風呂とは何か?

私の地元は、元々炭鉱の街で、炭鉱で働く人達が住むための長屋があり、私が生まれた頃にはすでに炭鉱は掘られてませんでしたが、長屋はまだ残ってて、小2の途中で引っ越すまでは、そこで育ちました。

長屋には風呂は無く、トイレはあるけど、外に出ないといけなかったのでトイレとはめんどうなものだと思ってました。
ただ、それしか知らないんで、特にそれが嫌だったとかも無く、そういうものだと思って生きてました。

風呂が無いので銭湯に、大体は家族で、たまに長屋の人達や友達と行くのですが、荒い土地なので、とにかく刺青の入った人達が多く、大人になったら背中に絵が浮き出て来る人と出て来ない人がいるのかな〜?もし出て来るなら龍がいいな〜かっこいいし、辰年生まれだし。そんな事を考えてました。

銭湯では、刺青入ったおじさんに手でやる水鉄砲を教えてもらったり、お兄さんが吸ってるタバコがたまたま腕に当たって根性焼きされたり、友達と銭湯のテレビでオールスターやオリンピック見たり、銭湯の前に来てた紙芝居で型抜きに成功したのに、ごねられて景品もらえなかったりしたけど、そんな事じゃなく、自分にとって風呂は、大きくてみんなで入るものだと思っていたんです。

それでですよ。母方の祖母の家に行く事があって、話を聞いたら、ばあちゃんの家には風呂があると言うじゃないですか。
僕としては、マジか?となる訳で。
風呂を家族で独占出来るって事は、泳げるし最高だと思って、とてもはしゃいでみたもんです。
友達も呼びたいくらいでしたね。

ただ、祖母の家に行ってみたら、家の大きさから考えても、どうも風呂は無さそうなんですよね…。
どこかに歩いて行くの?と親に聞いても、家にあると言うので、頭の中はパニックでした。

そして、当然、家にあるサイズの風呂を見て私は愕然としたのです。

これは俺の知ってる風呂じゃない!

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