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人の入れない歩行者天国

銀座の歩行者天国は、道の真ん中に幾つか椅子と机が並んでいる。歩行者天国にも関わらず、人を入れずに撮った。ホコテンで撮影をしながら人を入れないとは、我ながら不器用な人間のくせに器用なことをすると感心した。

このころは、モノクロプリントを楽しんでいたので、やたらと光と影を追っていた。カラープリントの場合、興味を持った色を集めようとするが、モノクロだと色はどうでもよくて、とにかく陰影を探していた。それで、人が入ると情報が多すぎて嫌だなあと思って入れなかった。私が風景ばかり撮るのは、人はたくさんの感情や雰囲気を持ちすぎていて、気が散るから。それは撮る時もプリントする時もそう思う。たまに人を撮るのは、もうどうしようもなく被写体に迫られている時だけである。迫られていると言っても、私が勝手にそう思っているだけであって、被写体の方々は私に何も要求してないが。無駄に人をスナップしない。風景の一部として考えてしまう。

椅子と机と道路と白線。光の当たるところと、当たらないところ。私は難しいことが出来ないので、プリントはほとんどストレートプリントである。覆い焼きや焼きこみなどをあまりしない。カラープリントを始めて何年か経ってから、やっと覆い焼きをするようになった。でも今でもほとんどしない。出来ない。だから撮影の時点で、光と影の差のあるところを撮ろうとしてしまう。それが良いことか悪いことかは判断できないが、今の私はそうしか出来ないので、それをやるしかない。

自分のできることを、自分の思った通りに続けてみる。

私の歩行者天国は、人は入れません。悪しからず。

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