日本までとは言いませんが、カルガリーも天気が崩れシャワーのような雨や雹なんかが降ったりする季節がやってきます。今回もそんな感じなのかなと思いながら、私は迫っていた社会の試験に

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