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ユマニチュードについて






ユマニチュードとは何か?



ユマニチュードとは、知覚、感情、言語などによる包括的コミュニケーションに基づいたケアのことを言います。
フランス語で「人間らしい」を意味する「ユマニチュード」には「人間らしさを取り戻す」と言うことを含んでいます。






1979年フランスの体育教師だったイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人で作り上げた物でした。
今ではフランス以外の国にも広まっていて、ベルギー、スイス、ポルトガル、ドイツ、カナダ、日本などに国際支部を置くほど大きな組織になっています。







日本には2012年にもたらされて、支部はその2年後の2014年に誕生しました。







ユマニチュードには、「人とは何か」「ケアをする人とは何か」と言う哲学とそれに基づく実践的な技術があります。
この技法はケアの対象となる人の「人間らしさ」を尊重し続けることを言います。




ケアを受ける人が反応を返してくれなくても、「あなたを大切に思っています」「あなたはここにいます」というメッセージを送り続けます。







具体的には、「見る」「話す」「触れる」「立つ」と言う人の特性に働きかけて、ケアを受ける人に「わたしは人間である」と言うことを思い出してもらうようにします。
そこから次のような反応が返ってきました。







●攻撃的だと思っていた人がケアを受けてくれた
●言葉を話そうとしなかった人が再び話すように
●寝たきりだった人が立ち上がることが出来た
など。







ユマニチュードには4つの柱があります。
1.見る
2.話す
3.触る
4.立つ






●見る
水平に目を合わせて、正面から顔を近づけて、見る時間を長く取ります。
水平な高さは「平等」正面は「正直・信頼」近い距離は「やさしさ・親密さ」時間の長さは「友情・愛情」と言うポジティブなメッセージになります。

ここではベッドで寝ている人が逆向きであっても、ベッドを動かして、正面から近づいて視線を捉えにいきます。

●話す
ポジティブな言葉を用いて、やさしく、穏やかに、歌うように話しかけます。
返事やうなずきがなかった場合は、「オートフィールドバック」と言う技法を使います。


オートフィールドバックは自分が今している内容を実況中継することを言います。

例として、「今から手を洗います」「暖かいタオルで顔を拭きます」などの言葉をかけていきます。

●触れる
ポジティブな雰囲気でゆっくりと、手のひら全体で広い面積を撫でるように優しく触るようにします。
触る時は、軽くタッチするように、手を離す時は、ゆっくりとそっと離していき、移動の時は、小さい子の手を引くように、体の一部を、動かす時はあまり力を使わずに軽く、意識して力ずくにならないようにします。

手や顔はいきなり触ってしまうと、驚いてしまうため、最初は肩や上腕、背中などから触っていくようにします。
手首や足を掴んでしまうと、ネガティブな意味になりやすいので、無意識に掴まないようにします。

●立つ
骨に荷重をかけて骨粗鬆こつそしょう症予防や筋力低下を防ぐメリットがあります。
高齢者は、3日~3週間ほどで寝たきりになってしまいます。
なので、1日20分立って歩く時間を設ける必要があります。

洗面や歯磨きなどケアの一部をその時間に当てることで、上記の予防にもつながります。






基本の4本柱と実際のケアで使う5つのステップがあります。
1.出会いの準備
2.ケアの準備
3.知覚の連結
4.感情の固定
5.再会の約束






これらを順番に見ていきます。

1.出会いの順番
まず最初にすることはノックすることです。
部屋の扉、ベッドボードをノックすることで来訪したことを知らせることが出来ます。
そこで、誰かが訪ねてきたことを認識します。

2.ケアの準備
すぐにケアの話(体を拭きますなど)ではなく、「あなたに会いに来た」というメッセージを伝えていきます。
それからポジティブナ言葉でケアを提案し、本人の同意を得てからケアを行います。
もし3分以内に同意が得られない場合はいったんその場を離れます。

3.知覚の連結
「見る」「話す」「触れる」を使って自分が発する「あなたを大切に思っています」と言うメッセージに調和を持たせます。

4.感情の固定
認知症が進行しても、感情に伴う記憶は残ると言われています。
ケアが終わったら、本人にポジティブな感情(「誰か知らない人だけど、いい人だった」「この人は悪いことをしない」など)をしっかり残して次へつなげていきます。

5.再会の約束
「また会いに来ます」「また来ます」と約束します。
本人が約束を覚えていなくても、「喜び」「期待」のポジティブな印象が残っていれば、次回も笑顔で迎えてくれる可能性が出て来ます。







認知症ケアの重要性とは?








