見出し画像

【まなスト③】伊藤 邦泰さん(社会人)

今回、インタビューをさせて頂いたのは「伊藤邦泰さん(社会人・NPO勤務)」。

伊藤さんは、東京都大田区出身。都内の私立中高一貫校を卒業し、明治大学に進学。大学院では「保全生態学」の研究をし、卒後業後は「都市の生物多様性の保全」や「地域活性化」に携わる仕事をしています。また、岩手県を拠点とする「株式会社ソーシャル・ネイチャー・ワークス」のスタッフも務めており、ジビエの流通活性化にも取り組んでいます。

今回の記事の「ポイント」


「昆虫の観察」が大好きな幼少時代

伊藤さんは、都内の公立小学校を卒業後、中学受験で「明治大学付属明治中学校」に合格し、進学。その後、明治大学の大学院まで進まれたそうですね。伊藤さんの子ども時代は、どんな子どもだったのでしょうか?

「私は4人家族の長男として生まれました。弟がひとりいます。父親は一般企業で働く、いわゆるサラリーマン。母親は専業主婦でした。両親は、小さいころから、よく私をいろいろな場所に遊びに連れて行ってくれました。特に、私が好きだったのは『川遊び』や『昆虫採集』です。川には魚や魚以外にも様々な生き物が居て、川遊びに行くたびに生き物を捕まえて、家に持って帰っていました。そのうちに昆虫や生き物を観察するのが大好きになり、近所で昆虫を捕まえては家に持って帰って、観察していました。今考えると、母親はよく許したなと思うのですが(笑) 」

その後、伊藤さんは附属の中高一貫校を卒業し、明治大学に進学します。大学では『農学部』を選択し、『保全生態学』を専攻します。

大学進学時に「考えたこと」

中学受験で中高一貫校に入学した場合、大学進学は「進路選択」において、とても重要なタイミングになりますよね。お子様の中には、学部選択や進路選択で悩む人も多くいますが、伊藤さんは「大学進学時」に悩んだことはありませんでしたか?

「私の場合は、大学付属(明治大学)の学校だったこともあり、大学の選択で悩むことはほとんどありませんでした。実際、他大を受験する人は少なく、同級生のほとんどは明治大学に進学しました。私立中高一貫校の中には、他大進学する人が多い学校もありますが、明治の場合はほとんど明治大学に進学します。一方で、『学部選択』は私にとって、とても重要でした。学部選択のときには『何が好きか』を特に重視して考えたと思います。幼いときから私は『生き物』が好きでしたし、併せて、地球温暖化や環境問題が世界的にも注目されていた時期でもあって、その時の私は『自然保護』や『自然との共存』というキーワードに関心がありました。結果として、『農学部』に進学することを決めました」

伊藤さんは学部を卒業した後、大学院に進学し『保全生態学』という分野で研究を進めます。大学時代や大学院時代では、どんな活動をして、どんな変化があったのでしょうか。

「人」と「生き物」が共存する方法

「私が研究していたのは『保全生態学』という研究です。みなさんはあまり聞いたことがない研究分野だとは思いますが、簡単にいえば『生物の多様性の保護』『生態系の保全』を生物学的な観点に留まらず、社会科学的な観点も含めて考えていく研究です。地球には人間だけではなく、多くの生物が暮らしています。そのような多くの生き物の命や生態系を維持していくことは、とても重要なことです。しかし、では生態系を保護するためにどうすればいいのか、を考えていくと、それは簡単ではありません。ただ生物を研究するだけでは生態系は保護できません。人間の在り方や生活も含めて、より広い視点で考え、設計していく必要があります。保全生態学では、そのような観点から研究を進めていきます」

伊藤さんは大学院を卒業後、研究内容を評価され、世田谷を中心に街づくりを行う会社に就職。その後、現在もNPOに勤務し、街づくりや地域づくりに取り組んでいます。


「地方」に足を運ぶことで、知ったこと

伊藤さんは、NPOで働く一方で、個人として『地方経済の活性化』につながる活動もしているそうですね。具体的には株式会社ソーシャル・ネイチャー・ワークスに所属し、『ジビエ肉』の流通・販売を行っている会社の販売サポートなどの活動をしているそうですが、その活動を行うきっかけは何だったのでしょうか。

「私は大学院時代から、地方に足を運ぶことが多くありました。なぜなら、東京などの都市よりも、地方の方が多くの生き物が生息しており、生態系が豊かだからです。最初は、生き物の観察・研究が目的でしたが、そのようなことを重ねる中で、地方で活動するさまざまな人と出会っていきました。ジビエの流通・販売を行う会社のサポート事業を手掛ける株式会社ソーシャル・ネイチャー・ワークスに出会ったのも、そのひとつです。ジビエは、最近少し世の中にも受け入れられるようになってきていますが、まだまだ一般的ではありません。そのようなジビエ肉や革製品などを、より多くの人に届けるための活動を行っています。ジビエの普及活動を通して、日本にも様々な生き物が生息していることや生態系の重要性についてより多くの人に知ってもらいたいですね」

これから学ぶ「子どもたち」へ

伊藤さんは幼少期の興味関心から、大学院まで研究を進め、仕事を選んできたのだと思います。コロナなどでなかなか「リアル」との接点が薄れてきている時代ですが、これから「学習」「進路選択」をする「小中高生」に向けて、なにかメッセージはありますか。

今の世の中は、私が大学院生だったときよりもネットが身近にあり、多くの情報を手に入れやすくなりました。「リアル」の接点が少なくはなりましたが、決して0になったわけではありません。自分がワクワクすること、少しでも関わってみたいと思うものがあれば、その分野のスペシャリストの情報はすぐに調べられますので、可能であればSNSやネットをフル活用して、その方々に会いに行ってもいいかもしれません。実際私のところにもジビエに興味がある学生が何人かコンタクトを取って、オンラインでお会いしたこともあります。その中から、行ってみたい学校が決まるかもしれませんし、学校に行かない選択肢も出てくるかもしれません。自分なりの進路、専門としたい学問を見つける過程も、ぜひ楽しんでください。

皮の加工風景
販売品
販売品
販売品
鹿やイノシシの皮
鹿やイノシシの皮


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?