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インターネット上で行われている(Web)マーケティング活動をわかりやすく解説してみる

先日、こんなツイートがバズってるのを見ました。

この記事の反応をはてブとかTweetの返信とかで見てみると肯定的(というかそうだよね、って人とか)否定的な内容、気持ち悪い…みたいな事を言ってる人も見受けられ賛否両論感が。

そこで改めていち業界人として、インターネットの世界でざっくりどんな事がマーケティング活動として行われているのかをあまり詳しくない人向けにお話したいと思います。

全部を網羅している訳でもないので、一部だと思っていただければ幸いです。

話すにあたって、今回はわかりやすく上のツイートから引用する為「旅行系の検索エンジンサイト、サービス名は...イクシペデア」を題材にしてみましょう。

貴方は30代の女性、結婚しており子供なし。ふとしたきっかけで旅行に行こうと思い立つ…あたりからスタートしてみます。

第1章:初めての訪問

貴方はたまたま友達との会話で旅行でも行こうかなと思いたち、自分のスマホでおもむろに「旅行 おすすめ」みたいなワードでGoogle検索をしてみました。

そうすると、検索結果の上に「今、人気のシンガポール旅行がお得に!」という見出しで旅行サイトのイクシペデアを見つけました。確かにシンガポールって面白そうだよね…!ということでそちらをクリックしてました。

イクシペデアのマーケティング担当者はGoogleの検索連動型広告を活用して広告を出してます。Googleの検索連動型広告は「どんなキーワード」で検索された時に広告を出すか…という事だけではなく「誰に」ということも興味や属性でターゲティングすることが可能です。 

ここでイクシペデアのマーケティング担当者は「旅行 おすすめ」というキーワードに対して、「男性20代」「女性30代」のような年齢のセグメントごとに出す広告を分けており、今回の「女性30代」にはシンガポールをおすすめするような広告にし、広告のクリック先はシンガポール情報と検索結果が表示されるようにしておりました。

でてきたページには早速シンガポール観光地のホテルの検索結果になっており、意外とホテルもそこまで高く無いことが。

面白くなってきてちょうどそこに出てた観光地情報のページなどそのサイトでホテルを見たり、情報を調べました。

ただ、ここで流石にすぐ予約とはならず、スマホを置いて別の事をし始めました。

イクシペデアに来訪した瞬間にマーケティングシステム側では訪問者が初めての訪問であること、そしてどの広告からの流入であることが記録されます。
担当者は初めての訪問向けに、検索結果の都市に紐づく観光地情報ページへのリンクをポップアップ表示するようなターゲティング施策を設定してありました。

第2章:スキマ時間に再びサイトに来訪したが…

翌日、電車に乗ってる時にブラウザを開いた時に出てきたのが昨日見ていた旅行サイト。そう言えば調べてたんだった!と思い出し、電車の移動中にまた検索を始めます。

ちょっと他の場所も気になってきて、またGoogleで検索をしてみたりしてた所、別のサイトでカップルに人気の観光地ランキングというページが見つかり、そちらを見て、バリ島なども良さそうだなぁと思いを馳せながら出勤します。

Googleの検索では、意図的に広告出稿側が条件や情報を渡せれば広告出稿の条件に当てはまっても、人によって出さないようにする事が可能です。(広告の出稿量を減らし予算を使わないようにするため)
イクシペデアのマーケティング担当者は、直近1週間以内にイクシペデアへ往訪したことがある人は広告を外すような設定をしており、実はサイト離脱後のGoogle検索ではイクシペデアは出てませんでした。

第3章:3度目の訪問、そして…

あの後、色々と考えて旦那とも相談をちょっとした所…どっちも行きたいけど、でも結局場所は予算との相談だよね、ということでどこで予約するのが安くて楽なのかなーと旅行サイトのおすすめページを見てたりすると、結局最初に使ってたイクシペデアが良さそうということに。

今度はGoogleで「イクシペデア」と検索してサイトに来てみました。そうすると、TOPページでは前回調べていた「シンガポール特集」の大きな見出しが出てます。そして、下には他のおすすめ旅行先!という事で、気になっていたバリ島、そしてタイやオーストラリアが出てきました。

TOPページでは来訪した人が過去にどんな行動をした人なのかという情報を元にサイトの書き換えを行っております。イクシペデアのマーケティング担当者は、TOPページの一番目立つ上部の見出し画像を「サイトに来たことがあり、直近検索した国がある」人向けにその検索した国ごとの特集を出し分けする設定をしてありました。
(よって、人によって出てくるページが異なります)

更に、イクシペデアにきた様々な人が予約するまでの行動データを活用し、シンガポール旅行を予約した人が他にも検索していた国という情報を抽出し、オススメ旅行先として自動的に出すようなレコメンデーション施策も実施しております。


貴方はそれぞれの旅行先で試しにいくらになるか検索をしていくと、総合的にシンガポールがいいなぁ…ということで、具体的にホテルとかをちゃんと見ようと思い、再度シンガポールの旅行を検索。

そうすると、おすすめホテル!という枠でちょっと割引になってるホテルが出てきました。5つ星ホテルなのに、価格が安くなっており評価も高いのでこれがいい!と思い、早速旦那と相談。

イクシペデアでは往訪回数で旅行の予約率を見ており、3〜4回目での往訪予約率が高いことが分析でわかっています。そこで、マーケティング担当者は3〜4回目の往訪で且つ、過去に検索した国と同じ国を検索している場合、スペシャルオファーということでディスカウントが可能なホテルをおすすめとして表示するターゲティング施策を実施しています。

旦那に検索したURLをLINEで送って見てもらうと、自分の表示されている金額と異なる事が気になりましたが…場所も良さそう!ということで、早速貴方は予約を実施。

これがまさにツイートで書いてあったようなパターンですね。旦那のスマホで見ても初回訪問なので対象外になり、金額が出てこないなんてこともありえます。

予約完了メールが届き、ホテルと飛行機は取れたので後は旅行先でどこ行くか、観光地を色々見つけて二人で相談を始めるのでした、ちゃんちゃん。


まとめ

すごーくざっくりですし、今回はいわゆる「オウンド(Owned = 自分が持っている)メディアマーケティング」のよくあるやつを書いてみました。

実はここに、まだメールやLINEでのマーケティングや旅行であれば旅行予約後のマーケティング、更に複数のサイトをまたいだマーケティングなどなど…いっぱいあります。
(本当はAIとかも絡ませたかったですが、ちょっと複雑になるので割愛)

私がこれでお伝えしたかったのは、こういう裏側のマーケティング活動は来てくれた来訪者の方の事を思って、使いやすく便利になるようサービスをしているということです。

よくネットの世界のマーケティング系の話で、なんかよくわからないからデータを渡さない…とか、怖い…とか言われちゃう事もあるのですが便利にするために利用している側面もあるんだよ、って思われると業界にいる人としては嬉しいなと思ってます。

私個人としては、もちろん行き過ぎたやり方や正しくないデータの保持の仕方については断固反対ですし、マーケティングも「気持ち悪い」所まで行ってしまってはダメだと思います。

だからこそ、業界全体やマーケターが正しく良い体験をお客様に提供できるようにしていくべきなんじゃないかな…と考えております。
(もちろんこういう事を裏側で意識されないようにする事も重要)

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