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#87  考察:新型コロナウイルスについて。~デジタル化とグローバル化~

新型コロナウイルスは、2020年1月に中国の湖北省武漢市で発生が報告され、その猛威は三か月程度で世界中に瞬く間に拡大していった。(1)  Twitterでは、「#COVID19」「#StayHome」というハッシュタグが流行し、「とにかく家にいることが身を守り大事な人を守るのだ」というメッセージ動画も多く寄せられた。我々大学生はというと、オンライン授業に切り替わり、PCで授業を受けるのが当たり前になり、チャット機能を使うことで質問しやすくなり、多数寄せられ盛り上がる場面も多く見受けられる。今、私たちの価値観や生活様式までも変えようとしている、新型コロナウイルスについて、「デジタル化」「グローバル化」という二つの観点から論じてく。       
 初めに、新型コロナウイルスが「デジタル化」にもたらした影響を「働き方」の観点から論じていきたい。
 強制的なStayHome週間で、オンラインで生活しないといけなくなった。働く人々は、テレワークになり、「昔ながらの慣習の見直し」が推し進められている。その象徴として、「ハンコ文化や対面原則、書面主義」が挙げられるであろう。しかし、経団連の中西会長は「ハンコ(に頼る文化)はまったくナンセンスだ」と言っている。(2) 新型コロナウイルスを契機に、一気に在宅勤務も進んできているため、今までのワークフローでは対応できない部分も多いのだ。実際、ITRの「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」 の中で、「今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動自粛要請は、あなたの勤務先のIT戦略の遂行(デジタル化の進展)にどのような影響を及ぼすと思いますか?」という問いに対し、約七割の企業が「大いに加速すると思う」または「やや加速すると思う」と回答しており、すでにデジタル化は必須であるという意識の表れでもあり、IT戦略は今後企業の中で重要視される部分であることが分かる。(3)また、結果を業種別にみると、金融・保険・公共は「大いに加速」「やや加速」の割合が他より高く、社会インフラのデジタル化がさらに進んでいくことも容易に考えられる。(4)このように、企業の意識がデジタル化に向いている中で、「ハンコ文化や対面原則、書面主義」といった「昔ながらの慣習」は見直されていき、仕事の中でのデジタル対応は必須になっていく。
 そして、人事評価も変わっていくことが推測される。在宅勤務だと、成果は見ることが出来ても、過程は見えにくい。さらに成果主義へと移行していくことも考えられる。ITRの「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」の中で、「今回の新型コロナウイルス感染対策として、あなたの勤務先で実施した緊急対応を教えてください。」という質問の回答の上位に、「コミュニケーション・ツールの新規・追加導入」というものがあった。オンラインで対面できない分、いかにしてコミュニケーションを多くし、円滑に仕事を進めていくかという問題が背景にあると考えられる。(5)オンラインでのコミュニケーション能力が新たに問われていくが、変わらず、「報連相」の徹底は今後も大事になっていくだろう。
 最後に、日本経済新聞では「テレワーク」研究第一人者の比嘉邦彦・東京工業大学教授は在宅勤務を続けるために「企業が社員に対して最低限必要な配慮が5つある」という。「働き過ぎにならないような工夫」「自宅での業務環境への配慮」「同居する家族などへの配慮」「疎外感を緩和するための工夫」「セキュリティー体制の徹底」だ。」 と述べられている。(6)「働き方」が新型コロナウイルスで変容していく中で、働く人々の転換だけではなく、企業側の配慮や転換も求められていくのだ。新型コロナウイルスは、日本人の仕事観、働き方の固定概念を壊し、世界の一流企業GAFAMが当たり前にやっているような体制を今後日本企業でも築かざる負えなくなる。今後は、日本でも「電子書面、オンライン会議、成果主義」が主流になっていくであろう。企業側も働く側もデジタル化に移行していく中で、互いの配慮と迅速な対応スピードが必要である。
 次に、新型コロナウイルスがグローバル化にもたらした新型コロナウイルスがグローバル化にもたらした影響を「9月入学」の観点より論じていきたい。
 新型コロナウイルスが発生する前までの世界は、ボーダーレスにヒト・モノ・カネが巡っていたが、現在はヒトが全く動けない状況にある。そして、そもそもグローバル化を前提としたバリューチェーンが海外にある企業も多く、海外拠点で成長してきた側面もある。そして、旅行業界や観光業界、ホテル業界、航空業界は大打撃を受けている。このような状況を鑑みると、グローバル化は止まりつつあると考えられる。しかし、この新型コロナウイルスを契機に「9月入学」を検討し始める動きが出てきた。日本経済新聞は「都道府県の知事に賛否を聞いたところ、約六割が賛意を示した」 と述べている。(7)ハワイ大マノア校日本研究所長のラニー氏も「日本の学年度を米国などと合わせるのは学生の交換プログラムに有益だ。現行制度は学年度のズレによって調整が非常に難しいためだ。」 と言及している。(8)もし、九月入学が開始されたら、日本は遅れているグローバル化が一層進んでいくであろう。世界と足並みを揃えることで、留学生の受け入れも容易になり、研究や教育も発展しやすくなると考えられる。しかし、9月入学は30年前に議論され、2011年には、東京大学でも検討されていたが、断ち消えとなっていた。今回の新型コロナウイルスという機会を利用して、九月入学を推し進めることで、学生層のグローバル化を拡大させ、世界の流れと足並みを揃えていくべきである。
 最後に、デジタル化とグローバル化という観点で論じてきたものを総括していきたい。今や、「オンライン生活」が主流となり、デジタル化は普通になってきた。そして、オンラインで、いつでもどこにいても誰とでも繋がれる状況になったため、オンラインでのグローバル化は容易に進んでいると考えられる。仕事という観点では、デジタル化によってパラレルワークが進み、今まで現地に行かなければ出来ていなかったグローバルな仕事もPC片手に出来るようになり、仕事の幅自体が広がっていく。そして、教育という観点では、デジタル化によって、知識も講義も解放され、グローバルでボーダーレスな教育方法も今後進んでいくことに違いない。つまり、情報のグローバル化がもっと進んでいくということである。その情報源は、世界の共通言語でもある、英語に行きつく。日本人は英語が苦手だということも聴くことが多いが、今後日本が生き残り、世界の先進国で居続けられるには、英語教育に力を入れていくことが最も重要であり、それと同時にグローバルなリーダー人材を輩出していくことが急務である。長らく日本のでも課題であっただろうが、新型コロナウイルスでさらに顕著になってきているのだ。

引用文献

1:「新型コロナウイルス感染症について」(最終観覧日2020/05/18)
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/005/006/d00184143.html
2:日本経済新聞「経団連会長、ハンコ文化「ナンセンス」」(最終観覧日2020/05/18)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58536970X20C20A4EE8000/
3、4、5:ITR「「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」報告書」2020年5月12日
6:日本経済新聞「在宅勤務7割「続けたい」」(最終観覧日2020/05/18)https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59153840V10C20A5TY5000/
7:日本経済新聞「9月入学、知事の6割賛成、グローバル化期待」2020年5月13日朝刊
8:日本経済新聞「(9月入学 海外有識者に聞く)国際人材育成に貢献も」2020年5月13日朝刊

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