おどりでますか
「カラダに思い出させましょう」
つい最近まで長袖Tシャツでよかったのに、急に革ジャン通り過ぎて
ダウンが必要な季節になりました。
賑わっていますね~ 渋谷。
旧宮下公園跡地にできたMIYASHITA PARK一階の渋谷横丁。
「学園祭かよ!」って、ツッコミたくなるくらい、
20代前半くらいの若者で溢れていました。
月曜日の夕方から若者で超賑わい。テーブルと椅子が小さいので
透明の衝立があっても隣と超接近。18時でほぼ満席のすし詰め。
みなさん、うれしたのし大好きでうかれているように見えます。
こっちも仲間に入れてよ~って気分がアガりますが、ジェネレーションギャップ&超密の危険を察知し、中を通り抜けパトロール終了。
こんなに賑わっていちゃ、緊急事態宣言だって現実味を帯びてきそうです。
また自粛になるとアレなんで、外出貯めしようと、久しぶりにバク転教室へ行きました。
初めて行ったのは、ちょうど去年の年末。アーカイブはこちらです。
先生の旧スタジオは閉鎖になり、その後、別の場所を借りて教室は再開していました。
雑居ビルの1フロア。マットなどが揃っていて、バク転などアクロバットを教える先生が区画ごとに借りて、自分の生徒に教えます。
今年、自粛前に一度行っていて、それ以来。今回もオンラインで予約して平日夜に行きました。
開始ちょっと前に到着すると、一区画で小さな女の子が側転からのバク転をやっていました。
おお、やるな、すごいな…
近くではお母さんと思しき女性が椅子に腰掛け、スマホをいじっています。
親が借りて練習させているのかな…
ちょっと離れたところでは、赤い“ちゃんちゃんこ”が似合いそうな初老の男性が床に座っています。
おじいちゃんと嫁と孫かな…
と、背後から先生が入ってきました。
「あ、こんにちは。久しぶりですね」
先生は、私を覚えていたようです。
「じゃぁ、やりましょう。今日は、あちら側半分です。」
あちら側半分というのは、この日先生が借りた陣地のこと。
あれ?そっちは小さな女の子が練習しているけど…
先生が、女の子と母親に挨拶しました。どうやら生徒のようです。先に来て練習していたんですね。
女の子は、もう出来ているのに、なんでだろう?
「じゃぁ、こちらに集まってください」
先生が呼びかけると、初老の男性も立ち上がりました。
えっ、あなたも???
先生が「これで全部? まだ来ていない方が…」
と、そこへ小柄な男性が遅れて入ってきました。
短パンにタンクトップ。肌の焼け具合がいい感じ。ただ、天然のUVではなく
人工のUVで焼いたような茶色。タンクトップの下は、ムキムキのマッチョ。
どうやら初参加のようです。
先生が「鍛えていますねぇ。何かやられているんですか?」と尋ねると
「トレーニングジムをやっています」という。
マッチョでもバク転やりたいんだ…
事情はそれぞれ、にしても、小さな女の子、祖父くらい離れていそうな初老の男性、ジム経営のリトルマッチョ… 参加メンバーのメンツったら、いったいどんな取り合わせだ。
「では、準備運動しましょう」
先生のリードで手首足首をじっくり温めます。
と、女性が二人入ってきました。
「すいません、ここでいいですか」
年の頃は30代。一人は小柄、もうひとりは細身で身長やや高め。
お友達同士かな?
先生が、名前を尋ねると、同じ苗字。姉妹だといいます。
さらに、運動歴をきくと、細身の女性はかつてキックボクシングの覚えがあるといいます。
一方、小柄な女性が「小学校の頃はバク転できました」と言うと、細身さんが「えぇ?そうだったの?知らなかった~」と驚いています。
へぇ、姉妹でも知らないことあるんだ…
小学校で「人を見た目で判断してはいけません」と教わっていましたが、ようやくその意味がわかりました。
さて、本題のバク転教室。
マットの上で前転(前回り)、後転(後ろ回り)から始めます。
女の子は、くるっ、くるっと、ごく普通に、まるで息をするかのごとく回ります。
続いて、初老の男性。見た目で判断してはいけませんが、事情を知らない初見の人なら「孫の付添いできたおじいちゃん」と思うでしょう。本当に回れるのかドキドキします。
あっ、回った!
