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アテンションエコノミーで消耗しないために

現代の人間の行動として、新しい動きがここ10年ぐらいで生まれています。 それは何かというと、「何でもいいからバズれ」というものです。


昭和の頃は、情報を出すとき、「誠実性」が求められました。 情報拡散ツールがなかったので、発信者自体が少数でした。 厳選された発信者は、ちゃんと情報の質にこだわっていました。資格ある人がテレビでものを言えたり、本を出したりしていました。ですから昭和の頃は、今みたいに嘘でもいいからコンテンツをバンバン出せという方向性ではなくて、「いかに賢くするか」というのが指針としてあったんですね。それが平成令和となるにつれて、ほとんど全ての人が発信者でもあり受信者でもあるという特異な状況が生まれました。 情報発信する縁がなかった人にも放送環境が与えられて、やる気次第で意見を発信できるようになりました。この情報が爆発的に増えた状況で得をするには、「いかに目立つか」が大事になります。


情報の海の中でどう目立つかというと、やっぱりそこには際立ったものが必要で、スキルがない人は「迷惑系YouTuber」にならざるを得ない。 あのような形で人々は利得を最大化しようとしています。 その一つの流れとして、昨今の自己啓発があります。 YouTubeでもTikTokでも、自己啓発で人々を混乱させている人がたくさんいます。 「自己実現しましょう、副業を始めましょう、婚活を勝ち抜きましょう」と。 情報を流しまくって、人をバカにしたり、ある属性をあげつらったりして、反応させるという。時間をいかに奪うかを考えた連中が、ネットで暴れまわっているのが現在です。


その発信(コンテンツ)に、精神をぐちゃぐちゃにされている人がたくさんいます。自己啓発というのは、「人間が本能的にできないことをできるよ」というやり口です。例えばダイエット。ダイエットというのは人間は苦手です。それを「こうすればできるよ」という。それからビジネス系。金儲けは特殊なスキルや資本力がないと難しい。それから政治に関しても、自民党をぶったたいて政権交代しようとか。こういうのもいつまで経っても自民党は弱くならないわけですよ。だから実現しないんですよね。 それから陰謀論。世界を牛耳っているのはディープステートだ、ユダヤ金融資本だとか言っていれば人々を振り向かせることができますからね。


こういう嘘に振り回され影響されて、自己研鑽してみるけども、人間というのは本能が強いので変わらない。そこでどうなるかというと、自己嫌悪ですね。 自分はダメだと。教祖がいうメソッドを試したけど人生変わらない・・・。気分が落ち込んで、学習性無力感になっちゃう。


そしてその学習性無力感が長引くと、鬱病になる。 これは人間のカラダの構造としてあるんですね。 報われない状況が長く続くと、省エネモードに入るんです。 勝ち目がない状況では、それ以上エネルギーを無駄にするなということで、勝手に鬱状態になる。 ですから、自己啓発で頑張れば頑張るほど鬱病になっていくと。 そういう人がたくさんいる。


だってこれだけ情報が溢れて、いろんな人が自己啓発を唱えていて、解決策をどんどん流してくる状況で、みんな騙されてしまいますからね。 俺も変われるんだっていうふうに。


実は自己啓発を発信している人、教祖の側も普通の人間ですから、自分が言っていることを実行していないこともたくさんあるし、実行していたとしても月に1回とか半年に1回くらいなんですよ。 人間というのはそんなに器用じゃありません。 頭で考えたからといって体がちゃんと動くかというとそうじゃありません。 みんな怠けてます。煩悩にまみれています。 人間の本能は強力なので、もうしょうがないんですね。 自己啓発に取り組んでうまくいかなくても、それはあなただけじゃないです。 みんなそうですから。人生は好転しないものです。


ということで、今回皆さんに言いたいのは、今というのは非常に嘘が多い時代で、 それっていうのはアテンション・エコノミーが原因。 みんな人の時間を奪いたい、どうにかしてこっち向いてくれって頑張ってます。 その結果嘘が多くなっちゃって、詐欺師が増えてるんです。

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