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「妖万華鏡空虚咎送り」から考えるアイナナ5部(ネタバレ)

【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。

妖万華鏡空虚咎送り」…通称「空咎」イベントのストーリーが完結。私としては…

えっ!?終わり!?ほんとに!??!???本気!?ねぇ!?

という感想に尽きる(雲外鏡と楓以外)。
面白かった。もちろん面白かった。
しかし、メカララ、星巡りに比べて、着地がなんだか気持ち悪い。それは伏線が回収しきれていないからだ(ブックレットで回収されていたら、ぜひ教えていただきたい)

これは5部本編リンクのネタバレ回避のためだと勝手に思っている。
ということで、主に本編とのリンクから、空咎イベントストーリーに残された伏線を回収していこう。
いつも通り、妄想とネタバレを多分に含むので、不快な方はUターンをお願いしたい。
雲外鏡と楓については本編とはあまり関係ない形で(たぶん)着地していたので、考察しないつもりである。


1.九尾の狐と鬼火


ふせったーでは少し触れていたのだが、空咎ストーリーで最も本編の核心に触れているのが、この2人の関係性だと私は思っている。
鬼火は蒼との戦闘の際に

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                   ©アイドリッシュセブンより引用

「狐の吐息が青く光って、炎になるんだ。そうやってボクは生まれたんだって」
と発言していたのを覚えておいでだろうか。

狐=九尾の狐=九条天である。
そしてこの「ボク」という呼称。

紛れもなく鬼火は、九尾の狐(九条天)のレプリカのような造形であった。

4部の考察で、ゼロという夢の墓標になりうるのは
九条天
七瀬陸

の二人だと述べてきた。そして最近はTRIGGERの事情も絡んで、七瀬陸が天を超える存在かのように誘導されてきた気がする。

しかし忘れてはならないのだ。
ストーリー開始直後から、
九条天>七瀬陸
だったことを。九条天でも背負いきれないゼロという存在を、七瀬陸がしょいこんだら…確実に潰れる。燃え尽きてしまう。

だって七瀬陸は
「天にいが家族を捨てた理由が知りたくてアイドルになった」
のだ。

炎は燃え尽きるもの。燃え尽きた後は、何も残らない。……ゼロが消えたように。
七瀬陸というアイドルは「炎から生まれた」のであって、「炎を生むもの」ではないのだ。


2. 鬼火と蒼


この二人も、本編での展開にリンクしているような気がしたが、回収されずに終わってしまった。
三番勝負の際、蒼はいかにして鬼火に敗北したのか、確認しよう。
①鬼火の炎で、両者とも着物が焦げている
②蒼、鬼火を追い詰める
③鬼火、九尾の狐話で覚醒し、蒼を炎で囲む→勝利

一織の今後を示唆しているような戦いの展開で、胸が痛い。

まず、七瀬陸ゼロ化の影響で、
・コントロールされた「陸」と本来の「陸」の齟齬に苦しむ七瀬陸
・七瀬陸が「苦手なもの」として、世論の敵とみなされる和泉一織
という状況がある。
これは「①二人の着物が焦げている」状態。


その後、一織のコントロールがいよいよ激化し、七瀬陸が追い詰められ、ブラホワ前後で何かがおきる。これが②で、蒼が鬼火追い詰めたところ。

問題は③だ。鬼火の反撃。

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                   ©アイドリッシュセブンより引用

九尾の狐関連で覚醒するということは、七瀬陸のゼロ化を止めるのは九条天であることを示唆しているだろう。
私は、桜春樹の遺作を天が歌うことで、七瀬陸が「本来の自分」を取り戻す展開だと思っている。
そうすることにより、一織のコントロールは破綻し、一織は茫然自失状態になるだろう。これが③の、一織の敗北だ。

おそらく本編では、このあとアイナナはじめ、周囲から「一織自身が愛されている」ということが知らされ、コントローラーとしてではなく、身一つで居場所を確保できる一織が誕生すると思っているのだが…
そこまでは茨の道である。つらい。


3. 鬼火と紗南


これはほとんど触れられずに終わってしまったのだが、鬼火と同様に、紗南もまた「炎」を扱っていた
これはブラホワの対決につながってくる要素と思っていたのだが、思いの外、獣憑が刀衆や妖怪に深くかかわらずに終わってしまったので、保留。
もともとは悠こそが、九条天の劣化コピーのように扱われていたのだから、「炎」関連の3人がしっかり絡んだらおもしろかったはずなのだ。

そう、つまり…「炎」とは「ゼロ因子」だと読み替えられるのだ。

九条はゼロ因子の気配を感じとったから、九条天と悠を育てた。
そして、九条化する一織は、七瀬陸の中に眠るゼロ因子を呼び覚まそうとしている。

整理すると、
炎  九尾の狐>鬼火>=紗南??
ゼロ因子  九条天>悠>七瀬陸??
(→今後七瀬陸が因子爆発させていきそう)