認知症ケア、言葉は聞いたことはあっても具体的にどうしたらいいのか、わからないと途方に暮れると思います。
認知症ケアにはいろいろな心構えや1人1人にあったケアを行っていくため、難易度がかなり高いものです。







このための専門のスキルもあるくらいです。






認知症のケアとは医療的な面でなく、その人自身の「個性」「尊厳」を保ちつつ、多面的なサポートを提供することを言います。
適切な認知症ケアによって認知症の人が安心して日常生活を営んでいけるのです。







認知症ケアは症状を管理するだけでなく、尊厳の保持と社会参加のために非常に重要になってきます。
「わたしは社会から孤立しているのではないか」







という認識がさらに症状の悪化を招くため、心のケアを含めた多角的なサポートが必要になります。







認知症の人にとって心と体のケアは大事です。
精神的な負担軽減のために、心のケアを必要としている一方で、健康維持のための身体ケアや環境整備も必要になってきます。







介護の現状と課題




現在の日本では超高齢化と言われ、「2025年問題」などもあり、介護の現場を整えるべく動いているのが現状です。
「2025年問題」は1947年~1949年の第1次ベビーブームと呼ばれた世代がちょうど75歳を迎えることから、要介護者が増えると予測されています。






そこから1971年~1974年の第2次ベビーブームの人々が高齢者になった時に、さらに要介護者の増加が考えられています。
平均寿命が延び、要介護者が増えていくことで様々な問題が起こっています。






1.介護難民
施設へと思っていても、入れる施設が見つからないという話はよく聞きます。
そもそも介護難民とは、要介護者として認定を受けて、介護施設へ入るための条件も満たしているのに、空いている施設がなくて、入ることが出来ない状態になっています。






適切なサービスが受けられない高齢者を指しています。
その増えている理由としては、年々高齢者が増えて言っていることとそれに反比例するように介護職員の数が足りないこともあります。







今は要介護状態にならないよう予防のための取り組みがされています。
自宅をバリアフリーにするのも1つの手段です。
自宅で介護する環境を整えることも、今では方法となっています。






2.老老介護・認認介護



老老介護は65歳以上の高齢者が、同じく65歳以上の高齢者を介護していることを指します。
認認介護は認知症の人が認知症の人を介護している状態のことです。






高齢者同士、認知症同士で介護をしている状況なので、介護者の負担は大きく、安全性の問題もあり、事故や事件につながります。







日本の平均寿命が延びたこともその一因となっています。
子供が独立して、実家を離れて暮らしていると、知らないうちに老老介護や認認介護となってしまうこともあります。







対策としては、定期的に病院へ行ったり近所の人との付き合いを置くと、何かあった際にも連絡がつい来やすく、気づきにもつながります。






他には地域包括センターへ相談もあります。
そこでは介護、医療、福祉などの話も出来るので、利用出来る介護サービスについて尋ねてもいいと思います。







3.高齢者の虐待


最近では、高齢者の虐待のニュースを見ない日はない、という日が多くなりました。
虐待は自宅や介護施設で起こっています。






高齢者の虐待の内容としては、暴力や拘束などの身体的虐待や暴言や無視などの心理的虐待、お金の使い込みなどの経済的虐待などあり、介護施設には「教育・知識・介護技術に関する問題」「職員のストレスや感情コントロールの問題」を理由に虐待する職員が多く、自宅では「被虐待者の認知症症状」「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」などが理由で虐待が起こるようです。






虐待の原因の根幹にあるのは、「言うことを聞いてくれない」「思うように行動してくれない」と言う不満やストレスから介護者の負担を減らす方向へ持って行くのが、虐待予防になって行きます。







介護施設では心理的時間的ゆとりがなければ、利用者1人1人へ寄り添っていくことも無理になり、虐待へ発展することにも。
人員配置にゆとりを持ってみるなどで改善されると思います。






自宅では、介護を1人に任せるのではなく、家族全員で取り組むのがいいです。
介護サービスを上手に使い、地域包括支援センターへ相談をしたり、介護者の負担を少しでも軽くすることで虐待を予防することにつながります。






