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「半端(ハンパ)」な日常

「半端ない!」
人々がこう叫ぶ時、その人は驚いていて、その対象はスペシャルである。
ただ日常というのはスペシャルなものではなく、その反対であろう。毎回半端なく驚いていたら疲れてしまう。
だから半端ないの否定をとった「半端」が日常のエッセンスなのではないだろうか。

〈概観〉
半端を不完全性とNOジャンル(分類不能、曖昧)性の特徴から考えることで、「日常」に迫る試論。具体例は、料理、睡眠、散歩…

「半端」とは

半端で思いつくのが、冒頭の「半端ない」と「中途半端」だろう。
中途半端で調べると、Googleトップには

”「中途」は道の半ばのこと。 「半端」はどちらともはっきりしない意。 「半端」は必要なものが全てそろっていないことや、はっきりと決められないあいまいな態度のこと。」”

意味と使い方辞典

と出てきた。
半端も同じように調べると、大体、

”半端は、まとまった量・数が揃っていないこと、さま”

に落ち着く。

これが日常とどのように結びついているのか。

「半端さ」を「不完全性」と「NOジャンル(分類不能、曖昧)性」という特徴から日常を眺めてみる。
と、書いておいてなのだが、
「半端」もその特徴の「不完全」「分類不能」「曖昧」どれも上がらなさそうなキーワードだ。日常真っ暗といった感じである。だけどそれが日常だと言いたいし、明るい日常を描くキーワードとして、これらの言葉を捉えてみたい。

①不完全性


半端さの特徴一つ目は「不完全性」である。最高でも完璧でもないことだ。

 例えば、睡眠。
理想の睡眠、もしくは規則正しい生活が良いのは分かっている。が、これを完璧に実行できる人はなかなかいないのではないだろうか。だらだらしてたら遅くなっていたり、寝落ちしたり、やることに追われる時もあるかもしれない。けれど、よほど毎日ひどい睡眠をしない限りふつうに日常は送れる。毎日同じ時間に起きた方がいいのかもしれないけど、朝のんびり二度寝するのはとっても気持ち良かったりする笑 また、たまーに朝はやく起きて散歩とかしてみるのも日常の潤いだと思う。

 例えば、料理。
多くの日常を送る人はシェフではないし、シェフほど上手く料理を作れない、だけど料理はする。そして、ある程度満足する。美味しいと言ってくれる友人や食べれることに満足してくれる家族がいるかもしれない。もしかしたら料理すること自体に満足することもできるかもしれない。

 不完全だからしちゃダメだ、全て完璧の領域までもっていかないといけない、なんてことになってしまったら、日常は成り立つのだろうか。

②NOジャンル性(分類不能、曖昧)


半端のもう一つの特徴は「NOジャンル性」である。NOジャンルは、喫茶店での合言葉として掲げているので、詳しくはInstagramの投稿を遡ってみてほしい。ここでのNOジャンルを一般的に言い換えるなら「分類不能」「曖昧」などと言えるだろう。

 例えば、散歩。
エクササイズ?移動手段?人にとって様々な意味合いを持つ散歩。まさかスポーツではあるまい。人と競えるものではない。
そしてそもそも、移動手段だ!と言っている人でも、音楽やポッドキャストを聞く時間だったり、エクササイズを兼ねていることもあったりするだろう。もう、なんとなく気持ちいいじゃん?ってこともあるかもしれない。

 例えば、料理。
とりあえず肉食べたくて親子丼を作る、人と一緒に料理する、明日・1週間のことを考えて料理をする、健康のためにバランスを考えて料理をする、洗濯の合間に料理をする。様々な料理。そして重なる意味。

 このように、日常を豊にしてくれる散歩の意味も料理の意味も、「意味は人それぞれ」だけに回収されない曖昧さを持ち合わせていて、波打ち際の様に揺れ動き変化する。それゆえに分類不能であり、NOジャンルなのだ。

絶妙な決断

 「不完全」や「曖昧」などというと、消極的なイメージがあり、言い訳のように聞こえる。
そう、その通りこれらは言い訳で、決断が大事で境界線を定めていくことが、大事な場面は山ほどある。
 ただし、これまで述べてきたような良い点を活かすには、これらを積極的に捉えていく必要性もあると考える。
三浦梅園の言葉で

”枯れ木に花咲くより、生木に花咲くに驚け”

三浦梅園

というものがある。この言葉は、普段の日常が実は「絶妙な決断」の積み重ねによって成り立っていること、を示唆しているのではないか。自覚的でないだけで、決断していない訳ではない。そこには「絶妙な決断」の積み重ねがあるのかもしれない。

「半端」

日常に潤いを与えてくれる半端。

これらの半端を、そして絶妙な決断を、

我々は時に「ちょうど良さ」とも呼ぶ。

半端な日常は、「ちょうど良い」素敵な日常なのだろう。

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