マンガとプロダクトプレイスメント 第6章
第6章:アンケート2の続き
では前回の続きから。
アンケート2から得られたデータを色々とクロス集計したので、その結果の中から注目に値する点について、少し言及しておきたい。
まず、Q2の「気づきやすさ」の回答別にQ1の「ブランド想起」の結果を見たとき、「気づいた」と回答した人の方が、「気づかなかった」と回答した人に比べ、Q1でミズノを想起した人の比率が有意に高かった。
この結果は、マンガの読者がプロダクトプレイスメントに気づいた場合、プレイスメントが実施されたブランドの印象が強くなるということを示している。
無論、もともとのブランドに対する認知が、気づきやすさに影響していると解釈することもできるという点には注意が必要である。
次に、Q4の「自然さ」の回答別に、Q3の「阻害度」、Q5の「興味」及びQ6の「印象」の結果を見たとき、「自然であると感じた」と回答した人の方が、「不自然であると感じた」と回答した人に比べ、Q3においては「影響はなかった」と回答した人の比率が、Q5においては「興味を持った」と回答した人の比率が、Q6ではポジティブな内容の回答をした人の比率がそれぞれ有意に高かった。この結果から、マンガにおいてもプレイスメントの自然さが極めて重要であることが確認できた。
また、Q6の回答の中には、「自然な形で露出するなら気にならない」や「露骨でなければどうとも思わない」といった自然さに言及する意見が25件あり、読者にとって自然さが重要であることを物語っている。
Q6の「印象」の自由回答の内容を見ると、多い意見に、プロダクトプレイスメントによってマンガのリアリティが増すという主旨のものがある。多くは、「マンガの現実味が増すようでいいと思う」というようにリアリティが増すことに肯定的な意見であるが、一方で「漫画は架空の世界を楽しんでいる部分が大きいので、現実にあるブランドや商品があると、しっくり来ない。」といった否定的な意見もあり、マンガにおいて非現実感を求めている読者にはプロダクトプレイスメントは歓迎されないこともあるようである。
最後に、Q6で注目に値する意見としては、「事前に企業名を入れることを明記しておかないとステルスマーケティングの誹りを受けると思う」というものがある。
ここで詳しく法律論を展開するのは本稿の趣旨から外れるので差し控えるが、小道具、背景及び場面であれば法規制の対象になる可能性は極めて低く、セリフであっても表紙や奥付に事業者を明示すれば法規制の対象になることはないのでご安心いただきたい。
しかし、ステルスマーケティングであるとの指摘を受けることは、漫画家や広告主にとってビジネス上のリスクであり、このリスクを確実に回避するためにも、マンガの表紙や奥付にスポンサーとしてプレイスメントした事業者を明示する必要がある。
以上がアンケート2の考察である。
最終回じゃないぞよ
もうちっとだけ続くんじゃ
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