4.1人暮らしの介護や看取り


1人暮らしをしている高齢者は増加傾向にあります。
1人暮らしをさいている人の問題としては、「認知症」「孤独死」などがあります。







また怪我や病気で倒れてしまっても、1人では対応も出来ないまま亡くなってしまうことも。






また近所付き合いがあまりないと認知症の発見が遅れたりすることもあったり、認知症に気づかないまま火事を起こしていたり、事件に巻き込まれていることもあります。






家族が出来ることとしては、「同居」「近距離に越す」「様子を見に行く」「連絡を取る」などの方法があります。
やはりこれらのことは難しいと頭を抱えている人もいると思います。






そんな時は、本人が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談をしたり、介護事業者の見守りサービスを利用してみるなど、1人暮らしで孤立しないためにも、自治体や地域でしているサークル活動への案内をして見るのもいいかもしれません。






5.成年後見人のトラブル


実はこのトラブルは案外多いようでした。
成年後見制度は、制度的にはとてもよいもののように思うのですが、しっかりメリットデメリットを把握して置く必要があります。






そもそもこれは認知症や障害などがあって判断力が衰えた人をサポートするための物になります。
最初にメリットになるところをあげておきます。







1.成年後見人にになると、本人名義の通帳やカードは後見人が管理し、入出金や振り込み作業なども行うことが出来ます。
成年後見人は、本人の代理人として公的に認められているので、本人が銀行の窓口へ行く必要も、本人確認もされません。






不動産についても、成年後見人の判子で売買や登記を行うことが出来ます。
ただ家庭裁判所の管理の下、事案によっては家庭裁判所の許可が必要になるため、どんなことも成年後見人が行えるわけではありません。






2.本人が行った不利益な契約を取り消すことも

「不利益な契約」とは、訪問販売で不要な商品を買ってしまった、何社もの新聞社から購読契約をしてしまったなどです。
この場合は本人が取り消しを申し出るのですが、その人が認証などで判断が出来ない場合は、相手へ取り消しを言い出すことは難しいです。






取り消しをするための判断力がない場合もあるからです。
判断力のしっかりした成年後見人がいることで、本人の代わりに契約の取消しや代金の返還を請求することが出来ます。







3.親族の使い込みを防げる

例えば同居している親族が母の年金や預金を使い込んでいる場合は、成年後見人がつくことで使い込みを防ぎます。
上記に書いたように、預貯金は成年後見人が管理することになるため、銀行へもその届け出を行います。






ここからはそのデメリットを見ていきます。







1)費用の問題
成年後見人をつけるためには、お金がかかるという点です。
最初に約1万~10万円ほどの印紙代や鑑定料などの実費がかかります。
(書類の作成を弁護士や司法書士へ依頼すると、さらに10万~30万円くらいの報酬が必要に)







成年後見人が選任されると、その後は選ばれた成年後見人に対する報酬が本人の財産から支払いされていきます。
本人の財産で変動はありますが、基本報酬とされている1,000万程度の財産を持っている場合で、月に2万円なので年間で24万円かかります。






他にも、成年後見人が本人のところへ出向く際の交通費も本人の財産から支払いします。







成年後見人には、親族でと家庭裁判所で申し立てても弁護士や司法書士がつくこともあります。
親族が成年後見人になった後に、家庭裁判所が必要だと思った時には、家族+司法書士と言った組み合わせをすることもあります。






成年後見制度を利用する場合は、家族で家計や資産について話し合うことが必要になります。







2)相続税対策や本人の財産を動かすことが出来ない
成年後継制度は、本人の権利や財産を守ることを大前提としています。
このため現在の本人の生活や健康を維持するための出費以外は認められません。






今までは相続税対策として、年間110万円を子供たちへ贈与していたとして、成年後見人が付いた後はその贈与が認められなくなります。
孫を養子にして法定相続人を増やすという、相続対策をしている場合、そのような本人の意思に基づかない養子縁組をすることも出来ません。






リスクのある投資などを新規にすることも、孫のお祝いにお金を渡すことも出来ません。
預貯金だけでなく本人名義の不動産を動かすことも簡単に出来ません。






本人名義の自宅不動産を売りたい場合は、家庭裁判所の許可が事前に必要になります。
売却の必要性や価格の相当性、売却代金の使い道など含めてきちんと審査されます。






本人の介護のために手すりをつけるなどのリフォームローンを組む時に、本人名義の不動産に抵当権をつけることは家庭裁判所の許可も取りやすいのですが、寝たきりの人が使わない2階の部分もリフォームするためのローンを組む場合は、認められない可能性があります。






