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格好つけない

タイトルからそう言ってはみたものの、気づけばいつのまにか格好つけてしまっているということはないか。

意識的に格好つけるより、無意識的に格好つけてるほうが激しくダサいと思い、今年はいよいよそういうのをやめていく努力をしたいです。

古代東洋の哲学では善とは自然であることと説いてるので、善でありたければ自然体がベストなわけで、じゃあ自然体であるとは何かというと、正直であることだとは思います。

だがしかし正直にもいろいろあって、たとえば思ったことをそのまま言っちゃうとか、自分勝手な欲望を即行動にうつすとか、たしかに正直といえば正直ですが、内面の未熟さを放置したままなのに、とにかく正直を免罪符にしとけばなんでも許されるのかというと、それは絶対に違う気がします。

それじゃ子どもと同じですからね。

だから子どものうちは、いや子どもじゃなくても自分の心が未熟なうちは欲望のままということでもあり、欲望を野放しにしていれば当然、早い段階で外界との衝突や他者からの拒絶という挫折を味わうことになるわけです。

そのステップ自体は起こるべくして起こることですが、外界との衝突よりも重要なのはそういった「苦難」を目の前にしたときに、自分の心に対して正直になれるかだと思います。

そもそも外界との衝突は人生の必須項目です。

正直とは、そういうときに発揮するものだと思います。

誰だってトラブルのときはつい保身に走ります、こっちにも言い分はあるとか、相手にも悪いところあるとか様々な思いが沸き起こるわけですが、肝心なのはそれを冷静に見つめる第三者的視点です。

不満や焦りや後悔を全部認めて、なかったことにしない。

心の嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。

とりあえずこれをやらないことには始まらない気がします。

人はよく葛藤しますが、どのような思いが錯綜してもその本当の核にあるのは単純に怒りだ、とある本に書いてあって、ほんとそうだよなと、とても納得したことがありました。

いっけん悩みは複雑に見えますが、自分はこの人に、あるいはこの事態に、とにかく怒っているのだ、とシンプルに気付ける人はたしかに少ないかもしれません。

感じてるはずの怒りをなぜかなかったことにして別の原因を探そうとしてしまうから問題が複雑化してる、ともいえます。

それにはもちろん原因があり、たいていふつうに生きていれば人は様々な心の癖やトラウマを持ちますが、原点の怒りは基本、親に対してのものです。

親への怒りを認めるのが、子どもは下手なんですよね。

だって子どもの時、親は世界のすべてだし、自分の存在肯定をしてくれる唯一の存在だし、たとえ親へ怒りを向けたとしても圧倒的な力で逆にねじ伏せられたりして、泣き寝入りです。

そうやって子どもは自分が悪いと思うしかないまま親への怒りをあるていど無意識に封印し、現人類の9割はだいたいそうやって大人になってると思います。

その無意識の怒りが、そのあと長い間、他人への投影となってくすぶり続けるわけです。

他人からちょっとでも冷たくされたり否定されたりすると、いきなりその怒りスイッチが入る。

しかもそのスイッチは子どもの頃に形成された無意識のものなので、自分では気がつけない。

結果誤作動を起こします、自分の本当の心は怒ってるのに怒ってないことになってるから、おかしな言動になり、それはだいたいの場合過剰反応となってあらわれます。

たとえば他人から否定された途端に強烈に悲しみを感じて涙が止まらなくなったり、否定されたことに怖くなり必要以上に謝ったり、否定されたことに対して焦りすぎて謎の超長い弁解を繰り広げたり、あるいは否定されたこと自体をなかったことにするためいちいち冷笑ぶって逆マウントをかますという、自分はごまかしてるつもりでも他人からは丸わかりという痛々しい行動になってあらわれてしまうわけです。

そのすべてが、格好つけてることになるのに、それに気がついてない。

格好つける、とは、自分に嘘をつくこと、と言い換えることが可能です。

格好つけることでまた怒りを抑圧します、そして格好つけてることに限界が来た途端、大爆発を起こして、とんでもない事態に発展したりするわけです。

正直にならなきゃいけないのは、こういうときこそです。

相手から否定されたのが辛かったとはいえ、自己防衛反応して、混乱した行動をとってしまった。

と、今こそ自分の心と真っ向からむきあう。

そもそも相手は自分を否定したのだろうか?

