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自粛要請下の東京、真夜中の路上で体験したこと。

まず、自粛警察と自粛警察みたいな人は読まないでほしい。

言ったよ。

これで、読んだ後に怒られても困るよ?

「読むな」って言ったからね。

さて、この時期、不謹慎かと思われても仕方ない事だけれども、散歩に出ずにいられないのである。

密集、密接‥密閉…だっけ?

とりあえず、なんだ、あの、例の「三密」のある所には行かないようにはしている。

「外出」というのは「うちの外に出て、外を経過して人が密集する所に行く」事であって、ひとりで人気のない街や路地裏を歩くのはそれには当てはまらないと解釈している。
特に路地裏が良い。
そこを一人で歩いていても別に誰に迷惑をかけることもないはずだ。

そもそも僕は人が不幸になったり、困ったりする状態に陥れるような事は好きではないが、それに当てはまらない行為に対してのの遵法精神が薄いタイプ(だから逮捕されてるんだけども)だが、この件に関して法律には違反はしていない。

なので、自粛警察に叩かれるか、本物のお巡りさんに職質されるくらいな事だ。

そういえば外出自粛要請が出始めた頃は街にお巡りさんがめちゃめちゃ外をパトロールしていた。
おそらく不要不急の外出を牽制する目的だろう。
そういえば、ここ最近はほとんど警察の姿を見かけなくなったのは、外出自粛が定着したからだろうか。

この自粛ムードを徹底させるために、要請期間の序盤に街の見回りをして我々をそれとなく萎縮させる作戦だったのかもしれない。

しかしながら、その作戦の結果として、東京のコロナは収束に向かってきているとも言えるのかもしれないし、あのときお巡りさんが街をパトロールしまくっていたのは正解だったのだろう。

ま、その自粛ムードの町の中を毎日、散歩に出ていたわけだ。
別にお上に反抗心が強いわけでもないし、確かに若干、公共心にかけ、遵法精神が低い所はあるかもしれない。

それにしても散歩はいい。
今はちょっと後ろめたい気持ちがするけど、基本、いいことしかない。

お金がかからないし、面白いし、健康にもいいし、発見もある。
最もコストパフォーマンスの良いアクティビティだ。貧者でも金持ちでも楽しめる。

さらにそれに加え、ストリートテクニックを発見する能力を備えれば一生でも楽しめる。

ま、長生きできればの話だが。

話が逸れた。

自粛下の外出では、今だけしか見れない景色が沢山ある。
とにかく、生理的、感覚的にどうしてもダメなモノを除いては、見た事がない物は極力見てみたいという困った性分である。
必要火急とは全くいえないが、そういう性分を治すのはなかなか大変だ。

今がコロナと人類の戦争状態だとするなら、「不要不急の用件で、戦下の街をうろつく不逞の輩」となるのだろう。
そんな不逞の輩同士は、知らない物同士でも、お互いに外に出ているのを見つけあってアイコンタクトする。

「分かるよ、外に出たいよな?俺もそうだよ。お互い気まずいし、俺たちがここであったことは秘密にしとこうな。」

別に二人は知り合いでも何でもない。

でも、無言のやり取りが行われているようで、ちょっとした共犯者気分というか、何かお互い秘密を共有した気がして面白い。

ある真夜中2時頃に東京タワーに向かって歩いていた。
オフィス街の大通り沿いの小さな公園の前に白い屋台が出ていた。つい2週間前の話だ。

暗いオフィスビル街に白い屋台はぼんやりとした灯りをともしている。

移動バーだった。

見るからに「普通の人」には括られないタイプの店主と、自粛下の深夜の孤独に耐えきれなくなった(見た目は)普通の人達が屋台のカウンターを挟んで、静かに語らっていた。

まるで自粛要請に従えない静かな共犯者の深夜の秘密の会合だ。

その店主は40代半ばくらいだろうか、13年間、この移動飲み屋の商売を続けているとのことで、まさにストリートライフの体現者だった。

飲み屋と言っても、おでん屋の屋台のような感じではなく、グラスはバカラ、酒はン十年モノのなんたらで、俺は、そこに偶然飲んでいた人に声をかけられて奢ってもらったので値段はよく分からないけど、全然嫌な酔い方をしなかったので、さぞや上等なお酒を出しているのだろう。

別にこのコロナ禍でも関係なく、「僕はずっとこういう感じです。いろんな所を回ってます。」と穏やかに話す。
非常識か常識的かで言えば、非常識なのかもしれない。

しかし、僕はその人の生き方を見て、素敵だなと思ったのだ。
とにかく思ったのだから仕方がない。

しかし、このお店はファンも沢山いて、Twitterで「白い屋台」と検索するとアカウントが出てくる。
わざわざ今日の開店場所をチェックして飲みに行くお客さんも沢山いるのだと言う。
きっと、このお店に救われる人が沢山いる、ここで元気をもらって帰り、この時期を乗り越える気力になっている人だっているはずである。

自粛下の真夜中に外出していなければ、出会うことのなかった東京のストリートでの印象的な体験だった。

ありがとうの一言です。本当にありがとう!