3)成年後見人の仕事は本人の死亡時まで続く
1度成年後見人が選ばれると、やむ得ない理由(転勤や病気など)がない限りは、その人はずっと本人の成年後見人です。




「親族を成年後見人として選んで欲しかったのに、弁護士や司法書士が選ばれたから、成年後見人選任申し立てをやめたい」







と言うことが出来ません。







申し立ての取り下げには、家庭裁判所の許可が必要で、そのために家族の意に沿わない結果になっても、取り下げは認められません。







6.家族の介護負担増加と介護離職
家族介護負担が増加したり、介護のために離職してしまう問題があります。
高齢になるほど要介護度が上がる傾向にあります。
介護度が上がると常にサポートが必要になるため、「仕事を辞めて家族の介護をしないと」と言う人もいます。






家族介護の負担については以下に書いてあります。





家族の介護負担や介護離職に対する対策としては、介護サービス事業所を有効に活用する方法があります。
日中はデイサービスや訪問介護を使って、寝たきりや車椅子の方など常時サポートが必要な場合は有料老人ホームなどの入居型の施設を利用するのもあります。






介護の悩みや不安がある際は、1人で抱え込まずに地域包括支援センターやケアマネなどに相談してみます。
介護離職に関しては、会社の介護休暇制度を利用したり、また時短勤務が可能か確認する必要があります。






7.介護施設の人材不足
介護施設の人材不足から介護サポートを受けられない人もいます。
介護施設が人材不足は、介護難民の問題にもつながります。







介護職員不足は、多数ある同業他社との人材の取り合いになっています。
介護職の給料の低さや身体的負担、人間関係のトラブルなど離職してしまう人が多いです。







介護者の心のケアの必要性




そういえば「レジリエンス」と言う言葉は聞いたことがありますか?
なかなか聞きなじみのない言葉ですが、心理学で使われている言葉だそうです。





日本語訳すると、「弾力性」「回復力」「しなやかさ」と言う意味になります。
使う場面ごとでニュアンスは異なりますが、逆境や困難な状況を乗り越える「回復力」として用いられていることもあるようです。







介護の現場でも、本来は対処出来ることも、「疲労」「ストレス」が蓄積されると上手く対処出来ず、そこがきっかけになってさらにストレスをためることになります。







トラブルが増えていきやがて、その人らしさが失われていき、心が折れてしまいます。
自分の心に対して意識を向けることはなかなかないように思います。




リラックスのための深呼吸で心が落ち着くのは、それが自律神経のバランス調整のおかげなのです。







自律神経のコントロールは特に意識することなく行われています。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れているとか、どちら一方が優位になっていることが長く続いていると、疲れや不眠になったり、食欲低下へとつながります。







無意識で起こっている呼吸を意識しながら、コントロールすることで交感神経と副交感神経のバランスが、整うことになります。





忘れようとしてもなかなか、忘れることが出来なくて逆に思い出すこともあるように思います。







嫌なことは忘れるのがいいとは、言いますがそう簡単に出来るものでもありません。
体の仕組み的に忘れるとかなかったことにするよりも、それを受け入れることがポイントになっているようです。







あっけらかんとして、反省しないのはどうかと思いますが、過度に落ち込んで前に進めなくなるのは、精神的に辛いし、介護する側のメンタルが相手側にも伝わってしまいます。







自分の気持ちが知らず知らず介護を受けている側に伝わっているのです。
そこで思い出して欲しいのは、落ち込むにはそれなりの理由があったこと、例えば毎回デイサービスへ行く度に「行きたくもないし、わたしのことを邪魔者だと思っているんでしょ」と言われて。







そこに行ってしまえば、楽しかったと言って帰ってくるとわかっていても、言われたことでかなり深く刺さり、それで落ち込んで、腹立ったりするものの、そんな自分が嫌悪感でうんざりするなどの理由が考えられます。







ここで考えることとしては、
1.落ち込んだ時の状況
2.落ち込んだ時の気持ち、感情、相手がいたら、相手への気持ち、感情
3.今の自分(落ち込んでいる)を客観的に第3者から見るとどんな感じか







と言うことを書き出していきます。
落ち込んだ時の気持ちに気が付いたら、その気持ちへ「大丈夫」と心の中で声をかける感じでいいと思います。





かなしいも、虚しいも、辛いのも大丈夫と。







「忘れない」とか「考えなくちゃだめだ」とか思わなくていいです。
自分の中にある感情に対して「大丈夫」と伝えてあげて欲しいです。

介護歴が約10年くらいの者です。これからの介護の未来とビジネスモデルについて色々思いあぐねています。介護の未来が明るものになるようにしていきたいと思っています。