Jakob van Hoddis - 夢みる人 Der Träumende 訳

ヤーコプ・ファン・ホディス 
夢みる人

–カイ・ハインリヒ・ネーベルに捧げる


静寂な色彩が燻っている、青緑色の夜。
かれはシュプレー川の紅い光線と
無残な戦車に怯えているのか? ここに悪魔の軍隊はやって来るのか?
影のなかを泳ぐ黄色い斑点は、
生気のない巨大な馬の双眸だ。
その躯体は裸で青白く、無力でいる。
薄色の薔薇が地球から膿んでいる。哀しみのまえに…

雪の結晶が落ちる。ぼくの夜は
喧噪となった、非常に厳格なあなたがたの光。
ぼくにとって爛漫にみえるすべての危殆は
ただ冬の風のように凄惨だ。

ぼくはもうほとんど、都市のあかるい熱を憎んでいる。

もしぼくがいつか目をさまし、真夜中が
ゆっくりと…日が昇るまで…燃え果てゆくなら、
もしぼくが白い淫婦の栄華を獲ったなら、
か細い栄華が遂にぼくを解いてくれたなら、

この眩暈もこの哀しみも存在しなかっただろう。 

蒼い傷から倦み疲れた夜が輝いていた。
あらゆる街路が無恥に横たわっていた。
あらゆる旗が風に向かって叫んでいた。
日々はこうして残滓となる。

日々は輝いていた、ぼくは悪徳の誓いを
踏みにじり、天使は煤塵をみつめた。
この苛めはあまりに甘美だった。最後の苦しみに立ち向かい
白い太陽の怒りがぼくを駆りたてて、
ぼくは犠牲者の神殿を破壊した。

これは死なのか?答えは、倦み疲れた壮麗。
あるいは、ぼくはあなたの深淵から
未踏の光りがさす都市まで昇りゆくだろう。
毎日その稲妻は姿をあらわすのか?夜はぼくらにとってただのあすでしかないから。
ぼくらが認識できない炎の日々、
靄がかった宙のなかで、知能遅れの子どものように、
この生きている時間の傍で、まだ怯えながら泣き喚かせてくれ。

すでに都市と海は痙攣している、
最初の息巻く矢を遣わす空の神をまえにして。
燈火の光りのなかはすでにあかるい、
すてられた夜の呻きは昼間の炎について話している。


オリジナル
https://gutenberg.spiegel.de/buch/gesammelte-dichtungen-9089/17






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?