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2020年2月 豪州来訪覚え書き(後編)

前編中編と合わせてどうぞ)

Square Sounds Melbourne 2020が終演し、そこから数時間のうちに慌ただしくメルボルンを出発。色々と肩の荷が下りてボーナスステージ気分でシドニーへ。ウイルスが猛威を振るう直前も直前の、束の間の休息。


【5日目】 2/23(日)

午前中にチェックインができる+空港から電車一本で行ける好立地という安直な理由で、シドニーの2泊はAirbnbの宿を取りました……が、空港に着いて地下鉄駅に向かうとまさかのストライキで運休。とりあえず宿の近くまで連れて行ってくれる代替輸送の無料シャトルバスに乗り込み事なきを得るも、バス降車後にグーグルマップを開きながら「まあ全然歩ける距離っしょ」と余裕ぶっこいてたら現在位置から宿までのルートが終始上り坂で、激重機材入りのスーツケースがコンディションの悪い歩道に引っかかりまくって大汗かくわ、途中で小雨も降ってくるわで若干ドロドロの状態になりながらなんとかチェックインを果たす羽目に(今思えば普通にタクシー拾えばよかったな……)。しかし短いシドニー滞在だしここでちょっと休憩っつって昼寝なんてした日には1日が終わってしまう……と自らを奮い立たせチェックイン後に即外出。

(▼GPSが大雑把に捉えたこの日の動き。全部徒歩移動でした)

スクリーンショット 2020-06-01 16.18.24

午前中の疲れで事前情報がほぼほぼすっ飛んでしまったので、探り探りの街歩き。そういえばチェックインしたあとに気付いたんですが、お宿のある場所が「ゲイの聖地」であるオックスフォードストリートにほど近い有名なエリアで(日本で言うところの新宿二丁目的な感じでしょうか)、ちょうど世界最大規模のLGBTの祭典・Mardi Gras(マルディグラ)の開催を控えているタイミングだった事もあり街は大賑わい。夜は現地の友達がゲイバーやらナイトクラブやらに連れてってくれたりもしてまあゴイスーな光景を目の当たりにしてきました。曜日なんて関係なしの盛り上がり。

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日中の街ブラは基本的に中心部をウロウロしてたのでベタなコースしか辿れませんでしたが、そもそも初めて訪れる地なので何を見ても新鮮。とにかく大きくて広い建物も、歩道の脇に生えてる植物も、そこに集まる鳥も全部。曇り空だったけど海風が吹いて超快適な公園の芝生にゴロンと寝転んで小一時間ボーッとしてしまった(やっぱり疲れていた)。

シドニーでの音源ディグは家電量販店のJB Hi-Fiにて(レコ屋は不発でした)。ちょうどSSMのために制作してプレイしたブートレグ的リミックスの元ネタであるPNAU(ピニャウ)の楽曲が収録されているアルバムをゲット。あとThe Presetsのアルバムも買いました。


【6日目】 2/24(月)

翌日の朝にシドニーを発つので実質最終日。天気も見事な快晴だし、せっかくなので遠出をしようと思い立ち(計画性ゼロ)、海か山かで迷った末、中心部からバス一本でスルッと行けるBondi Beachへ。

前情報なしで突入したので、バスを降りて目の当たりにしたビーチの光景に何だか異世界転生したような心地に。海も空もすごく綺麗で、道行く人たちもなんかキラキラしてて現実味が全く無い世界線に縁もゆかりもない自分がポツンと存在していることの後ろめたさよ……いやここは普通に楽しめよ……という内なる葛藤もありつつ、翌日の夜にはもう自宅のベッドで寝てるんだよな……という来たるべき現実とのギャップまで一気に考えを巡らせてしまう始末。観念して砂浜で横になった時、フランソワ・オゾン監督の映画「ぼくを葬(おく)る」のラストシーンを不意に思い出してしまい、最早ここで人生が終わってしまうのならそれも悪くないなとすら思わせるような非日常的シチュエーションを味わうことができたのはとても良かったです。

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ヘッダ画像にも選んだこの写真は、Bondi Beachから海岸沿いに下ったところにあるTamarama Beachという砂浜。写真を何度見返してもやっぱりこの場所に自分がいたという実感があまり掴めない。この光景が日常になる生活ってどんなものなんだろう。
あまりにも気持ちがふわふわしすぎており、50AUDをチャージしたOpalカード(バスや電車などで使うプリペイド式のICカード)を速攻で紛失してしまい、再発行したカードすらその日のうちに失くしてしまうという気の抜けようで笑えてきました。ここまで書くと本当に情緒がおしまいになってる人のように思われそうですが、至極真っ当にビーチを楽しんできました(つもりです)。

一日中ビーチにいてもしょうがないので(とにかく陽射しがすごかった)昼過ぎには街に戻り、Coles(スーパーマーケット)でお土産を爆買いするなどしてシドニー滞在を終え、翌日に無事帰国しましたとさ(旅の終わりは大概あっさりしたもんだな……)。

【終わりに】

帰国後に状況が世界規模で一気に覆ったことを考えると、これが自分にとって最後の海外旅行にすらなり得そうだなと思いました。そしてコロナ禍によってライブ/イベントを今までのように行うことがほぼほぼ不可能になったことによって、あの時SSMの現場で感じた空気、年齢も国籍もセクシャリティも超えてそこにいる人全てが等しく音楽を楽しむ光景がより一層忘れがたいものとなりました。
今回の豪州来訪とは直接は関係ないんですが、チップチューンシーンで昨今レイシズムやミソジニーにまつわる問題が顕在化するなどしてコミュニティの在り方に対する疑問や議論が顕になったことについても、非常に悲しいし混乱するし、思うところは沢山ありますが…「ただ楽しく音楽を作ったり聴いたりできさえすればそれで良いや」などと行った楽観的中立意見で思考停止にならぬよう、理解を深め、時に戦い、愛を以って向き合っていく他ないという気持ちです。以上。

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