前転って、普段やらないですから、結構クラクラします。まして後転は、途中で止まります。やるたびに立ちくらみ。
自分のあとに続いた、リトルマッチョもクラクラしています。
先生によると、だいたい20歳を過ぎると、誰でもクラクラするそうです。
三半規管が関係しているのでしょうか?そういえば、20代を過ぎると、だんだんモスキート音(蚊のプーンって羽音)が聞こえにくくなるっていいますが、クラクラと関係あるのでしょうか?
それはさておき、ウォーミングアップにつづき厚めのマットレスを重ね、
後ろ向きに飛んで背中で着地する練習です。
空中姿勢をカラダに覚え込ませます。って、言っても一朝一夕にできるものではございません。即席で感覚に強制記憶させます。
先生は私に「久しぶりなんで、カラダに思い出させましょう」と、促します。
ひとりずつやるので、待っている間、リトルマッチョが…
「みなさん、何歳ですか?」と訊きました。
そ、それ、たしかに気になるけど、いきなりストレートだな
容赦ない質問に、女の子が「9歳」と、答えました。
「うちの子は8歳ですよ」といいます。
すると初老の男性が「へへ、私は54歳です、へへ」
ごじゅうよんさい!?
脳内の判断機能が一瞬停止しました。
ってことは、まだ”ちゃんちゃんこ”前… だけど、バク転。えっ?
世の中を見回せば、サッカーのレジェンド、キングカズ選手は53歳で現役のJリーガー。ゴールを決めりゃ、軽快なステップ。アラフィフのオリジナルダンスがアリなんだから、54歳のバク転も自由。ここは、カオスです。
さて、いよいよ、本格的なバク転の練習に入ります。
初老の男性が先生の補助付きであっさりバク転。
凄いですねと、思わず声をかけると「いやいや、毎週来ているけど、まだまだ」と言います。
えっ、毎週来てんの?
続いて、リトルマッチョ。
「いやぁ、怖いなぁ」とか、言いつつ、一発で回りました。足腰が出来上がっているから、あっさりコツを掴んだようです。
そして、3回やったところで「マットレス無しでもいいですか」と、いきなり上に挑もうとします。
チャレンジャーだな、でも、頭から落ちたらどうすんだよ…
なんって心配をよそにリトルマッチョは、あっさりやってのけました。
そっか、バク転教室に行くなら、その前にジムか…
初老の男性がリトルマッチョに尋ねました。「どうしてバク転やろうと思ったんですか?」すると
「今、36歳なんすけど、子どもにかっこいいところを見せたくて」
なんだいいパパじゃん…
カオスなメンツ。あとでわかりましたが、童顔で20代後半かと思っていた先生も38歳でした。
見た目に引っ張られてはいけない。自分に集中。
バク転って、一瞬芸のようで、実はやることがたくさんあります。
椅子に座るように腰を落とし、膝が前に出ないよう90度の角度になったら上半身は後方45度で飛び出す。その時、腰が頭よりも高い位置に来るよう意識して反る。両手を地面についたら、目線は両足で立っていたあたりを見るようにして胸を反らし、両足を振って着地。
人間、一度に複数のことを同時にやるのは難しく出来ています。飛ぶたびに何か一つ忘れてしまいます。
何度も飛び、へたってきました。先生は「休んでいいですよ」と、やさしい。
スマホで撮影した自身の映像を見ながら反芻していると、視界の片隅で初老の男性が違う動きをしていることに気づきました。
直立の姿勢から上に飛んでくるっと一回転。そう、バク宙です。
すごいですね… 思わず声をかけると
「フフ、毎週来ているんでね。」と嬉しそう。
に、しても、ですよ…
バク転&バク宙にチャレンジする54歳。
テレビ的に言うと最高のキャラです。見た目とのギャップがあり過ぎ。イカ釣り漁船にも乗っていそうです。
世の中には、いろいろな運動がありますが9歳から54歳までのジェネレーションをギャップを埋めるバク転って…
最近、中年男性の間で筋トレが流行っています。「筋肉は裏切らない」ってのが理由の一つ。実は、バク転もひとつずつステップを踏めば誰でもできるようになるのが人気の秘密。
筋トレの次は、バク転かな。ってことは、リトルマッチョは来年あたり時代の先端を行くキャラに踊りでるかも… でないか。
沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です