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【再掲載&追記】頑張らせない誉め言葉

頑張らせない誉め言葉

うちの職場に凄く働き者の女の子がいる。
明るくて素直で元気で、ついこないだまで未成年だったというのに、機転がきいて察しも良い。

最近この子とやたら目が合う。
私が客の入りをチェックしようとホールに目をやると、彼女が振り向いて私を見る。あれとこれは足りてるかとバックヤードに目をやると、それに気づいた彼女が私を見る。時間を確認しようと壁の時計に目をやると、またもや彼女が私を見る。

私が視線を送った方向に彼女がいる時、彼女は必ずと言っていいほど、私の方を見るのだ。そして、その表情の中には微かな怯えが見て取れる。

この職場で私は誰かに対してダメ出しをしたことなど一度もない。陰で文句を言ったこともない。人のミスや手抜きを見つけても、何も言わずにフォローしている。

そのことに気づいてない人と、気づいていながらそれに甘える人ばかりのこの職場の中で、彼女だけが気づいていて、なおかつそれに甘えない。

以前、何かの折に、彼女に対して「ああ、今日は仕事が凄い楽だと思ったら、○○さんが早番で入ってくれてたんだね」と言ったことがある。

私としては特に深い意味はなく、思ったことをそのまま言っただけだったのだが、それ以来、彼女の早番の日はずっと楽だ。

そのこと自体はありがたいのだが、彼女は明らかに人の2倍は働いているので、何だか心配になってきて「○○さんは人の2倍働くよね」と言ったこともある。

私としては「もう十分だから、それ以上働かなくてもいいよ」という意味で言ったつもりだったのだが、それ以来、彼女のスピードは更に加速したのだった。

私はこの子のことが可哀想でたまらない。他の同期の子はもっとチンタラやって同じ給料をもらっているのに。そのことに対して不満を抱いている風でもないのが、また不憫で泣けてくる。

私は彼女にこれ以上頑張ってほしくないと思っている。今以上の無理をさせたくないのだ。しかし「そんなに頑張らなくてもいいよ」 なんて言ったら、彼女は逆にガッカリしてしまいそうな気もする。

下手に褒めたり感謝したりしたら、この子はますます頑張るだろうと思うので、最近は何も言っていない。でも、何も言っていないことが、彼女を不安にさせているのかもしれないとも思う。私を見る時の、ちょっと怯えたような表情はそのせいかもしれないのだ。

頑張らせない褒め方って何かないかな。ビジネス書には「部下をやる気にさせる褒め方」とか書いてあると思うんだけど、もうすでに十分やる気がある人を、それ以上やる気にさせない、それでいて言われたらイイ気分になる褒め言葉。そういう誉め言葉って、なんかないもんかね。

追記:自分で反省できる人には何も言う必要はない

昨日嫌なことがあったと書いた出来事はこの彼女に関係している。

先日、彼女は 顔が赤く火照っていて、見るからに具合が悪そうだった。 心配して声をかけたら、みるみる目が潤んでいって「他の人は誰も心配してくれない」と言う。私は胸がキュッと痛くなった。

 彼女が人の何倍も働いていることを私は知っている。 そのことに周りの人間が甘えていること。彼女が働けば働くほど周囲は「あの子がやってくれるから自分はやらなくてもいい」になってしまっていること。

周りの誰かが彼女を気遣っていくつかの作業を肩代わりしてあげればいいのに誰もそれをしない。私がそうしてあげられればいいのだけれども、私自身も他の人のおサボり案件を引き受けている身であり、その余裕はなかった。

私がフロアマネージャーだったら手の空いているアイツとコイツに指示を出して動かすところだが、その権限はない。私に言えるのは「ちょっとでも具合が悪いなと思ったらすぐ休んだ方がいいよ。無理して働くとこじらせて却って長引くから」ということぐらいであった。

