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全てのことはそれを続けるため

カラー暗室に先日久しぶりに入ったけれど、カラープリントは完全に部屋を暗くして、少しも光が入らないようにプリントする。それは天も地もなく、宇宙空間を浮遊している感覚で、プリントがベロンと自動現像機から出てきたときにパッと蛍光灯をつけて私は地球に帰還する。そうして写真を見たときの感動は、今でも涙が出るほど。とにかく、その、まさしく目の覚めるような体験をしたくて暗室に行くのかもしれない。空の色が紙に焼き付いて出てくるとき、地球をこの手に持っている感じがする。写真は引き伸ばしてこそだけど、あまり大きく引き伸ばした写真よりも小ぶりな方が私に合っていると何となく思ってる。

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暗室でほとんど作業が終わる頃、瀬戸さんに何の気なしにプリントを見てもらい、「プリント綺麗だねえ〜」と褒められてとても嬉しかった。以前も褒めてもらえて嬉しかったのを思い出した。ああ、こうやって私は続けられているんだ、ということも一緒に思い出す。

まず自分が心の底から感動するものを地道に作り、それを誰かに見てもらって、そしてまた写真を撮り…ということを人生の中でコソコソと、そしてコツコツと続けたい。全てのことはそれを続けるため、かもしれない。

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