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病院はカウンセリングを受けるところではなかった(カウンセリングルームを開業した個人的な話12)

※カウンセリングルームの経営に役立つ普遍的な話は、個人的な話の後に書く予定です。
※この記事は目次に沿って書いています。

約25年前の話です。
私は、「心療内科」に駆け込みました。その数年前まで、「心療内科」を標榜している病院を見かけた記憶はありません(2000年前後の話)。
今は普通に感じられるかもしれませんが、精神科の他に、うつなどの薬を出す病院はなかったのではないでしょうか?

私がその病院に行ったのは、通勤の経路に新しくできた病院があるな、と認識していたからです。なぜ、印象に残っていったかというと、窓ガラスに貼られた「ストレス」と「心療内科」の文字が非常に目立っていたからです。

後に、心療内科は、心因性による体の不調を診る所だと知りますが、受診する人たちは、そこまで考えずに、「何かがまずい」という感じで来られていたのではないでしょうか。もちろん、この表現が誰にでも当てはまるわけではないと思いますが、精神科よりも少しソフトな感じがするところ、という認識の方も多かったのではないかと思います。

そうはいっても、心に関わる病院に行くのは初めてで、どんな様子なのか想像もつきませんでした。

初めて足を踏み入れ、待合室に座って周りを見ると……、一見他の病院と特に変わったところはありませんでした。皆さん、風邪をひいて内科に来ている、といった感じにも見えます。
ただ、逆に、普通に見えるのに、こんなに沢山の人が心を病んでるんだな、と新鮮な気持ちになったことを覚えています。
ここに来ることをあまり恥ずかしいと思わなくてもいいのかもしれない、と感じました。

心理テストを終え、診察へ。
不安を強く感じ、仕事に行きづらくなったことなどを話したかと思います。
ドクターに「原因として思い当たることはあるの?」と尋ねられ、「はい」と、上司の件を話しました。
ドクターの答えは以外にも「相手を変えるなんておこがましいことなのよ」ということでした。まあ、目からウロコです。
そして、「抑うつ神経症」という状態に近いかもしれないことと、何か、考え方(おそらく白黒思考などの認知の歪みについて)の資料をもらいました。あとは、抗不安薬。

全てが初めての世界でした。
決められた通りに、抗不安薬を飲み、仕事に行き、1~2週間に一度病院へ通いました。

ただ……、そもそもの自分の中でのモヤモヤしたもの、上司との人間関係について、解決したいというか、どう考えればよいのか、ゆっくり話すことが、自分には必要なのではないか、と感じていました。

何回目かの診察で、ドクターに「よくわからないんですけど、カウンセリングというものを受けられるところってあるんですか?」と尋ねてみました。
それまでの雰囲気で、診察では長々とした話をするものではないことを感じ取っていたからです。(※病院によります)
ドクターの答えは、「あの人たちは無資格だから!」という怒りの混じったものでした。
自分にしてみれば、「あの人たち」がどの人たちなのかもわかりません。
あとで、電話帳(当時は紙の冊子)を調べると、確かにカウンセリングルームという欄があり、いくつかのカウンセリングルームが載っていました。
でも無資格だとどうなのか、ということについては、素人の自分には問題点すらわかりません。解決するならそれでいいのに、とは思いましたが、結局どこへ行けばいいのかわからないまま、カウンセリングを受けることはありませんでした。

補足すると、「カウンセリング」という言葉の定義は、精神科領域に限ったものではありません。「心理カウンセリング」、となると精神病院で「臨床心理士」が行うもの、というのが当時の通例でした。しかし、臨床心理士は国家資格ではありませんでした。
臨床心理について深く勉強し、50分ほどの時間をかけてカウンセリングや心理療法を施す臨床心理士と、精神科医が上手く連携が取れていればベストだと思います。が、どうもその界隈での境界線や関係性が上手くいかなかったのか、なかなか心理系の国家資格の法案が定まらず、国家資格そのものが無いという年数が長かったのです。
国家資格である「公認心理師」というものが法整備され施行されたのは、なんと2017年です。しかも、公認心理師の資格内容を見ると、ケースワーカーに似たような広い領域をカバーするもののようでもあります。

ともかくも、当時は法律が整備されていない中で、民間資格が乱立しており、極端な話、無資格でも「心理カウンセリングルーム」を経営することが可能だったのです。そういった背景があり、ドクターは先のセリフを放った、ということです。

ですが、私自身は、非常に心もとない思いがありました。
診察でのわずかなやりとり。確かに、ドクターの話は参考にはなりますが、根本解決にはならない、と思いました。
ただ、それも私が無知だっただけなのです。
病院は、カウンセリングをするところではなく、基本的には薬を出し、服用した結果を聞き、患者の様子を診てまた薬の調整をする。それが、第一義だったのです。

今では、保険外でカウンセリングをする心療内科もあるようですが、地方都市などではまだまだ少ない印象です。
精神科では臨床心理士がいるのではないかと思いますが、必ずしもカウンセリングが適応と判断されるわけではないようです。この辺りは、それぞれの病院を当たるか、厚生労働省で案内的なものがあるようです。
この件は、語りだすと根深い問題だと思いますし、まとめ切るまで掘り下げて調べていませんので、今のところはこの辺で。


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ホスト名「まりぃ」で活動しています。プロフィールはこちらからどうぞ↑


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