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ライブハウス、舞台上の真ん中。僕の憧れ。







君の姿は輝いていた。
紛れもなくあの瞬間は。
ライブハウス。一番の中間地点。たたずむ僕は
ライブハウス。舞台上の真ん中。君の姿しか目に入らなかった。

あの一瞬、信じていなかった運命を信じてしまった。これが運命だと思いたかった。

君の長い黒髪が目元にかかり、その隙間から見える目には確かに光が宿っていて、口から発せられる言葉ひとつひとつが熱と重さを持っていた。

まるで呪いのように僕に降りかかり、君の肌に流れる汗ですらありありと見えるようで、君に「釘付け」になっていた。
君は本当に輝いていて「このひとはこうすることでしか生きれないひとなんだ」てすぐにわかった。

身を削るようにしか生きれない君よ。
流星のように燃えて消えていく君よ。

それが僕と君の出会い。
下北沢のライブハウス。
信じていなかった運命を信じてみたくなった。


君の言葉や君の鳴らすギターの音が
間違いなく僕を掴んで離さない。
今でも一瞬であの日に戻ることができる。
逆らえない重力のように。
君の言葉はやっぱり呪いだ。


君に少しでも近づきたくて、
その日からギターを練習した。
お父さんが残してくれた1つにギターがあった。
物置の奥からギターを引っ張りだしてきて、弦を弾いてみた。
「ポン」軽く深い、始まりの音がした。

君を初めて見た時から僕に「初めて」が増えた。
「こんな風に弾いていたかな」想像して
「君といつか同じステージに立てたら」妄想して
今まで頑張った、ことの無い僕が初めて熱中できた。これも「初めて」のことだ。

いつしか僕は音楽に夢中になっていて
バンドを組んだ。
君の情報はSNSでチェックしていたけど、ライブに行くのはやめていた。
「もっともっと上手くなってから」「もっともっと有名になってから」君に会うためのハードルを自分で上げていた。
「君と同じステージに立つ」
それが僕のモチベーションだった。


掻き鳴らすギター。
空気を含むように歌う。
空間が振動する。
お客さんと一緒になる。
混ざり合ってここもあそこもどこも境界線もなくなる。
そんなことも初めて知った。初めて知れたんだ。



日々練習。日々練習して、それなりに僕も弾けるようになってきた8月。
君のバンドが解散したことを知った。「あの場所でしか生きれない彼女はどうするんだろう」僕はそこで初めて君に連絡を取った。
TwitterのDM「初めてまして、突然のDM失礼致します」から始まる「初めて」のメッセージ。


「僕と一緒にバンドしませんか?」





これが僕と君の始まり。
実はね、ずっと前から君に憧れていた。
気持ち悪い男の話。
初めてここに記してみた。




いつか打ち明けようと思っている。
「僕がギターを始めたのは、貴方に出会ったからなんです」
いつか、然るべき時に。


いつのまにか「音楽がないと生きれない」
僕もそうなっていた。



今日も下北沢のライブハウスでライブをする。
君と一緒に。今日もギターを鳴らす。君の音と共に。




最高の瞬間だ。








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22歳の🐤。『 ずっと思春期 』写真と歌と言葉。制服とカフェラテ愛好家。

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