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AM野郎とFMボーイ

就活の時くらいから、ラジオ番組を聴くようになった。それ以来、
「ああ、あの人AMっぽいな」
「あいつ、意外とFM的な所あったんだなぁ」
といった表現を、自分のなかだけで用いることがある。


ラジオ放送は、音声を電気信号に変換したものを電波に乗せて発信する。
その時の変換方法の違いによって、ラジオ放送はAMとFMの2種類に大別される。

AM放送は音波の強弱(音の大小)をそのまま電波の波形で表したもので、広範囲で放送を受信できるものの、電波が混信するためにノイズが入りやすい。
FM放送は音波の強弱を周波数で表し、受信範囲はAMと比べて大きく下がるものの、より広い音域を高音質で送信可能であり、ノイズも少ない。

これらの特徴から、AM放送のラジオ局ではニュースや実況中継などが、FM放送では音楽番組が多く放送されている。


のだが、こうした技術的な事情はあまり問題ではない!

僕の中のAM・FMのイメージは、各ラジオ局で放送されている番組の特徴にカンペキに依存している。
以下にその詳細を記そう。

AM:ANN50%、JUNK30%、日本放送ショーアップナイター20%
FM:J-WAVE70%、bayfm20%、Tokyofm10%

このチャートから導き出されるAM/FMのイメージがずいぶん偏っていることは、想像に難くないだろう。

AMは大衆的で親しみやすく、FMは都会的でオシャレなイメージ。
悪く言えば、AMは俗っぽくて下世話。FMはスノビッシュで高慢ちき。

もちろん、FMっぽい雰囲気のAM番組もあるし、内容はどう考えてもAMだけどFMの電波に乗っている番組もある。
前者の代表例が『菊地成孔の粋な夜電波』、後者の代表例が『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』。


ハンバーガーを食べる時、マクドナルドに行くのは間違いなくAM的だ。
マックは日本放送、バーガーキングはTBSラジオっぽさがある。文化放送はモスバーガー感。

FMっぽい人は、ハンバーガーはプレートに乗ったものだと思っているフシがある。
ちなみに僕は、シェイクシャックにもクアアイナにも行ったことがない。


AM野郎はドトールを愛し、FMボーイはワイアードカフェに行く。

AM野郎は”ツレ”と語りたがるし、FMボーイは”いつものとこ”でチルしたがる。

AM野郎はイオンの東宝シネマで漫画の実写映画を観て、FMボーイはミニシアターで東欧あたりの誰も知らない映画を観る。

ここまで書いてて思ったことだが、人の行動や嗜好を「AMっぽい」「FMっぽい」とカテゴライズしようとする発想は、完全にAM的だ。
それもわかってる。


これは余談だが、日本では総務省の決定によって、2028年までに国内のAM放送を全て停止させ、FMよりも広範囲に受信可能なワイドFM放送に切り替えるのだそう。

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