という感じだろうか。
まずはブラホワで、九条が育てたゼロ因子と、一織が育てたゼロ因子が直接対決ということになるだろう。


4.蒼の過去


蒼の出自が最後に明らかになった。
紫西が水神だった時代に、彼に仕える巫女だったものの末裔。しかも紫西は、巫女を助けるために里を一つ水没させたとか。
そして、蒼は妖怪とたたかうことを厭うあまり、家業を継がず軍人になった…と。
またこれはお叱りを受けてしまいそうだが

4部考察で述べている通り
和泉一織は、和泉家の(血が繋がった)養子だと思っている(=兄弟として育てられているし、血縁が近いから似ている所もある)
それが蒼の過去にもリンクしていると思うのだ。

蒼は、家業がいやで、軍人になった
そして蒼の先祖は、故郷や家族を水に流された。
つまり…生まれた場所にいない、あるいは失っているのだ。

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                   ©アイドリッシュセブンより引用

やはり一織は、現在の和泉一族に、そして第二の家族であるアイドリッシュセブンという居場所を、一番渇望している存在であると思う。


5.英と重の過去と、コンプレックス


これが!一番!言いたかった!
どうしてここを詳しくやってくれなかった…!?
確実に本編につながる部分である。ふせったーでも垂れ流してきたが、以下に考察をまとめる。多少うるさいがご容赦願いたい。


①英の目の傷

重が士官学校時代に、英を傷つけた結果が目の傷だったことは考察が合っていた。絶対そうだと思ったのだ。
この過去の事件がつまりは
「あの時の借り」
である(重は3回、このことを強調して英に言っている)
しかし、肝心の「怪我をさせてしまった経緯」が語られずに終わってしまった。なんということだ…もったいない。もったいない!

②重の出自

軍人の名家の子息ではあるが、嫡子ではないと考えられる。
でなければ何年も灯影街に止まることが許されるはずがない。
これは本編での二階堂大和の立ち位置に似ている。
千葉父の息子であるが、愛人の子なので日陰にいる。
俳優やアイドルはやっていても、「真名(=千葉の息子であること)」は明かせない。

蛟に術を使用できたところから考えて、母は巫女か術者の家系なのではないか。だとすると、軍人を目指して入学した士官学校では、非常に居心地が悪かっただろう。
なぜなら軍人としてはハンパものだからだ。
本編で、アイドルにも俳優にもなりきれない、千葉父と縁を切ることも出自を明かすこともできない大和の立場によく似ている。

③英へのコンプレックス

重は、英に怪我させた時に、「いい気味だと思った」と発言している。それは、「将来有望だ、優秀だ」と英が言われているから。
…裏返せば、自分は言われていないということである。

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                   ©アイドリッシュセブンより引用

これも本編に非常に近いところがある。
八乙女楽→社長の息子で御曹司(一人っ子)、周囲の期待通りのスターに。グループリーダーで22歳
二階堂大和→名優千葉志津男の息子(一人っ子)、存在は秘匿されているため、周囲から期待されることはない。グループリーダーで22歳。

日が当たる場所にいる八乙女楽(英)
日陰にいる二階堂大和(重)

似ているが、違う。まさにこれなのだ。
しかし、英は重の実力を認めているという発言をしていた。
おそらくこれが重の劣等感を掻き立てるのだろう。
…英がもしも本当に重に対して「ふんぞりかえって」いたならば、重はコンプレックスなぞ抱かなかったと思うのだ。

重は「英にはかなわない」と痛いほど思っているのに、英は「俺たち、同志だよな」と同じ目線でみようとしてくる。
そんな英に、重はいらいらする
だから傷つけたのだ。コンプレックスを認めたくないから、人間としては好いていたはずの英を傷つけた
本当はそれで裁かれたかった。完膚なきまでに。
でも裁かれなかった。だから自ら裁かれる機会を作ったのだ。

本編での二階堂大和のコンプレックスは、「願い」のラビTVによく表れている(↓せりふだけネタバレ申し訳ない)
「まっすぐで、熱くて、純粋なやつなのかって…いいな、かっこいいなと思ったんだよ」
…と。二階堂大和が、どう頑張ってもそれを「持ち合わせていない」からである。だからどんな仕事も、どんな場面でも、本気になりきれない。千葉父に「水風呂みたいな仕事をするな」と、見透かされていたまさにソレである。
反旗を翻した重から見えたのは、二階堂大和の八乙女楽に対するコンプレックスの可能性であった。

④大和はどうやって劣等感を解消していく?

