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レス・イズ・モア、ヌー・プラス・リム

学生の時分に表参道なんかを歩いた日には、美容師さんのキャッチが物凄いのである。私なんかは特に、ヘアスタイル、生活スタイル共に脱力系なので、美容師さんから見れば、今すぐにでも来て欲しいくらいの人材なのであろう。しかし、私からしてみれば、髪を切りに来たわけでもないのに、突然捕まってヘアカット代を取られることは思わぬ出費なのだ。あの日も買い物に来ていて、いつものように声をかけられたが、私は髪を切る気などさらさらなかった。しかし、

初回はカット代無料です。

この言葉で私は振り返った。優しい関西弁のお兄さんは、オープンしたてのお店で働いているそうで、顔もかっこよかったので、日を改めてカットをしてもらうことにした。これがもう10年ほど前の成田さんとの出会いである。

10年くらい通っている店は、東京ではLIMくらいなものである。それまでは気の向いた近所の店にカットしに行っていたが、あまり満足のいくことはなかったと思う。なんとなく、こんな感じ?というニュアンスが伝わるお店なので、本当に良い。こういうお洒落な美容室にそれまで行ったことがなかったので最初はかなり緊張したが、LIMは関西発の美容室で、優しい関西弁で緊張がほぐれる。今では、だいぶ態度がでかい客となった。しかし、あの時のキャッチで10年通うお客さんが付いたのだから、成田さんの商才には驚きを隠せない。

それで、2016年の11月から2017年の4月まで、ヘアスナップの撮影をさせてもらっていた。Nu + LIMのウェブサイトで見れるので、ぜひ見てみてください。

私はカメラマンとなって、成田さんはNu + LIMの店長となって、感慨深いものがある。出会いと別れが多い東京で、こうした長い付き合いはとても大切なものだと思う。


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