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サンフランシスコを歩いて、未来のカスタマーエクスペリエンスを探す(後編)

さて、2019年の4月末に行ってきたサンフランシスコについて。主にTech系のトレンドを取り入れた店舗について書く、後編です。ちなみに、こちらで出てくる店舗はこんな感じ。

- b8ta
- TARGET Open House
- Amazon Book Store
- WARBY PARKER

前編はこちら。

b8ta: 新しい体験を提供する店舗、のデザイン

さて、サンフランシスコに行く前から一番期待していたb8taです。San Fransisco店とSillicon Valley店と両方行きました。

すでに日本でも多くの人が知っているであろうb8taですが、簡単に紹介。b8taのミッションは「Retail Designed for Discovery」。直訳すると「(世界のイノベーションを)発見するためにデザインされた店舗」とでも言いましょうか。b8taの公式ウェブサイトにはOur Storyとして「There's a big gap between the innovative products available online and what can be seen or tried in person. In 2015, we founded b8ta to create spaces where shoppers could try the latest products out of-the-box.」とあります。つまり、世界で生まれるイノベーティブなプロダクトはほとんどがオンラインで取引されていて、実店舗には出てこない。実際に手に触れてイノベーションを「Discovery」を提供できている場がない、と言う課題意識で創業されたとのこと。

最近は経営破綻したトイザらス再生に携わることを発表しています。

こちらがSillicon Valley店。オープン直後に行ったので少々閑散としていますが、店員のお兄さんはかなりフレンドリー。

こちらはSan Fransisco店。市庁舎があるエリアの近くにあります。

実際に店舗に行って感じたのは二つ。一つは、完全にEC風の店舗体験になっていること。全ての商品の横にはタブレットが置いてあり

タブレットの中では、Overview(ライフスタイルを想像させるトップ写真)/ Description(コンセプト説明)/ Video/ Gallery/ Buy Nowと言う商品の詳細を見ることができます。既存の店舗のように、店頭POPに書かれた「値段」や「機能比較表」ではなく、タブレットでコンセプトの説明を読んで、ビデオを見て、商品写真をじっくり見て・・・・と言うのが、リアル店舗にいるのにECっぽい体験です。基本的には「新しい体験」を提供するプロダクトばかりなので、使用イメージを伝えるビデオはしっかり作り込んでいるものが多かったです。(ビデオはない商品もあったんですけどね。)

もう一つは、一つ目と逆行しますが、必ず店員とリアルなコミュニケーションを取る設計になっていること。この「Buy Now」というボタンを押すと、店員さんを呼ぶようになってるんですね。店員さんがきて、顧客が商品のことを正しく理解したか、確認しながらお会計をしてくれます。ここは、顧客のリアルな反応が必ず取れる設計にしているのかな、と考えられます。

b8taでしか買えない物を何か買ってみよう、と思って、私も買ってみました。Neo Smartpen!! ペンでノートに書いた情報がそのまま電子データ化される体験にしびれました。

そしたら、帰国後に調べたところ、実は普通に日本のamazonで買えたと言うオチ・・・・。笑。b8taでしか出てないものかどうかは、よくわかんなかったですね。(そう言うミーハー心を持つ人がターゲットじゃないと言うことですかね・・・。)

あと、意外と日本の商品もありました。これはバーミキュラMusui-Kamado。

ポケトークも。

TARGET Open House: 既存流通が挑戦する未来の店舗のデザイン

もう一つ、「体験を提供する店舗」の一つ、Target Open House。これは既存流通が新しいことに挑戦している例として気になっていました。2階は普通のTargetで、1階にOpen Houseエリアを設置しています。

訪問時間帯が平日の閉店間近だった(木曜の17時ごろ訪問)こともあり、私以外に客はおらず閑散とした感じ。Open Houseへの導線も、入り口は1階の少し奥まったところでメイン売り場(2階)へ直通するエスカレーターに隠されているので、わかりづらい買ったです。(大きなポスターは出しているものの。)私がみた限りは、メイン売り場との関連づけは特に見当た利ませんでした。

すごく正直な感想を言うと、中身は「洗練されていないb8ta」。展示してある一つ一つの脇にタブレットをおき、”Features” “Videos”、などが表示された説明が提供されているところまでよく似ています。

tabletにはFeatureとかVideo意外に、”Share”とか”Like”とかの直接的なコンバージョンに繋がるメニューもありました。b8ta以上にわかりやすいKPIを欲している印象。

b8taと比較して違うのは、展示物の幅が広く展示点数が多かったこと。すでにかなり広まりつつあるような商品(例:Google Home)であっても展示してありました。この違いは、b8taが最先端のアイディアを実際に手に触れてみてDiscoveryさせることに注目しているのに対して、Targetは暮らしをSmart化し、よくしていくことを一緒に考える場としているからかなと思います。(そう言う意味では、上記の「洗練されていない」」って言うのも問題じゃないのかもしれませんね。)

顧客とCreatorがディスカッションするようなGarageも設けられていました。

私はてっきりOpen Houseはb8taなどの取り組みに感化されて最近始まったのかと勘違いしたのですが、このOpen Houseのオープンはb8taと同じ2015年だったそう。始まったばかりで手探りなのかなーと思っていたのですが、どちらかと言うとスローダウンしてしまっている、と言うことをnagikoさんのnoteで知りました。(そして、同じnoteで知りましたが、D2Cスタートアップの商品などは2階の一般売り場の方に並んでいたようです。見逃した・・・・。)

ですが、全体として自分はこのTargetのOpen Houseの取り組みにかなりポジティブな印象を持ちました。と言うのも、b8ta、Target Open Houseと前後してアメリカの大手家電流通の店舗も訪れたのですが、十年前とほとんど何も変わらない店舗の姿をしていたことに逆にショックを受けたんですね。それと比較すると、人の暮らしが変わることから、新しい店舗のあり方を模索していこうと言う取り組みをTargetのような伝統的な流通がやっているのはすごく頼もしく感じました。

Amazon Book StoreとWARBY PARKERの感想

他にも、店舗系でいうとこんなところにも行きました。
Amazon Book Store:Amazonのような使用体験(Most-Wished-For-Bookという特集がある、とか)がリアルに展開されているのは確かにそうなのですが、思った以上に伝統的な本屋さんっぽい作りにしてあるなと言うのが私の印象でした。Tech Techしていることもなく、Apple Storeやb8taのような開放的な雰囲気とか明るい木目調とかではなくダークトーンのうちにこもる雰囲気の書店。クラシックな店づくりにすることで、これまでAmazonとそこまでエンゲージしてない人(多分、保守的な人)を取り込むことが目的なのだろうか・・・・。

WARBY PARKER: 「ブティック」って感じのお店の作りでとってもお洒落でした。ここは私がうまく面白い点を見つけられず・・・・。おそらくこれはD2CとしてのWARBY PARKERを体感してないと分からないのかも・・・。勉強不足ですね。

と言うことで、後編はここまでです。ちょっと漏れてしまったものがあるので、またおまけ編を書きたいと思います。ぜひ前編もご覧ください。CAFE XやAmazon Goについて書いています。


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