神宮球場のあの熱気を、今も忘れない。

10月頭に入ってきた、斎藤佑樹選手の引退というニュース。

そうか、もうプロ11年目なのか…というのが驚きです。
もうそんなに時が経ったのですね。


何を隠そう、私は斎藤佑樹選手と同学年で、
その高校・大学での活躍を、本当にリアルタイムに見ていた世代。
「ハンカチフィーバー」に湧いた早慶戦も、何回も見に行っていました。

ここ最近の雰囲気がどんな感じなのかはわかりませんが、
あの頃の早慶戦は、本当に凄かった。
常に満員御礼、外野席も立ち見の人でぎっしりで。

私たちは現役学生だったので、学内で予め学生用のチケットを手に入れることができていましたが、
それすらも試合日が近づくともう完売、というケースもよくあって。
一般の方は、それこそ徹夜で並んで当日券を買い求めた、なんて話も当時はよく聞きました。

大学のサークル仲間みんなで見に行って、
大勢で肩組み応援歌を歌った、今となっては懐かしい思い出です。


実際の成績がどうかはあまり覚えていないのですが、
当時の斎藤佑樹選手は、本当に憎いくらい強かった印象があります。
もちろん、投球そのものも全盛期だったと思うのですが、
それ以上に、球場全体から斎藤選手に向けられる声援が凄かったんです。

早慶戦というとただでさえ独特の雰囲気があるのですが、
斎藤選手がマウンドに上がると、さらに球場の熱気がもう一段ぐっと増すんですよね。
本人の投球にその声援がのっかると、もはや無敵というか、
にわかには与し難い雰囲気をまとったような、そんな気配を感じながら観戦していました。

敵ながら「これは勝てるのか…?!」というドキドキ感が常にあったし、
だからこそ勝ったとき、優勝したときは格別に嬉しかった!


プロの応援ももちろん様々趣向が凝らされていて好きなのですが、
大学野球の応援って、あの場にしかない独特の盛り上がりというか、高揚感があるような気がします。
学ラン着た応援団がいて、チアがいて、ブラスバンドがいて、
エール交換があって、チャンスパターンがあって、
ひとたび点が入れば、老若男女が肩組み高らかに「紺碧の空」「若き血」を歌う。
プロ野球のものとも、もちろん高校野球ともちょっと違う、
ちょっと不思議な、でもとっても魅力的な「熱狂」がある。

そしてあのとき、その「熱狂」のまさに中心にいたのが、
ほかでもない、斎藤佑樹選手だった。


坂本勇人選手や田中将大投手など、
同期の選手が球界を代表する選手へとステップアップしていく中で、
人知れず苦々しい思い、挫折も多くあったかもしれない。
確かにプロでは思うような結果を残せなかったかもしれなかったけれど、
でも、あの神宮で見た「熱狂」は、本当にものすごい選手だったし、
間違いなく一つの時代を築いた選手だったな、と思います。

11年間、本当におつかれさまでした!

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