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トークイベントに向けて 【連載3:外の人のかかわりによる「眺め直し」】

トークイベントに向けての連載
1:「よい環境」と現状との比較から生まれる葛藤
2: 社会につながるための「きみトリのメガネ」
に続き、3回目をお送りします。

本記事では、イベントで一緒に対談してくださるラーンネット・グローバルスクール(以下ラーンネット)のナビゲータ* 青木芳恵(あおら)さんときみトリの舟之川(聖子)が事前打ち合わせでお話したことを、会話形式でご紹介していきます。
読みながら、当日のイベントを楽しみにしていただければ幸いです。

*ラーンネットでは、子どもの学習を側面支援するという意味で、先生でなくナビゲータと呼んでいます。

連載3: 外の人のかかわりによる「眺め直し」

この一年間の授業は、子どもたちとのかかわりはもちろんですが、ナビゲータのあおらさんとのかかわりから得られるものも非常に大きく、重要でした。なかなかこんなふうにぶあついコミュニケーションをとりながらお仕事を進められる相手もいないよね、とよく私たちは話しました。
あおらさんのほうでも、やり取りの度に、私たちとのかかわりや通年での伴走、共創……(うーん、この感じにぴったりの表現がないですが)に感謝の言葉を贈ってくれました。今回はそのあたりについて話しています。

あおらさん:
今回一年間やってきて、子どもたちの学びという部分もあったんですけど、わたし自身も自分を見つめ返すという部分がすごく大きかったような気がしますね。

聖子:
それはやり取りの中で何度も言ってくださってるんですけど、もう少しどういう感じなのか聞いていいですか?

あおらさん:
子どもたちがトリセツのシェアをするのを聞いていることで、自分も心が動くんですよね。でもわたし、あの場では特に積極的に何かをやっているわけではなくて。トリセツつくってるわけじゃない、シェアしてるわけでもない、でも確かに一緒につくってる感じがあるというか。わたしも渡してるし、受け取ってると感じることが何度もあったんですよね。そこをうまく言葉にできてないですけど。

聖子:
あとで録画を見直すと、「ここであおらさんがこれ言わへんかったらたぶん次の展開なかったやろうな」っていうようなこと、たくさんあるんですよ。だから間違いなく一緒につくってたんですけど。でもそれはサブ講師みたいなことではないし。なんですかね、つなぎ役っていうか。

あおらさん:
なんですかね。「ほらみんな、聖子さんはこう言ってるでしょ」みたいなサポートではない。だけど、「ちゃんとわたしもいる」みたいな感じ。今までわたし、いろんな人たちとたくさんコラボして授業つくってきたんですけど、その中でもやっぱり今回は、通年でやってるからこそ感じることがすごく多かったです。わたし自身に返ってくるものがすごく多くて。
授業を通して、実体験として、「わたしは子どもたちと共にトリセツをつくっていたんだな」っていう感じがするから、だからわたしはきみトリを熱く語ろうとするんじゃないですかね。子どもたちのトリセツを「あーなるほどね」とちょっと客観的に見ている感じではなくて。きみトリの本質がわたしに作用しているような感じがするというか。

聖子:
おおお、「きみトリの本質がわたしに作用している」……なんかすごさだけが伝わってくる。それって、あおらさんがなんで今の仕事してるのかと関係あるってことですか? あるいは、そういうことも全部含めて、あおらさんの人生に発見があったってことですか?

あおらさん:
ああー、そうですねえ。わたしずっと、ラーンネットのナビゲータとしては、強い推進力をもっているほうの人間ではない、と自分では思ってるんですね。

聖子:
推進。

あおらさん:
わたしは、「これが大事やと思うねん」という理念とか、ゴールとか、人を引っ張っていく、連れていくことができるタイプじゃない。わりにずっと観察して、子どもをひたすら受けているレシーバーみたいな感じ。そういうわたしも円(まる)の中に存在していると感じた一年間だったんですよね。それはたぶん外部の方がいることで、わたしの中で構図が形になって見えたっていうことなんだなっていう感じがしてるんです。

聖子:
それまではちょっと距離があったんですか?

あおらさん:
いや、ぜんぜん距離はないんですけど、あの中にいたんですけどね。聖子さんたちが一年間付き合ってくださって、やり取りをしているその中に「含まれている自分」が見えたんですよね。それがきみトリの体験と似てるなと思ったんです。自分が普段当たり前にやっているけど見えていない部分が、一年のかかわりを通してメタで見えた、形として見えたというか。
ああ、わたしはこうしてちゃんとこの中に当たり前に作用している一人なんだなっていうことにあらためて気づけたというか。いや、別に仲間外れにされてたわけじゃないですよ(笑)。あたしなんか〜って卑下してるとかでもなくて。
わりにわたし、及び腰なところがある。でもそれはわたしが勝手に思い込んでる部分で、たぶんぐいぐい行ってるところもあるし。そういういろんなことを「ラーンネットにいるわたし」っていうところから、もう一回眺め直すことができたと思います。

聖子:
それはよかったですし、当日のイベントでその話もしたいですね。つまり、外の人が入ることによってひらかれる何かとか、照らされる何かみたいな話として。

連載4に続く

この時代を生きる人間同士の学び合いとは 〜ラーンネット・グローバルスクール5,6年生との年間授業から見えてきたもの

2022年4月2日(土)21:00-22:30
Youtubeライブ配信(事前申込み制、1ヶ月アーカイブ限定公開予定)

ラーンネット・グローバルスクールの青木芳恵さんをお迎えし、5, 6年生との授業の中で得た学びについて、きみトリ著者3人と対談します。

○出演:
 青木芳恵さん(ラーンネット・グローバルスクール ナビゲータ)
 稲葉麻由美(『きみトリ』著者, セラピスト)
 高橋ライチ(『きみトリ』著者, カウンセラー)
 舟之川聖子(『きみトリ』著者, ファシリテーター)

○参加費:1,000円
○定員:なし

○当日の流れ(予定)
・書籍『きみトリ』ときみトリプロジェクトの紹介
・ラーンネット・グローバルスクールの紹介
・きみトリ授業のシラバス
・各学期の授業概要と学びのシェア
・学びのシェアに対する感想を手がかりに、4人で対話

○当日のキーワード
 当たり前に人は違う
 可能性に対してひらかれている
 全員が全員で作用し合っている
 自分の内側から人とつながる、社会とつながる
 きみトリは自分と人と社会を見るためのメガネ
 大人と子どもが共に学び合うこと
 管理でもなく、放任でもなく(ナビゲーション)
 大人として、子どもと共に社会をどうつくるか
 大人にしかできないこと、大人だからできること
 外の人間が場に入ることの良さ
 混迷を深める今をどう生きるか
 心をどう保ち、選択をするか
 常に「今ここで起きている」
 成長期の人にかかわれる、恵み
 社会にあるものを自由に使っていい

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