クソ野郎へ

朱眼マナツ


雨。
嫌いだと思い込んだ。

重ねて何回も繰り返した。
嫌いだと思い込めるように。
自分には必要のないものだと、損得感情で考えられるように。

嫌いだと自分に言い聞かせる度に
何故か悲しかった

ぁあ、自分に嘘をついていると
わかっている。わかっていた。

だけど、それでも「嫌い」と思わないとやっていけない。


目が私を写していなかった。
君の目の中に私はいなかった。
どこかここではない、どこかに君はいた。

触れ合っていても、繋がっていても
今ここにはいない。
今ここに、彼はいなかった。


そのシンプルな事実がただただ

ただただ


言葉にならなかった


キスを嫌がられた
終わったらすぐに帰っていった

一緒の時間を共有したいわけでも
真に触れ合いたいわけでも無かった


一度好きになったことのある人を
こうまで冷たく扱えるのかと
優しく冷たく扱えるのかと


絶望するより他に道がない


空虚だった、とても


ふらふらとしていた


このまま何も記さず、残さず

消えてしまおうと思った



消えてしまいたかった



フィクションを信じ、希望を抱けなくなった時


雑草が枯れていくように


そっと消えるだろう


とるにたらない葦だと

雑草だと



そう気づいてしまった時



ひっそりと朽ちていくだろう




彼の目に私はいなかった



生々しく思い出せる



愛のない


愛のない



交尾だ









私は少しでも長く、一緒にいたかっただけだ

私は少しでも長く、一緒にいたかっただけだ


夢から覚めても


空っぽなままだった



そこに君はいなかった



君に借りたお金はすぐに返そう


縁を切ろう


出会いを忘れよう



無かったことにしよう




「嫌いだ」



「本当に大嫌いだ」




君が何を感じていたか、わからない


君が何を感じていたか、考えられるほど


強くはない




私はただ悲しかったよ


とっても、



悲しかったよ




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