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YouTube動画解説:マナビ研究室

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マナビ研究室が公開しているYouTube動画の解説記事を集めています。動画の補足説明や、訂正などをしています。影機材・設備・編集・音楽などの情報も記録しています。
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2021年6月の記事一覧

神経軸索はただの信号ケーブルではない! #00055

 高校時の物理・化学選択者にとって、大学に入ってからの神経生理学は「生命を物質として解明する」という大きな発想の転換を感じさせてくれた。私が生理学にのめりこんだ原点である「神経」について解説を始めさせていただく。(小野堅太郎)  歯医者さんへ行くと「神経が死んでいるみたいなので抜きますね。」と言われることがある。「神経が死ぬ」とは「神経が機能しなくなっている」ということであり、「歯髄」という歯の内部空間を埋め尽くす組織中の「歯の痛みを伝える神経線維終末」が壊死していることを

一寸の歯 軽んずべからず:#00054歯の話⑥

歯を見ただけでオス・メスを区別できる動物がいます。ウマもそうです。そんなウマの歯にはユニークな名前がついています。なぜウマの歯に独特な名称をつける必要があったのか?それはね・・・。(吉野賢一) 歯でオス・メスが分かる:イノシシの場合、大きな牙(犬歯)をもつ個体がオス、小さな牙しかもたない個体はメスです。ゾウの場合も、長く目立つ牙(門歯)をもつのがオス、見えないくらい小さな牙をもつのがメスです。 ではウマは? ウマの歯式(上顎のみ)は 3・1・3・3で、上下に門歯が3本、犬歯

歯は口ほどに物を言う:#00053歯の話⑤

食べるために「歯」を使う哺乳類の場合、その歯の構造や数(歯式)から何を食べているのか(食性)が分かることがあります。目は口ほどに物を言うそうですが、歯は「動物の食性」を語ってくれます。(吉野賢一) 肉食:肉食とは動物を食べることです。肉食動物のライオンやチーターは四肢動物を食べ、アシカやペリカンは魚類を、カマキリやクジラは節足動物(昆虫やオキアミ)を、ハイエナやコンドルは動物の死肉を、蚊や蛭は動物の一部(血液)を食べます。これらすべてが肉食です。一口に肉食動物といっても様々

骨はどうやってできるの?:骨代謝の生理:#00052

 前回の私の記事で「骨粗しょう症」について話をしましたが、今回は「骨はどうやって作られるの?」という話です。(船原まどか)  肌のターンオーバー。人の肌は表皮の一番奥にある基底層から新しい皮膚細胞が生成され、上へと押し上げられて肌の表面に出てきます。それが古くなると垢として剥がれ落ちて、どんどん新しい細胞と入れ替わっていきます。ということを私は中学生の頃に化粧品のCMで学びました。CMってすごい。でも骨の代謝については化粧品のCMは教えてくれませんでした。  骨の場合、古

骨粗しょう症で歯医者さんが気を付けること #00051

 なぜ骨粗しょう症を予防する必要があるの?先生、なぜお薬手帳もないのにあの患者さんが薬を飲んでるかもって解ったの?という疑問を解決します。(船原まどか)  歯科にとっては「骨粗しょう症」は今やほとんどの歯医者さんが気にかける病名になりました。なぜかというと、骨粗しょう症を治療する薬の中に、歯の骨に影響を与える副作用があるものがあるからです(歯科に関わる副作用がない薬もあります)。  これまで歯科では骨粗しょう症は一般的には注目されていませんでした(もちろん研究はされていま