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夏コミ2022回想録

第100回目、ついに節目である今夏の活況は大変熱気たるものがあったようです。何と言えども只のコミケでは...…恐らく無かったでしょう。

そういう訳でお久しゅうございます。万作です。無事に終了、一週間の頃合となりました。今回は委託として新刊を執筆...…もっとも、これに関して諸々とした事情を抱えていましたが…本稿にて全てをお話致しましょう。

新刊のこと-1

御ふねの世紀...…そう、まさに世紀を扱った本になりました。100年前、大正真っ只中を証す海軍の郵便物を三点ほど、例によって掲載のうえ史料本として纏めた次第です。

イラスト/桜木まーまいと

本誌では伊勢、陸奥、神威に内容の役を務めて貰いました。神威のみ大正11年進水としてカウント・採用した為、掲載した彼女の郵便物は一年後、即ち大正12年に使われた物です。
そして表紙に立って貰った加賀、彼女は大正11年に運命を翻弄された...…日本史に強い方なら察しの事でしょう、ワシントン軍縮に他なりません。『ふね』として生かされるか生かされぬか、そうした岐路に立つと云うのもまた奇特にして、数奇な事です。
100回目の故に百年前...…非常に安直にして、しかしながらこの記念、疎かにするなど以ての外でありました。未だ質に疑問符が付くと重々承知しますも、綺麗に纏まった本が出来たと思います。


とまあ、ここまでは『出た新刊』について。そう、出たと云うことは出なかったと云う意も存在しているのです。
本稿、ここに重大な発表をせねばなりません。

『御ふねの世紀』は本来の新刊では無く
その新刊も白紙にせざるを得なかった
白紙理由は自らの落ち度に依るものではない

これは本稿を執筆している現在時点において、表立って皆様にお伝えしていない事です。というのも、この件は非常に慎重を期さねばならないと判断した為に、本稿執筆まで伏せる形を取らせて頂きました。読者の皆様においては、何とぞご理解を賜りたく存じる次第です。

新刊のこと-2


本来の新刊を白紙化...…大抵はスケジュール超過、作者の無理無謀に起因する、いわゆる『やらかし』の結果ですが、先に申し上げた通り今回に関しては完全に原因は当方にありません

順序立てて話しましょう。本来の新刊は小説作品として6月頃より執筆を始め、その時点で概ねの構想は固まっていました。表紙および挿絵も既に桜木まーまいとさんに内定、依頼をしていたのです。
全てが滞りなく、予定通り進んでいました。今回、桜木まーまいとさんに許可を頂き、当時Discordにて交わすところの打ち合わせ内容を掲載致します。

読者の皆様に於かれてはお気づきと存じますが、更に話を進めます。この原稿を進め仕上げの終わる日が、7月8日。昼過ぎには校了、あとは表紙挿絵を合わせ...…そう思案した直後でありました。

元首相、凶弾に倒れる

反芻、理解するにも難き非常事態。刻が過ぎるごともたらされる報せに、ただただ呆然とするばかりでした。


改めて、新刊白紙化の理由は実に、戦後初となる首相暗殺に依るものだったのです。

こればかりはどうにもなりませんでした。内容に政府を狙ったクーデター、かつ首相拘束および暗殺まで組み込んだ作品を意地でも頒布するのは、自らのみならず界隈にとって印象を悪化させる愚行に他なりません。この旨を決するに、時間を多く必要とはしませんでした。

桜木まーまいと氏とのDiscordにて

しかし、それでは100回目となるコミケに出す本は如何に。暗殺発生より幾日後、入稿〆切は二週間を切る迄に迫っていました。残された14日間をもってコレに代る、かつ節目の記念に相応しい内容とする本を執筆せねばならない。そうして完成したのが、あの『御ふねの世紀』だったのです。

序盤において、綺麗に纏まったと申し上げました。二週間という刻限にしてはよくやったと思います。桜木まーまいとさんが表紙挿絵の作業準備中であった事が、当初依頼内容の全面変更を可能にした幸いもありました。
そうした波乱のうえに成立した一冊であること、まことに100の節目は只では終わらないと、そう云う回想を巡らせる次第です。

終わりに


想定外とするには相当のトラブルを経験しましたが、無事に新刊は完成。そして完売という恵に与ることが成りました。置かせて貰ったてぃーえーさん、また執筆に際し多大な協力と無理に応えて下さった桜木まーまいとさんに、本稿この文面をもって厚く御礼申し上げる次第です。本当にありがとうございました。
気づけば支えられてばかり、未熟たる当方にとって心強いと同時に、作品をもって礼と出来ますれば幸甚です。

次回は大いなるスタート、C101。またも気が抜けません。色々思案していますが、今度はあの有明の地を踏む事が出来ますように。

それでは本稿、これをもちまして〆にございます。

 




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