｢デキる｣マネージャーになんてなりたくない。

教師を目指していた自分。放送部やダンスをして磨いた表現力。勉強漬けの結果合格した大学。憧れだったバリスタ。

全部どこかに置いてしまった。

生きていることだけにしがみついて、なんとか生きている。

全部を置いていかないと生きていけない、って感じなのかな。

どれも、私から始めたこと。責任は私にある。

今思うとキャパオーバーだった。

バイトして部活に行って勉強して。が、どんどん加速して寝る時間までも奪われていた。

満足のいく結果は返ってこなかった。

そして、全部投げ出した。

家からほとんど出なくなった。

頑張ることをやめた。

最初は頑張らないことに罪悪感でいっぱいだった。

自分を責め続けて辛かった。

でも、できないものはできない。

1年かけて休むことを覚えた。

そして、私が居なくてもいい世界なんだなと、居場所を見失った。

これからどうしたらいいのかな。と、途方に暮れた。

それでも。

マネージャーがやりたい。

と、強く思う。

でも、なんでも屋さんにはなりたくない。

マネージャーって本当にすごいなって一歩引いたら思う。

ボランティア、というかお金を払ってまでやることも多い。

何よりも時間を選手に注いでいる。

｢あれ？なんでこんなことしてるんだろう｣って思うこともある。

凄いところはもっとすごい。

大会のエントリーや合宿の手配、食事の準備から掃除、もう本当になんでもやる。

それに感動して、そんなマネージャーを目指す人も沢山いる。

そして、必要とされるのはそんなマネージャーだ。

しかし、私はそんな理想像を持つことはやめた。

マネージャーって本当にゴールが無い。

やればやるだけ仕事が増える。

それをみんなは素晴らしいって言う。とても感謝される。それが嬉しくてどんどん仕事が増える。

気づいたら、マネージャーのやることは多すぎてヘトヘトになる。

そして、卒部したら終わり、ではなく後輩に受け継がれるのだ。

気づいたら膨大な量になった仕事をまだ右も左も分からないような後輩に任せることもある。

高校のときがそうだった。

私は卒部するまでに、やれることはとことんやった。

ほとんど1人で。孤独だった。

一個下のマネージャーは入らなかった。

私がマネージャーの魅力を伝えられなかったからだと自分を責めた。

けれど、マネージャーの魅力なんて、今は要らないと思っている。

私は、選手が輝くことが全てだと考える。

マネージャーがいくら仕事をしても、選手の表現には敵わない。

そもそも、私が陸上競技のマネージャーになったのは、そんな選手たちに一目惚れしたからだ。マネージャーがやりたい、支えたい、という思いより、こんな選手たちと一緒に居たい。そばで見ていたい。という憧れからだ。

では、選手が輝くには？？

何でもサポートするのか？

もちろん、雑用を選手がするのは無駄な時間なのかもしれない。しかし、その仕事をすることで思いがけない気づきもあるだろう。

競技だけを磨く。強豪校では当たり前なのかな？

寮で生活して、ただ走ることだけを考える。

それだけでいいのかな？

競技が出来ることは当たり前ではない。沢山の支えがあってこそだ。

よく、

｢今までサポート、応援してくださった皆さんのおかげです……｣

みたいな言葉を聞くが、本当にそのありがたみが分かって言っているのかな？と疑問に思う。

私はとてもわがままなマネージャーに成長したようだ。

感謝の言葉だけでは足りない。

私は行動が出来てこそ選手は輝くのだと思う。

どんなに良い記録を出す選手より、きちんと道具を率先して準備・片付けする選手の方が目に留まる。

だから、わざと仕事をしないで放っておくこともある。

自分のことは自分でする。できないことだけ他人に頼る。最低限、そんな選手に育って欲しいからだ。

子育てと似ているのかもしれない。

だから今は｢デキるマネージャー｣なんか要らないと思う。あくまで主役は選手だ。

競技を通じて学んで欲しいことは競技面だけではないのだ。きちんと人間性も育って欲しい。せっかくなら内面から輝いて欲しい。

誤解されそうだから書いておくが、私は陸上競技を通して繋がれた仲間全員が本当に大好きだ。家族のように愛おしい。

でも、尽くさない。

私はデキないマネージャーでいい。というか元からポンコツだ。

今年度、私はマネージャー7年目に突入する。

今年の目標は楽しんで気楽にマネージャーをすることだ。

そして、もしマネージャーの仲間になってくれそうな子が居るなら、一緒にポンコツマネージャーで居たい。

私に期待してくれている方々には申し訳ないけれど、私は私のやりたいようにやる。

使える場面ではいくらでも使ってくれて構わない。

でも、自分が出来ることは精一杯発揮して欲しい。

そんな想いで、過ごそうと思う。