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雨の前

朱眼マナツ

もくもくもく。
もくもくもく。

あ、なんか溜まってきた。
毒というほどは強くない何かが。
刺激は少ないのに、だからこそ厄介で
気づかない間に侵食されているようなモヤが。

もくもくもく。
もくもくもく。

「正解なんて分からない」
強迫観念の裏側には
「正解を渇望する自分」が居て

思い切りのよさ=行動力と
あと先考えない無謀さは表裏一体で

そのモヤは
遠く響く雷の音のように
私の心を深く揺らす。

深く揺らしている。
細かくではなく、ゆったりと
それでいて奥深く。


見ないフリをしていた。
見ないフリをしないと先に進めなかったから。

もう洗い流せないものを
見ないフリをしていた。

全部「フリ」の阿呆だとよくわかっている。

例えば、
センチに感じる
繊細に感じる
色の波形を感じる
言葉で明確化できないものを感じる
よりビビットに感じる
強烈に忘れられないように感じる

ようなことの「フリ」をしていた。

雷の音が深く私の心を揺らす。

もうすぐで雨は降るのだろうか。
願わくば、このまま流れる水滴とともに慟哭したい。

天に向かいこの熱を
雨でさえ冷やせないこの思いを
思い切り睨みつけて
目に入る雨粒もお構いなしで
そんなんに構っていられる時間は無いんだ。

あの雨も、あの夏の、あの涙も
忘れたくは無いから

忘れてしまうのが生きる術で
忘れてしまうことが美徳で
忘れてしまうのが人間であるという人がいても


私は相変わらず天を睨みつける

不条理なんて糞食らえだが、
お前を抱きしめたい。


お前を許してあげるよ。



誰も期待していない判断を下す。
それぐらいが丁度よいだろう。


お前を許す。













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