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トークイベントに向けて 【連載1:「よい環境」と現状との比較から生まれる葛藤】

きみトリプロジェクトでは、2022年4月2日、トークイベント『この時代を生きる人間同士の学び合いとは 〜ラーンネット・グローバルスクールの5,6年生との年間授業から見えてきたもの』を開催します。

イベントに向けての企画として、一緒に対談してくださるラーンネット・グローバルスクール(以下ラーンネット)のナビゲータ* 青木芳恵さんときみトリの舟之川が事前打ち合わせでお話したことを、会話形式でご紹介していきます。読みながら、当日のイベントを楽しみにしていただければ幸いです。

*ラーンネットでは、子どもの学習を側面支援するという意味で、先生でなくナビゲータと呼んでいます。

連載1「よい環境」と現状との比較

いわゆる「オルタナティブ・スクール」と言われる、理念ある学びの場の取り組みにふれると、私は自分の通った学校や、自分の子が通ってきた・通っている学校との違いを突きつけられるような思いがすることがあります。そのあたりの感情について、まずは表現してみました。普段は青木さんをあおらさん、私を聖子さんと呼び合っているので、その名前で表記します。


聖子:
この一年のラーンネットでの授業に入るときは、ちょうど自分の子が中等教育に進学するという節目で、実は葛藤もありました。
自分の子にはこういう「よい環境」を与えられていないということの負い目とか、学校とのやり取りの中でほんとうに悔しい思いをすること、びっくりすることが起きると、自分の中で比較する感じが出てくる。ラーンネットではこんなことは絶対起こらへんやろうなと思ったりする。自分の保護者としての決定はこれでよかったんやろうか。でもここに住んでたいし、子どもの意思かて尊重したい、そういう思いがいっつもぐっちゃあっとなってた。
それがこの一年ラーンネットにかかわり、3学期に現場で皆さんとかかわったこと、他の学校でも自分が授業をしてみたことで、少しまとまってきた感じがあります。

二つ思うことがあって。
一つは、自分個人として子どもの本質にいつも働きかけることはできるということ。ラーンネットの子が特殊で、特別クリエイティブで尖っててということではなく。同じ人間。どこにいても、誰といても、自分の本質からその人の本質にアクセスするようなかかわりができればいいんじゃないかと思いました。
とはいえ、環境をつくっている大人の責任がある。これが二つ目。こちらは私が感じてきた悔しさ、残念さ、怒りとつながります。
たとえば「許可されていない」ことが多い。そもそも許可するとかされるとかじゃないことに関しても「許可」されてない、制限がある。学びに関しても、「この範囲の中でだったら学んでいい、それ以外は遊び、とるに足らないもの」という線引きがある。大人が環境をつくるときにやってないところ、やってるつもりでやれてないみたいなところと両方あると思っていて、それらに関しても働きかけていきたいという気持ちが個人的にあります。
その二つを自分の中で存在させると湧いてくる思いがあります。人間誰でもなんらかの制限の中でいつも生きているし、時代だったり地域だったり、大きな枠のなかで翻弄されながら生きているので、人それぞれの環境の中でつかんでいくものがあるはず。忸怩たる思いはあるけれども、無力ではない、道はあるというか。それならそれで作っていこうということを今は思っていて。
まとまらないんですが、この一年、そういうことをいただきました。

あおらさん:
今聞いてて思うのが、きみトリの本質と似てると思うんですけど、「自分の内側から社会とつながる」というのが、たぶんきみトリがやっていることだと思うんですね。環境はすごく大きな要因なんですけど、でも自分の内側とつながっていくことが、人とつながることだし、社会とつながるということだという、きみトリの図式、あれそのものだと。当日もそこらへんが話せたらいいのかなっていう感じがします。
話し合いの中で、学校への不満からリーチしてしまうと、大事なことにつながる意味ではいいと思うけど、それよりは、そこには聖子さんの「大事」があって、その「大事」をもって、自分は人とつながりたい、社会とつながりたいと戻していきたい。それがまさにきみトリなのではと思います。

聖子:
そうそう、発端は不満や不安、違和感だったりするんですけれど、その話をずっとしていたいわけではなく。

あおらさん:
そうですよね。きっと聖子さんの中にある大事なものがある。この会をやることが、きみトリの構造をシェアすることになったらいいなと思っていて。この話を聞いた中に、「あなたは何を感じましたか?」とお互いに話し合うことが、そのままトリセツになり、学び合いになれば。

聖子:
何かこの場で新しく生まれるトリセツがあったり、今までつくってきたトリセツが更新されることがあるといいなと思ってます。

あおらさん:
自分の中に取りにいって、それをひらくことで、またつながることができるよ、という感じですよね。だからどの環境にいても、きっとその人の本質を見ることができる、つながれるのじゃないかっていうことが、大きなテーマになるといいなぁと思っていて。

連載2 に続きます

この時代を生きる人間同士の学び合いとは 〜ラーンネット・グローバルスクール5,6年生との年間授業から見えてきたもの

2022年4月2日(土)21:00-22:30
Youtubeライブ配信(事前申込み制、1ヶ月アーカイブ限定公開予定)

ラーンネット・グローバルスクールの青木芳恵さんをお迎えし、5, 6年生との授業の中で得た学びについて、きみトリ著者3人と対談します。

○出演:
 青木芳恵さん(ラーンネット・グローバルスクール ナビゲータ)
 稲葉麻由美(『きみトリ』著者, セラピスト)
 高橋ライチ(『きみトリ』著者, カウンセラー)
 舟之川聖子(『きみトリ』著者, ファシリテーター)

○参加費:1,000円
○定員:なし

○当日の流れ(予定)
・書籍『きみトリ』ときみトリプロジェクトの紹介
・ラーンネット・グローバルスクールの紹介
・きみトリ授業のシラバス
・各学期の授業概要と学びのシェア
・学びのシェアに対する感想を手がかりに、4人で対話

○当日のキーワード
 当たり前に人は違う
 可能性に対してひらかれている
 全員が全員で作用し合っている
 自分の内側から人とつながる、社会とつながる
 きみトリは自分と人と社会を見るためのメガネ
 大人と子どもが共に学び合うこと
 管理でもなく、放任でもなく(ナビゲーション)
 大人として、子どもと共に社会をどうつくるか
 大人にしかできないこと、大人だからできること
 外の人間が場に入ることの良さ
 混迷を深める今をどう生きるか
 心をどう保ち、選択をするか
 常に「今ここで起きている」
 成長期の人にかかわれる、恵み
 社会にあるものを自由に使っていい

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