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37 トークライブで飲む

 新宿にロフトというライブハウスがある。基本的にはロックバンドがライブを演る場所なのだが、そのオーナーが音楽以外のカルチャーにも理解のある人なので、音楽ライブ以外にも、文化人が討論したり、様々な話題を語り合うための場所を作った。新宿ロフトプラスワン、阿佐ヶ谷ロフトA、ネイキッドロフトなどなど。
 初めて見たのが何のイベントだったかは覚えていないが、仕事柄、ライターやタレントの知人は多いので、誰かのトークを聞きに行ったのだと思う。
 そうしたイベントでは、壇上でのトークを聞きながら、食事をしたりお酒を飲むことができる。むしろ、その売り上げが出演者のギャラに反映されるので、店としては積極的に飲食してもらうことを奨励している。お客さんたちは、好きな演者を応援する意味を込めて、お酒をおかわりする。また、例に挙げたロフト・グループは、提供する料理がおいしいことでも知られている。

 さて、見る側だったぼくが、出る側に回ったのは2009年のこと。
 カルチャーマガジン『TRUSH-UP!!』のイベントに呼ばれたのが最初だった。翌年には、友人たちとやっていた映画評論同人誌『Bootleg』のトークライブに参加したり、安田理央さん主催のイベントに呼んでもらったりもした。そして、初めて自分から企画し、イベント構成を考え、出演者の交渉から司会まですべてこなしたのが、2010年の9月に開催された『メタルマックス・トークライブ』だった。このときはチケットがソールドアウトになるほどの盛況で、もうこれでトークイベントというもののおもしろさに夢中になってしまった。以来、幾度となくイベントを企画してきたし、出演者として呼ばれれば、よほどのことがない限り断らない。

 お客さんは客席で飲食をすると書いたが、トークイベントでは出演者もステージ上で飲食をする。まあ、喋りながらなので、がっつり食事をするってことはほとんどないが、喉を潤すためにお酒は飲む。酔って思考力が鈍るのを避けるため、お酒が飲める人でもステージ上ではソフトドリンクだけという人もいるし、節度なく飲んでベロベロになり、暴言を吐いたり、言っちゃいけないことを言ってしまう人もたまにはいる。ぼくはご存知の通りお酒には強い方なので、2時間程度のトークの間なら、なんぼ飲んでもまず乱れることはない。
 大抵のトークイベントでは、出演者のドリンク代は店から提供される。つまりタダ酒だ。タダでお酒を飲ませてもらったうえに出演料までいただけるなんて、夢のような商売である。
 もちろん無限に飲んでいいわけではなく、出演者全員のドリンク代には上限金額が設定されいることが多い。でも、よっぽど大人数の出演者がいる場合はともかく、4~5人で上限金額に達することはまずない。
 トークイベントで出演者が飲むお酒と言ったら、生ビールかレモンサワーあたりが普通ではないかと思うが、ぼくはいつもホッピーの白だ。ロフト・グループにはホッピーがある。初めての店に呼ばれたときは、楽屋入りしてまず最初にするのが、店のメニューにホッピーがあるかどうかを確認することだ。
 ホッピーがなくてもお酒さえ飲ませてくれれば出演するので、皆さんお気軽にイベントに呼んでくださいね。
※写真は、阿佐ヶ谷ロフトAで「珍書ビブリオバトル」というイベントに出演して優勝したときのもの。トロフィーがわりの商品「人参焼酎 珍(めずらし)」をもらって喜ぶとみさわ。

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