と、新しい可能性を考えてみるのも有効です。

反射的に否定されたと思ってしまったけど、相手はただ自分の意見を言っただけで、それ以上の意味なんてなかったんじゃないかな。

と、思い直してみるのもいいです。

そうやってよくよく自分の心を見つめれば、あんな過剰反応する必要はなかったとわかるわけです。

そうすると急に恥ずかしさがこみ上げてきます、思い出せば思い出すほど寄せては返す波のように自分をシビれさせるその恥ずかしさにいちいち悶絶しながらも、逃げないことが重要です。

自分が否定されたと思ったから悲しくなったり怖くなったりしたけれども、相手の言動に対して自分が真っ先に抱いた本当の感情は果たして何だろうか?と考えていくと、やはりそれは怒りだったと気づきます。

勘違いしてはならないのは、怒りそのものは大切な反応です。

怒りでしか変えられないものはたくさんあります。

たとえばあきらかな理不尽に、怒らないでどうするんですか。

理不尽への強い怒りが、人類を平和的に進化させてきたのは間違いないことです。

愚者は自己の怒りを自己の欲望に使いますが、賢者は自己の怒りを全体を良くするために使います。

ただそれだけの違いです。

自分の中で、どうやら否定されたと感じることが怒りにつながるスイッチがあるらしい、とただ気づけばいいだけです。

さて気づいたところで、ではその出来事についてあらためて思い返したとき過剰反応だったなと思うのなら、怒りの量がどこかおかしいわけです。

つまり、怒りの総量のうち、その人に対して怒ってる割合が本当はどれくらいなのかです。

ある事態への怒りには、もちろんその事態に相応で正当な怒りも含まれてはいますが、過去に自分の中で未消化で、いまこの状況には無関係な怒りが、盛り盛り増しで上乗せされてることがよくあります。

否定と感じたことがスイッチになり、つい過去の怒りもふくめて瞬間的にそこへ投影してしまったが、自分の怒りの原点自体はこれじゃないんだ、と気づくところにいけば、相当いいレベルまできてる気がします。

しかもその時点ではすでに完全に冷静になってるため、いまさらながら相手にそこまで反応しなくてよかったとはっきり気がついてしまったりして、終わったかに思えた恥ずかしさのビッグウェーブが再登場して加速します。

自分は未熟だった、相手には関係ない個人的感情までよけいにぶつけて、どうしよう、相手は自分の過剰な言動にさぞかし困惑しただろうな・・・と相手の立場になっての状況分析すら可能という賢者のレベルになれるわけです。(すごい成長だ!!)

怒りを認めることでしか、怒りは克服できない。

自分に対して心を開け、とは賢人の教えです。

わたしはこの言葉が好きです。

過去、親を始めとした他者の抑圧から無意識に怒りを押しこめてきた自分、その自分に対して心を開く。

自分に心を開くと、怒ってる自分を素直に受け入れられます。

それ以外に怒りが中和されることはないと思います。

そうなると不思議なもので、感情を素直にあらわす、言いたいことがきちんと言える、他人との意見の相違を前ほどには恐れなくてすむようになります。

自分の怒りを認めたほうが、他人に対して忍耐強くなれるって、おもしろい仕組みですね。

正直になるっていうのは、こういう地味でめんどくさい作業を、自発的に何回も何回もくり返すことでしか、到達できないのだと思います。

自分の未熟さとむきあうっていうのは、もういちいち死ぬほど恥ずかしいんですよね。

こんな恥ずかしい自分に気がつかないまま、つまりそれこそが無意識であったということですが、それを晒して生きてきてしまったのか、とたった1秒前までの自分に対して本気で血の気が引いてこそ、正直に一歩近づけます。

格好つけることをやめたからです。

肩の力が抜けて、ほっとして、この世界に対して怖いものがひとつ消えました。

そうやって格好つけない生き方が少しずつでもできるようになる過程が、理性の発達であり、自分へも外界へも矛盾のない自然な生き方につながるんだと思います。

格好つけないで生きるためには、恥ずかしさを真正面からうけとめる作業をサボってはならない。

格好つけてると、逆に恥ずかしさから徹底的に逃げるから、いつまでも恥ずかしいままです。

正直じゃないってことです。

そういう部分がいっぱいあったら、人生は当然つらいものになります。だっていちいち過剰反応ばかりしてたら精神がもたないですからね。

人間不信の神経質な人になり安心感がほしくて隙あらば依存先を探し回るか、安心感を求めて他人を押しのけ支配することに全力を注ぐ人になるか、いずれにしてもどこまでもつらくて不自然な人生しか生きられない。

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人間が引き起こすこの世のおかしなことのすべての原因は、格好つけてしまったことによりあとに引けなくなった、というただそれだけのことが連鎖し積み重なった結果という気がしてます。

間違いを認めない姿勢は、世界を狂わせます。

そしておかしいことにおかしいと気がつくためには、何よりもまず自分が格好つけてないってことが必要じゃないかなと思います。

#日記 #エッセイ #哲学 #人生 #無意識 #人間関係 #政治 #社会


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