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白鸚、幸四郎、染五郎、三代揃い踏み!そのほかにも猿之助、愛之助と豪華な出演陣!歌舞伎座にて三谷かぶき「風雲児たち」を観てきた(歌舞伎・感想)

歌舞伎座にて公演中の三谷幸喜、作・演出の月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)・風雲児たちを観てきた。
松本白鸚、幸四郎、染五郎、三代出演、そのほかにも市川猿之助、片岡愛之助など主演級の歌舞伎役者が揃い踏みの豪華さ
ゆえにチケットが取りにくかったわけで(笑)

漫画「風雲児たち」の中から難破しロシアから帰ってきて大黒屋光太夫の話

原作は漫画の風雲児たち。数々のエピソードの中から、大黒屋光太夫の遭難話を歌舞伎化した。


江戸時代、天明2(1782)年。大黒屋光太夫(幸四郎)は、商船神昌丸の船頭として伊勢を出帆。
しかし江戸に向かう途中で激しい嵐に見舞われて漂流してしまい、たどり着いた先は、なんとロシア領の端っこアリューシャン列島アムチトカ島だった。
そこから、光太夫は日本に帰国するために、全く逆の方向、サンクトペテルブルクまでロシア大陸を横断することに。
その間なんと10年!生き残った17人は最終的には4人となり、結局日本に帰れたのは2人という大冒険奇譚。


歌舞伎は3幕で1幕は漂流、2幕はロシア横断、3幕でエカテリーナ謁見、そしてやっと帰国という流れ。


三谷幸喜の悪いところ、序盤の1幕、漂流とアムチトカ島での場面が長すぎる。映画もそうだけど、ともかく序盤が長いんだよなあ、三谷幸喜の演出。
ただただ、漂流し流れ着き、苦しい島の生活を見せらるというあんまり変化がない感じなんだよねえ。
笑どころはあるんだけど、消耗していく姿をずっと見せられるのは辛いよね……


第2幕は40分くらいで大陸横断なんだけど、ここら辺からぐっと面白くなってきて、最後の第3幕はぐっときた。
特にエカテリーナ(猿之助)と謁見する場面と、庄蔵(猿之助)と新蔵(愛之助)との別れのシーン。

キリスト教に帰依してしまった庄蔵と新蔵はロシアに残らねばならず、それを納得してはいたのだが、いざ、別れのシーンとなると日本へ帰りたくなり、光太夫にすがりつく。
その別れの場面だけ、急に歌舞伎(笑)の切り場のような演出になるのだが、やっぱり歌舞伎役者のホームともいうべき、迫力のある演技。
泣けるよ、あのシーンは、本当に。


最後は感動して面白かった!と言えるけど、やっぱり序盤がちょっと辛い。第1幕はもうちょっと短くてもよかったかもねえ。まあ、初演だしね。

台詞は早く現代劇っぽいが、歌舞伎らしい演出もあり。下座音楽が面白い

全体的に現代語なので、演劇っぽい演出がなされてるけど、所々で決めがあり、その辺は歌舞伎らしい演出。
バランスの取り方はやっぱり美味いねえ。


船頭の大黒屋光太夫(幸四郎)は、完全に中間管理職のような感じで、楽観的でありながらあっちこっちに振り回される。
ドラマとかにも出ていた幸四郎はやっぱりこうゆう役もハマってる。


エカテリーナでもあり、庄蔵でもある猿之助は、庄蔵のがハマってなあ。愚痴ばっか言ってて、ちゃらけたノリ具合がなんかちょっと生前の勘三郎っぽかったな。


三五郎・ポチョムキンの白鸚はさすがというべきか。ロシア人ハマってた。オペラとかやってるからねえ、それっぽいもん(笑)
祖父親子三代共演で色々といじられてたのが面白い。
八嶋智人は八嶋智人だったなあ(笑)

六月大歌舞伎・三谷かぶき・月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち

2019年6月1日(土)~25日(火)

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