 翌日彼女は欠勤した。 私は彼女が無理をせず休んでくれたことにホッとしていた。 もしかしたら 無理をしたくてもできないくらい相当悪くなっていたのかもしれないけど。

 彼女の抜けた穴は当然ながら大きく、その穴はフロアマネージャーが埋めざるを得なくなった。
「あれほど体調は自分で管理しろと言っていたのに!」 とフロアマネージャーはおかんむりであった。

自分で体調管理しろったって管理の仕様がないじゃんね。周りが休ませてくれないんだから。

 私は昨日から彼女の具合が悪かったのに誰もサポートしなかった話をした。てっきり「それは気が付かなくて悪かった」という答えが返ってくるものだとばかり思っていたのだが、予想は外れた。

「甘ったれてる!みんな具合が悪くてもそれを隠して頑張ってるのに!」

 おそらくマネージャー的には「自分のほうがもっとしんどい。自分のほうがもっと長時間働いている」という気持ちがあるのだろう。 

確かに勤務時間だけみればそうかもしれないが、この人デスクワークに逃げられる人だからね。 同じ8時間働くにしても、そのうちの数時間を PC 前で座って過ごせる人と、 重いものを持ってぶっ続けで何時間も動き回らなければいけない人とでは消耗の激しさが全然違う。

 しかしそこには思い至らないようで 「自分が若い頃は具合が悪くても休ませてもらえなかった。薬を飲みながら点滴を受けながらボロボロになってそれでも出社しろと言われて出社した」と昔話にまで飛び火していった。

ここからである。
嫌なことがあったというのはまさにここからの話である。

 このフロアマネージャーの話を受けて私は「それは大変でしたね」と言うことができなかったのである。
その時の私は、体調が悪くなるまでこき使われて休まざるを得なくなった女の子の事を「甘ったれてる」と斬って捨てた事が許せず「昔はもっと大変だったから我慢しろって言うんですか?そういうのやめましょうよ」と言ってしまったのだ。

「でも 昔に比べればうちの店だいぶマシになったやろ?」と言うマネージャーに 「そうですね。確かによくなりました」と言えばよかったんだが、そこでも私は「そんな最低の時代と比べてちょっとマシになったからってそれが何なんですか」と返してしまったのだった。

フロアマネージャーは明るくサッパリした人で、私がこんなふうに言ったからといってそれで険悪になるようなタイプの人ではない。バイトの彼女の事も「甘ったれてる」とは言っていたけど、 数時間後には「あんなこと言って悪かったな」と反省するタイプの人なんである。何も 私がキツいことを言う必要はなかったんである。

 そのやり取りの後、疲れきった顔で廊下を歩いているマネージャーを見て、 申し訳ないこと言っちゃったなあと後悔の波が襲ってきた。

この人が来てからホントいろんなことが改善されてきたのだ。私の発言はその努力を評価していないに等しいものだった。
 あの時なぜ「今のフロアマネージャーが来てから職場の雰囲気がすごくよくなったってパートさん達も喜んでました」と言ってあげられなかったのか。

人からされた嫌なことは書けばスッキリするけど、自分がやらかした嫌なことは書いても全然スッキリしない。

昨日からずっとそのことを考えてモヤモヤしていたので、今日フロアマネージャーと顔を合わせたときに、開口一番謝った。するとマネージャーは「なんや、そんなこと気にしとったん? いそろくさんはホンマにもう~」と笑いながら私の肩を叩いてきた。

 それでスッキリするかと思ったら、やっぱりスッキリしないで今もちょっとモヤモヤしている。私はまだ自分を許せていないみたいだ。

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前世はリス。趣味は世直し的な何か。

コメント10件

愚慫さん
確かにハタチ前後の女の子に 50過ぎの自分が
お茶に誘うとか ご飯誘うとかは
相当ハードル高く感じますね。
逆の立場(誘われる側)だったら普通に嫌だもんw
なるほど、「常識的」なお答えですね 🤔
あぁぁぁ。すごく引き込まれました。
ありますよね!こういうの。
あります!あります!
こういうnoteが書きたいです!
おぉぉぉ!
私もなさじさんのそういうnoteが読みたいです!
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