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マレーシア最大のコンベンションセンターがたった4日で仮設病院になった、その舞台裏

マレーシアでの感染者数は4月4日の段階で3483名。3月17日からのMCO(ロックダウン)でその曲線はゆるやかになったものの、政府は第三の波を予想して動いています。

昨日の地元紙では、国内90ヶ所に隔離施設が完成。合計409センターで一度に収容可能な人数は40,000人と報じられました。スピーディな対応に絶賛の声が上がっています。

実はこの90ヶ所のうちの一つ「MAEPS」という、クアラルンプール郊外にあるコンベンションセンターでの病院設置過程を、政府系のFacebookで追いかけて読んでいました。「合計600床の検疫・病院施設を計画中」というだけでもすごいなと思っていたのが、なんと全国で40,000床も準備していたとは...

そのMAEPS仮設病院準備の舞台裏の記事。なんとたった4日間で400床の仮設病院を作り上げたというのです。

このストーリーにとても感動したので、時系列でまとめて概要を翻訳しました。改めてそのスピード感に驚きます。

マレーシア最大のコンベンションセンターが、たった4日で仮設病院に

政府は、MAEPSの3ホールのうち、ホールA(9,600平方メートル)とホールC(3,600平方メートル)を、軽症のCovid-19患者や無症状の患者を治療するための検疫・仮設病院として設置しました。

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写真:Malay mail より

計画から完成までの時系列

●3月24日(火)
MAEPSの最高執行責任者Norafizah Rahmanさんが、国家防災庁(Nadma)から「仮設病院設置の可能性」について電話を受ける。同日3:00pmにNadma一行が視察に訪れる。

●3月25日(水)
首相がMAEPSに仮設病院設置を決定。Nadma、保健省、軍隊、防衛省、労働省、MAEPS代表者が「運営委員会」として集結し会議。

●3月26日(木)
夜までにホールAとホールCのプランを完成させる。中国やアメリカの病棟をネットで見て研究し、プライバシーも確保したキューブ型を発案。

●3月27日(金)〜28日(土)
設置作業。ロックダウン中のため、資材集めに苦戦。警察署に許可を取ってハードウェアショップを開店させたり搬入作業を行う。

●3月29日(日)
ホールAの400床が完成。翌日、ムヒディン首相が施設を訪問。

木曜にプランを練って日曜に完成と、本当に4日間...!決定から完成まで信じられないスピード感です。

MAEPS責任者のことば

MAEPSの最高執行責任者Norafizah Rahmanさんは、振り返ってこう述べています

“私たちは今まで、自動車ショーから旅行展示会、コンサートまですべての設置を行なってきたけれど、ここに病院を、しかも4日以内に設置するとはまったく予想していませんでした。

業者から清掃員まで約150人が参加しましたが、迅速に物質を調達すること、ベンダーが自分たちの事業所の敷地内に入ることなど、MCO期間中に動くためには警察からたくさんの許可を得なければなりませんでした。

また、作業員の感染を防ぐことは最も重要視し、安全性を確認しながら作業を進める必要もありました。

設置に必要な物質を扱うハードウェアショップも閉まっているので、開店を説得しなければならず、道路が封鎖されて何社かの供給が止められてしまったり、許可が下りるまで警察署で待たなければならなかったり。

また公共事業局、保健省の役員や検査官が「待機用発電機を含め建物に十分な電力が供給されているか」の厳しいテストを行いました。シャワーヘッドやタオル掛けなど、敷地内に設置されているものは全て、患者が安全に使用できるものでなければなりませんでした。

とにかく日曜日までにすべてのものを準備する必要があったので、時間との戦いでした。この病院設置までの完成4日間は、通常なら1週間はかかる普段のイベント設置よりも早かったのです。スタッフ一同、誇りに思っています。”

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写真:Malay Mailより

仮設病院の設備

MAEPSには、以下の設備がそなわっています。

・冷暖房完備
・ナースコールシステム
・救急蘇生エリア
・診療所
・薬局
・レントゲン設備
・コンピューター
・スラウ(イスラム礼拝所)
・監視カメラ
・更衣室
・マッサージチェアを備えた休憩所

ホールCの200床も設置中。また、テレコムマレーシアが施設内の無料WiFiを提供。他にも事業に参加することを約束したスポンサーがいるそうです。

何度も書きますけど、火曜に打診を受けその日に視察、水曜に設置決定、木曜プランニング、金土で設置して日曜に完成!

設置の速さに加え、政府の意思決定の素早さは重要ポイントです。普段はのんびりしてるマレーシアなのに、有事にこの動きの速さは国際的にも大きく評価を受けることでしょう。

追って別の記事でもご紹介しますが、政府だけでなく民間ボランティアも大きく貢献しています。一般市民も野菜を無償で軒先にぶら下げたり...このマレーシア国民の熱さに、一昨年の総選挙を思い出しています。↓こちらの記事もぜひどうぞ。

月曜日にMAEPSを訪問したムヒディン首相(写真中央)も、完成度とそのスピードにいたく感銘を受けていたそう。実はこのMAEPS、ムヒディン首相が10年以上前に農業大臣だったときの発案なんだそうですよ。

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写真:Twenty Two 13より

当地では医療従事者や警察官など、この状況下の最前線で働く人たちを「フロントライナー」と呼んでいますが、彼らも素晴らしいフロントライナーの一員ですね。

日本でも国際展示場やオリンピック施設を使って、今すぐ出来るんじゃないでしょうか。1日も早く対応に乗り出して欲しい、そう願わずにいられません。

仮設病院の企画から設置までのタイムラプスもぜひご覧下さい。↓


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