ダウン症マオリの発達ストーリー第10話。我が家の療育方針。
*これは一般法人Maorisができあがるきっかけになった一人のダウン症をもつ少女と、アメリカ帰りの療育セラピストとの発達促進ストーリー第10話(当時2歳6か月)です。
*娘の発達を、アメリカ特別支援教育学修士のセラピストによるテクニックなどを織り交ぜながらご紹介しています。
*遊びは学びです。お母さま方には、その遊びを通してどういったスキルが習得できるのかといった読み方をしていただくことでより参考になるかと思います。
*最後に母の感想があります。よろしければお読みください。
2016年2月度の発達促進教室でのプログラムと娘の様子
1. 遊び
① 上下・前後の動き《パラシュート・びっくり箱》
:パラシュートを使って、上下前後の動きを歌いながら行う。とても楽しんで行う事ができた。あとはびっくり箱を回す練習。取っ手を回す時の前後の動き(目と手)ができるようになった。
2. 微細運動
① お絵描き《殴り書き、両手描き、スタンプ、シール貼り、色鉛筆、マジック、クレヨン、チョーク、フィンガーペイント》
:その日によって出来が異なるものの、ある日は1回で3本のペンを指で持っていた。
3. ごっこ遊び
① 赤ちゃん人形遊び
② クッキング(混ぜる、卵を割る)
③ ハッピーバースデー(切る、ケーキをお皿に乗せる)
:遊びながら「お誕生日おめでとう。まおちゃん何歳?」と聞き、「2歳だね」と指を2本だして答えてあげながら、それを真似させる練習を同時に行った。
4. 身体づくり
① 体幹体操
② 体幹マッサージ
③ 足裏マッサージ
④ クロス運動、他。
:マッサージをされることに対しての拒否がほぼなくなったので、これからは筋肉を強化するマッサージを取り入れていく予定。
5. 認知
① パズル(8ピース動物、0から9の数字)
:半年前は全く興味を示さなかったが、この頃は自分からパズルを出して取り組もうとする。又、以前だとできなかった「3本の指を使ってピースを持つ」事ができるようになりつつある。動物のパズルの練習をしながら、動物の名前、鳴き声を伝えると、気が向いた時だけ鳴き声を真似する。
6. 言語&発音
① 笛
:あえてくわえるのが難しい笛を使い、遊びながら口を使う練習。実際に「吹けば動く」といった「しかけ」がある笛(紙が伸びる、動物の目が動くなど)の方がわかりやすい様子。発音も上達。「あけて」「はい」が明確な発音になったので、次は「しめて」の練習をしていく予定。
一か月で見せた変化
・どうしても「ごっこ遊び」が好き。あえて、運動、お絵かき、パズルをしてから最後にごっこ遊びを取り入れているが、それに対して特に嫌な様子を見せなくなった。
・「お片付け」の歌に合わせて、お片付けをしようという意欲が出てきた。
・遊びがひと段落した際に、「おしまい?」と聞くと、終わりの場合はバイバイをするように。「おしまい」の意味がわかってきた。
今あの日々を振り返って(母の感想)
2016年2月。
この時の私の興味の矛先は「ハンディキャップを抱えた子供の発達の伸びしろ」でした。
一体娘はどこまで伸びるのであろうかと、ダウン症をもつ子どもの可能性についてを、主に海外のサイトで調べていました。療育先進国のデータが欲しかったのです。
すると、努力次第ではかなり伸びることがわかりました。
つい先日、Maorisサークルメンバーが、「教育が含まれていない療育は『リハビリ』なのだ」と表現していましたが、この表現を借りると、私が求める発達促進とは、「リハビリ+教育」の訓練の先にあるものだとわかりました。
定型発達の子ども達にも、子どもが小学生になったら塾に行かせる家と、そうでない家があるように、各家庭には「教育方針」があります。
小学校からお受験をするために、幼稚園の頃から塾に通う子どもだっているし、塾は大学受験まで通わないケースだってあります。
教育方針に「正しさ」なんてなく、他人のそれを気にする必要がないように、療育方針も各家庭それぞれで良いと思います。
うちの場合は、娘が2歳半になり、療育方針のようなものが定まってきました。言葉、学習、認知、社会マナー、自立度、などをどの程度まで伸ばすかです。
どの程度、というか、実は精一杯やる!と決めたのです。すると次はそのための努力量がなんとなく見えてきました。
ちなみに、ここのプロセスは定型発達の子どもも同じだと思います。例えば、この大学に入るためには、これだけ勉強をする必要があり、勉強法や勉強量はその学生の特性によって異なるというプロセスです。受験だけではなく、スポーツ、絵の世界、就職、など何にでも言えると思います。
もちろん、途中で軌道修正だってあると思います。
そういう目標に向かうプロセスはみんな一緒かなと思うのです。
ただ、何が違うのかというと、私の娘には染色体異常があり、その障がいが発達の妨げをするという事。
娘の可能性を精一杯広げてあげるには膨大な努力が必要で、さらには専門的な知識があればなおいいという事です。
大変そうではあるけれど、可能性を見出した以上、我が家には目指すという選択肢しかありませんでした。
決めてからは、発達に遅れがある子どもの可能性を、広げてくれる機関を探し始めました。
そして今も探しています。
よく行った山下公園にて。ハイカットの靴で歩く練習をしていました。(ダウン症がある子どもは足首が不安定だから夏でも冬でもハイカットでした!)
母が焼いたバレンタインのケーキを父と兄と一緒に食べる娘。自分は「食べる側」ではなくて「あげる側」なのだという事をいつになったら理解できるようになるかなとよく考えていました。
*Maoris組織の詳細やメンバーについてはHPをご覧ください。https://maoris.jp/
*Maorisは発達促進を学ぶサークル活動をnoteにて行っていますが、現在満席となり募集を一時的にお休みさせていただいております。順番待ちはメールにて承っております。info@maoris.jp
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