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タイムスリップ馬喰横山

これは東京の東側に縁のある人でないと読めないと思う名前である。ばくろよこやま、と読む。私は浅草線のヘビーユーザーなので、浅草橋から馬喰横山あたりのギャラリーをプラプラする。馬喰横山にはいろいろ洒落てるハコがあるが、モータスフォートというギャラリーがとても印象に残ってる。今はない。

どうしてここを知ったかと言うと、神保町の古本屋ボヘミアンズギルドで、いつものように社会学らへんを物色していたら、突然体格の良いヒゲの外国人に話しかけられたのだ。そして彼にDMを渡されて、サッとどっかへ行ってしまった。モータスフォートのオーナーだった。このようなドラマチックな展開に私は弱いのである。

後日、モータスフォートへ行ってみた。Dan Kopp氏の展示が初めて見に行ったものだった。プラッチックのパネルが、おもちゃみたいで良いなあ、となんとなく思ったのである。そのあと、アンジェイ・ザリンスキAndrzej Zielinski氏の展示を見に行ったら、本人がギャラリー内で制作していた。彼は話しかけてくれたが、英語がまるでダメで会話にならなかった。ただその場で制作する光景を初めて見たので感動したのであった。

そのあと、マイケル・ヴァレンヴァルトMichael Vahrenwald氏の展示に行ったが、やはり写真が一番私にはしっくり来る。とても良かった。通りすがりのおば様がふいに入ってきたりした。私はかなり理想的な環境だと感じ、何回か連続して行っていた。よく来るものだから、ギャラリーオーナーにワインを貰ったりしたのだった。

写真の話になると、オーナーは東松照明さんと柴田敏雄さんと畠山直哉さんが好きだと言っていた。このギャラリーにはノイバウテンのブリクサの作品もあるんだか、ギャラリー所属のアーティストなんだか分からないが、ホームページを見るとブリクサの写真もあるのである。このギャラリーには何となくだんだん行かなくなって、いつの間にか閉鎖していた。

これをボヘミアンズギルドに久しぶりに入って、急に思い出したので書いている。私は突然、タイムスリップをしてしまったということだ。


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