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それはとても無機質で。

おじいちゃんが死んだらしい。

冒頭からダイレクトに言葉を綴ることを許してほしい。人によってはこの言葉を見た瞬間に胸が苦しくなったり、悲しい気持ちになったりするかもしれない。けれど私にとってはこれはただの事実であり、なんら感情が揺さぶられるものではなく、その「感情が揺さぶられない事実」によってむしろ少しだけ自分の内側に波風が立っている状態にある。

報せはお盆の前に届いた

その報せが届いたのはお盆に入る前だった。

(余談だが今年のお盆はいったいいつからなんだろうと思って調べたところ、8/13〜16がそれに当たるらしい。「お盆前」という認識は間違っていなかったようだ)

「そろそろ危ないかもしれないので一応連絡しておきます」

そうして母から施設に入所しているおじいちゃんの容態についてLINEで連絡が入ったのが20時を少し過ぎた頃のこと。それから1時間も経たないうちに「さっきなくなったと連絡がありました」と第2報が届く。

私が何を感じるも思考するもしない内に、おじいちゃんは逝ってしまった。

私にとってのおじいちゃんは

おじいちゃんは私にとって父方の祖父に当たり、子供の頃は年に2回、お盆とお正月に泊まりに行った時に会う「おじいちゃん」でしかなかった。

そんな風に書くとなんだかとても冷たい感じがするが、おじいちゃんとの関係性は「祖父と孫」という事実しかない。

泊まりに行くのはいつも(なぜか)「おばあちゃんの家」という認識だったし、実際にご飯を作ったり洗濯をしたりと世話を焼いてくれるのもおばあちゃんだったので、おじいちゃんとの思い出が少なかった。

物心つかない時はどうだったのかは記憶にないが、私の中でおじいちゃんとの思い出といえば下の2つしか思い浮かばない。

①おじいちゃんが資源回収で出されていたマンガを持ち帰って、孫たちのために?保管していたこと。

(恐らくおじいちゃんはマンガを読まないが、私たち孫がマンガがとても好きであることを知って以来、ゴミ収集場で見つけたら持ち帰り収集していたらしい。余談だが私はそれで「ツルモク独身寮」を知り、そこからの流れで今もTwitterで窪之内先生をフォローしてイラストを楽しんでいる)

②長男を産んだ時に「親孝行だなぁ!」と明るく言ったこと。

(その発言が前時代の価値観による内容であることは置いておいて、当時20歳で出産したばかりの私にとっては身内から「出産をポジティブに肯定してもらえた」ことは1つ大きな救いだったろうと思う)

正直、悲しむにも悼むにも思い出が少ない。

気が付いたら年に2回泊まりに行っていたおばあちゃんの家には年に2回顔を出すだけになり、いつしかおじいちゃんはボケて会話が成立しづらくなり、その内におじいちゃんもおばあちゃんも施設に入るようになり、5年前におばあちゃんが亡くなり(この時私は韓国にいた)、おじいちゃんも施設に入ったまま年に1回会うか会わないかになっていた。

それは酷く無機質で

このご時世もあり、今年のお盆の親戚の集まりは中止したと母親から聞いていた。けれど結局は「祖父の葬儀・通夜」で集まることになった。

葬儀には父が出席し、通夜には母と妹も出席するらしい。姉はオーストラリアで、福岡の私は駆け付けようと思えば駆け付けられる距離にはいるが、特に「来なさい」と言われなかったので香典だけ母親に託した。

正直なことを綴ると、おじいちゃんの死は現実ではあるものの現実感が全くなかった。それは「亡くなったことが信じられない」というものではなく、そもそも「おじいちゃんという存在」が私の中でとても希薄なのだと思う。

冒頭に書いた通り、特に何の感情も湧き上がらず、その湧き上がらない事実の方に少しだけ心が揺れる。思い返せばおばあちゃんが亡くなった時も私は終始こんな感じだった。(ただおばあちゃんには冒頭の言葉は使えず「亡くなった」としか表現できないので、おじいちゃんと比較すると私にとってより近い存在だったのは間違いない)

おじいちゃんにもおばあちゃんにももう会えない。

それは事実ではあるが悲しいことかと言われればそんなことはなく、そんな自分が2人の孫であることに少しだけの申し訳なさが浮かぶ。けれどその申し訳なさすら、私は自分の日々の中で簡単に忘れてしまうのだろう。


今年の夏、おじいちゃんが亡くなった。

"それ"が苦しみなく、安らかに訪れたものであればいいと思う。きっと私がその事実を確認することはないけれど。

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MANA

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私もスキ!
私を生き切る、使い切る生き方|「ない」を「ある」に変えるプロデュース会社 EXSENSE取締役|HSS型HSP&内向型|性質や生き方に合わせたヘルシーな働き方|趣味は筋トレの自分オタク|猫と星と天井が好き