楽と同じ土俵に立って、ガチでぶつかるしかない
結局イベントストーリーでは回避されてしまったが、本編では必ずあるはずだ。でなければ大和はいつまでも水風呂である。
本編やラビチャではこれまでもたびたび、楽が大和演技力を手放しで認め、教えを乞おうとする場面があった。その度に大和ははぐらかして、まともに取り合おうとしない。

これが変化するのが、きっと5部だ。
そうだ、三日月狼だ。

本来であれば、千葉父の息子である二階堂大和が演じることが求められそうなものなのに、三日月狼を演じるのは八乙女楽だ。
そのニュースを聞いた時、大和は

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                   ©アイドリッシュセブンより引用


「今回は八乙女に譲る」
的な発言をしていた。
本当に今回だけか?永遠に譲る気ではないのか。
だから千葉父のいう、水風呂みたいな仕事しかできていないのだ。本人もわかっているはず。家も、グループも関係なく、身一つの剥き身でぶつかる仕事を、二階堂大和はしていない。

三日月狼を八乙女楽が演じると聞いたら、ものすごく惨めな思いをしていなければいけなかったはずなのだ。
だって二階堂大和は、父の借り物の衣装を着て、中途半端に三日月狼になって外国のファンと写真を撮っていたのだ。
その裏で八乙女楽は血のにじむような努力で役を勝ち取ったというのに。
悔しさを感じなかったのは、二階堂大和が持つ八乙女楽へのコンプレックスが、かなり根深いということではないのか。
僅差であれば、悔しがるはず。
圧倒的な差があるから、諦めて悔しくもならない。
それが埋まるのが5部であろう。

八乙女楽・二階堂大和と「三日月狼」については、下記記事で詳しく考察している。よろしければ↓

英はイベントのラストで、重の階級を下げる措置をとった。でも追放はしなかった。その前には蛟の攻撃から守っている。
「俺のところまで、這い上がってこいよ。それでまた、同じ景色、見ようぜ」
とそういうことではないのか。
二階堂大和が本当の意味で八乙女楽と同じ位置に立てるのか
5部は大和にとって2回目の正念場となるであろう。それは二人の共演なのか…役争奪戦なのか…
いずれにしても、楽しみだ。


6.和泉三月

今回一番わからなかったのが三月だ。
思いついたところだけ、見通しを書き記しておくことにする。

①事件の真相に一番最初に気がつく
七瀬陸の変化に最初に気がつくのは、やはり三月かもしれない。それをナギと共有するという示唆だったのか…

②事件の真相は、もみ消される
結局、鎌鼬が辻斬り犯を見つけたのに、烏天狗は
「真実はどうでもいい。勝った人が真実だ」
というように、事件を無理やり解決してしまう。
これ…まさか、本編でも同じことが起こるのではないか。
炎上した和泉一織や七瀬陸の火消し役を担っても、いくら二人の真実を発信しても、世間が三月を全然相手にしない…ということか…
これはつらい。

③鬼火とともに、蒼から逃げる
大門を通過する、というところだが、、、、
私には蒼から逃れる、という読み替えに思えて仕方なかった。
一織のコントロール下におかれる七瀬陸を、三月が察知して、陸を引き離そうとして、一織の前から姿を…消す?
だめだこれもつらい。
つ ら い


7.アイドルは「万華鏡」

今回のキーアイテムは「万華鏡」
外の世界が映り込み、キラキラ見える。

キラキラして見えるもの=アイドル

ということだろう。


雲外鏡のセリフが印象的だ。
万華鏡にうつる雲外鏡を見て「キレイ」といった楓に対し、


「それはおれの罪だ。おれの体に、まとわりついている罪が、夜光虫みたいにチカチカ光って見えたんだよ」

と発言している。
アイドルはきらきらしているもの。
でもその光は、彼らの幸福や明るい部分だけで形成されているわけではない。その裏には咎があり、罪があり、後悔があり、過去がある。

でも万華鏡を覗き込む人間には、それが見えない。
彼らの「真名」を知らない人間には、それが見えない。(本名という意味ではない)
そしていつしか彼ら自身も、光の裏側から目を背けたくなってしまうのかも――いや、「見えなくなって」しまうのかもしれない…ゼロが失踪したのも、そのせいかもしれない…

世界が反転すれば、咎は光に、光は咎になる

5部はきっと、アイドルたちが自身の光と咎、そして「本当の自分(アイドルではない自分)」と「アイドルである自分」に向き合うストーリーになるのだろうな、と思っている。


ああ、いつも以上にかなりまとまりのない文章になってしまった。

なるべく残された伏線部分を考察してみたつもりだが、今回は非常に難しかった。本編も重要な局面に差し掛かっているので、あからさまなリンクは隠されているのかもしれない。

まずは、4部ラストであろう年末のストーリー更新を待ちたいと思う。


長文におつきあいいただきありがとうございました!


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